中国、米国の海運・造船分野301条調査に強く反発 WTO違反と主張
中国が米国による海運・物流・造船分野を対象とした通商法301条調査とその措置に強く反発しました。国際ニュースとして、世界のサプライチェーンへの影響も含めて整理します。
米国の調査に中国が強い不満
中国は金曜日、米国が中国の海運、物流、造船分野を対象に行った通商法301条調査に基づく措置を受け、強い反対を表明しました。発言したのは中国商務省の報道官です。
報道官は、中国はこれまでも繰り返し立場を説明してきたとしたうえで、今回の301条調査に関する立場をまとめたノンペーパー(非公式文書)も米側に提出したと述べました。そのうえで、米国に対し、自国の産業問題を中国のせいにするのをやめるよう求めています。
中国側が指摘する4つの問題点
商務省報道官は、米国の措置について次のような問題があると批判しています。
- 一方的な措置に頼る「典型的な一国主義と保護主義」だと指摘
- 中国企業の正当な権利と利益を著しく損なう
- 世界の産業・サプライチェーンの安定を深刻に乱す
- 世界貿易機関(WTO)ルールに明白に反し、多角的な貿易体制と国際経済・貿易秩序を根本から損なう
報道官は、米国に対して事実と多角的なルールを尊重し、誤った行動を直ちにやめるよう強く求めました。また、中国は今後の動向を注視し、必要な措置を断固として取り、中国企業の正当な権利と利益を守るとしています。
通商法301条とは何か
今回の調査は、米国の通商法301条に基づくものです。通商法301条は、米国が他国の貿易慣行を不公正とみなした場合に、調査を行い、一方的な対抗措置をとることを可能にする規定です。
近年、通商法301条は米中間の通商摩擦の中心的なツールとして使われてきました。関税の引き上げや輸入制限などに結びつくことが多く、対象国だけでなく、他国企業や世界のサプライチェーンにも波及的な影響を与えます。
なぜ海運・物流・造船分野が焦点に
今回の301条調査の対象となっているのは、海運、物流、造船という、いずれも国際貿易を支える基盤的な分野です。コンテナ船や港湾、物流ネットワークは、世界のモノの流れを支えるインフラであり、この分野での摩擦は世界経済全体に広がりやすい性質があります。
中国側は、こうした基幹分野への一方的な制限や制裁が強まれば、輸送コストの上昇や物流の遅延を招き、世界の企業や消費者にとってもマイナスだと警戒しています。
WTOルールと多角的貿易体制への影響
中国が特に強調しているのが、WTOルールと多角的な貿易体制への影響です。WTOは、加盟国・地域同士が共通のルールに基づいて貿易を行うことを目的とする枠組みで、一方的な追加関税などは原則として慎重な扱いが求められます。
中国側は、米国の301条措置がWTOルールに反するだけでなく、ルールに基づく多角的貿易体制そのものを弱体化させると警鐘を鳴らしています。もし主要国がルールよりも自国の判断を優先する姿勢を強めれば、国際貿易の予見可能性は低下し、企業の長期的な投資判断も難しくなるからです。
2025年の米中関係の中で見る今回の動き
2025年現在、米中関係は競争と協力が入り交じる複雑な局面が続いています。貿易、ハイテク、安全保障など多くの分野で摩擦が重なっており、通商法301条をめぐる動きもその一部といえます。
米国が中国の産業政策や補助金などを問題視する一方で、中国は、米国の一方的な措置が国際ルールを損なうと強く主張しています。今回の海運・物流・造船分野をめぐる対立も、こうした広い枠組みの中で位置づけられます。
日本と世界の企業はどう向き合うべきか
日本を含む各国の企業にとって、今回の米中間の動きは、次のような点で無視できないテーマです。
- 海上輸送コストや保険料の変動リスク
- 特定の港湾や物流ルートへの依存度の高さ
- 対中ビジネスに関連する米国規制の今後の拡大可能性
- WTOルールの下での紛争処理の行方
具体的な影響は今後の米中両政府の対応次第ですが、企業にとっては、サプライチェーンの多様化や、規制リスクを見越した事業ポートフォリオの見直しが、これまで以上に重要になりつつあります。
今後の注目ポイント
今回のニュースをフォローする際、読者が押さえておきたいポイントを整理します。
- 米国が今後、海運・物流・造船分野でどのような追加措置を打ち出すのか
- 中国が予告している「必要な措置」が、通商面やその他の分野でどのような形を取るのか
- WTOなど国際機関や、他の主要国がこの問題をどう評価し、どのような立場を取るのか
- 米中対立が世界のサプライチェーン再編や企業戦略にどこまで影響を与えるのか
通商問題は専門用語も多く、一見すると遠い世界の話に感じられます。しかし、物流コストやモノの値段、仕事のあり方など、私たちの日常とも密接につながっています。米中の動きを冷静に追いながら、自分たちの生活やビジネスとの接点を意識していくことが、これからますます大切になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








