中国、2025年に集中的な宇宙ミッション 小惑星探査「天問2号」など計画
中国が2025年に実施する宇宙ミッションの計画が明らかになりました。小惑星探査機「天問2号」や有人宇宙船の打ち上げに加え、欧州や一帯一路、BRICSを通じた国際協力が大きく動き出そうとしています。
2025年、中国はなぜ宇宙ミッションを「集中的」に行うのか
中国国家航天局(CNSA)のシステムエンジニアリング部副主任、劉雲峰(リウ・ユンフォン)氏は、今年2025年に向けて中国が「集中的な宇宙ミッション」を実施する計画を示しました。これは、今年開かれた第10回「中国宇宙の日」に関する記者会見で述べられたものです。
劉氏によると、中国は2025年に、深宇宙探査から有人飛行、地球観測、国際共同プロジェクトまで、幅広い分野でミッションを進める方針です。単発の打ち上げではなく、複数の計画を束ねて進めることで、宇宙インフラと技術力を一気に高める狙いがあるとみられます。
小惑星探査「天問2号」と有人宇宙船「神舟20号」「神舟21号」
今回の発表で特に注目されているのが、小惑星探査ミッション「天問2号」です。天問2号は、小惑星へのフライバイ(接近飛行)とサンプル採取を行う計画で、中国による本格的な小惑星探査の第一歩と位置づけられています。
- 小惑星を接近観測し、その表面からサンプル(岩石や砂)を採取
- 採取したサンプルを地球に持ち帰り、太陽系の成り立ちや物質の起源を調べる研究に活用
劉氏は、2025年には宇宙飛行士を乗せた有人宇宙船「神舟20号」と「神舟21号」の打ち上げも予定されていると説明しました。これらのミッションは、宇宙ステーションの運用や長期滞在技術の高度化につながるとされています。
欧州とのSMILE計画と、イタリアとの地震研究衛星
中国の宇宙計画では、国際協力も重要な柱となっています。劉氏は、欧州およびイタリアとの二つの共同プロジェクトを「主要な国際ミッション」として挙げました。
中国・欧州共同ミッション「SMILE」
一つ目は、中国と欧州が共同で進める宇宙ミッション「SMILE(Solar Wind Magnetosphere Ionosphere Link Explorer)」です。SMILEは、その名の通り、太陽風(太陽から吹き出す高エネルギー粒子)が地球の磁気圏とどのように相互作用しているかを調べる計画です。
太陽風の影響は、オーロラの発生だけでなく、通信障害や電力網トラブルなど、いわゆる「宇宙天気」の問題とも深く関係します。SMILEの観測データは、宇宙環境の理解を深め、将来の宇宙利用や地上インフラの保護に役立つことが期待されています。
中国・イタリア共同の電磁観測衛星
二つ目は、中国とイタリアが共同開発する電磁観測衛星です。この衛星は、地球の電磁場を観測し、地震予測の研究を支援することを目的としています。
電磁波の変化を捉えることで、地震発生との関連を探る試みは世界各地で進められていますが、宇宙から長期・広範囲に観測できる衛星は、地震メカニズムの解明に新たなデータをもたらす可能性があります。災害多発地域が多いアジアにとっても、こうした研究の進展は関心の高いテーマといえます。
一帯一路とBRICSで広がる宇宙協力
劉氏は、中国が一帯一路イニシアチブ(BRI)に参加する国々やBRICS諸国、欧州のパートナーとの宇宙協力をさらに深めていく方針も明らかにしました。特に、月や深宇宙の探査での連携が重視されています。
その中心となる構想が、「国際月面研究ステーション」の建設です。複数の国・地域が参加する形で月面基地の構想を進め、月の資源調査や長期滞在技術の研究などを共同で行うことが想定されています。
また、BRICSの枠組みでは、「BRICSリモートセンシング衛星コンステレーション(衛星群)」の整備が進められています。この衛星群は、自然災害や緊急事態が発生した際に、加盟国間で地球観測データを共有し、迅速な被害把握や対応に役立てることを目標としています。
さらに、中国は一帯一路に参加する国々に対し、衛星通信や地球観測のサービスを提供することで、次のような分野での能力向上を支援するとしています。
- 農業の高度化(作物の生育状況や水資源の監視など)
- 災害予防・減災(洪水、干ばつ、森林火災などの監視)
- スマートシティ(交通やインフラの管理、環境モニタリング)
衛星データを活用した「見える化」は、各国の政策判断や都市計画の質を高めるツールとなりつつあります。中国の宇宙インフラを国際的に共有する動きは、こうした流れの一部といえます。
上海で開かれる第10回「中国宇宙の日」
劉氏は、2025年4月24日に上海で開催される第10回「中国宇宙の日」に向けたイベント計画についても説明しました。節目となる10回目の「宇宙の日」では、次のような催しが予定されているといいます。
- 開会式
- 宇宙科学や探査成果を紹介する展示
- 宇宙をテーマにした文化フォーラム
- 研究者が参加する学術会議
こうしたイベントは、宇宙開発を国家プロジェクトとして進めるだけでなく、市民や若い世代に向けて成果やビジョンを共有する場ともなります。宇宙開発が「専門家だけの話題」から、社会全体が関わるテーマへと広がりつつあることがうかがえます。
このニュースから何を読み解くか
今回示された計画からは、次のようなポイントが見えてきます。
- 小惑星探査や月面基地構想など、深宇宙探査への本格的なシフト
- 欧州やイタリアとの共同ミッションを通じた、宇宙科学・防災研究での協力強化
- 一帯一路やBRICSを軸に、衛星データを共有する国際的なネットワークづくり
宇宙開発は、各国の競争であると同時に、災害対策や地球環境の監視など、人類共通の課題に取り組むための協力の場でもあります。中国の2025年の宇宙ミッションをどう位置づけるかは、アジアや世界の読者にとっても、自分なりの視点を持ちたいテーマと言えるでしょう。
今後、計画されたミッションがどのように進み、国際協力がどのような形で具体化していくのか。各国の動きとあわせて丁寧にフォローしていく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








