元世界7位の元選手オング・ベン・ヒー氏が、中国でスカッシュの若手を指導。ロス五輪を見据えた挑戦とは? video poster
元世界ランク7位でアジア大会金メダルを2度獲得したマレーシアの元スカッシュ選手、オング・ベン・ヒー氏が、プレーヤーからコーチへと歩んだ道のりと、中国で進むスカッシュ強化について語りました。2028年ロサンゼルス夏季五輪で正式種目となるスカッシュに向け、アジアからどのような挑戦が始まっているのでしょうか。
世界トップ選手から国際派コーチへ
オング氏は現役時代、世界ランキング7位まで上り詰め、アジア大会でも2度の金メダルを手にしたスター選手でした。2015年7月に現役を引退してからは、すぐに指導者の道へ進みます。
まず母国マレーシアでコーチングを始め、その後はアメリカでアメリカ代表チームとともに経験を積みました。そして現在は中国で、次世代のスカッシュ選手たちを育てています。中国のスポーツ番組「CGTN Sports Scene」のインタビューでは、この転身について振り返りました。
なぜ北京を選んだのか:中国で高まるスカッシュ熱
北京に来る前、オング氏はおよそ3年間にわたりアメリカ代表チームとともに働いていました。そのうえで、中国行きを決断した理由として「この国でスカッシュが大きく成長する可能性を感じたこと」を挙げています。
現在オング氏は、中国で台頭する若手選手たちに寄り添いながら、技術だけでなくメンタルやプロとしての姿勢も含めて指導しているといいます。中国ではスカッシュへの関心が急速に高まっており、これから競技環境がさらに整っていくと見られています。
マレーシアの経験:資金と大会が競技を押し上げた
オング氏によると、マレーシアでスカッシュ人気が本格的に高まったきっかけは、1998年に同国がコモンウェルスゲームズを開催したことでした。世界が注目する総合大会を契機に、競技環境が一気に整ったといいます。
さらに、政府と民間企業の双方から十分な資金が確保されたことが、競技の発展に大きく貢献しました。安定した財政的支えがあったからこそ、選手の強化やジュニアの育成、施設整備が進み、長期的な強化サイクルが回り始めたという見方です。
こうした経験は、いまスカッシュに力を入れ始めている中国にとっても、一つの参考モデルになりそうです。
2028年ロサンゼルス五輪へ:叶えられなかった夢を教え子に託す
スカッシュは、2028年ロサンゼルス夏季五輪の正式競技として採用されました。オング氏自身も、現役時代にはオリンピックの舞台に立つことを夢見ていたと語りますが、その夢は選手としてはかなわずに終わりました。
しかし現在、彼はその夢を自分の教え子たちに託しています。ロサンゼルス大会まで、2025年現在であと数年。オング氏は、中国で育てる選手たちが五輪のコートに立ち、世界のトップと戦う日を見据えて日々の練習を積み重ねています。
私たちがこのニュースから考えられること
マレーシア、アメリカ、中国と拠点を移しながらキャリアを築くオング氏の歩みは、スポーツが国境を越える時代の象徴のようにも見えます。選手としての実績を持つ人材が、別の国の若手を育てることで、競技そのもののレベルが世界的に底上げされていきます。
今回のストーリーから見えてくるポイントは、次のように整理できます。
- 元世界トップ選手が、コーチとして中国で若手育成に取り組んでいること
- 国際大会の開催と、政府・民間の安定した資金が競技発展の鍵になりうること
- 2028年ロサンゼルス五輪という新たな目標が、選手と指導者の意欲を高めていること
五輪正式種目入りをきっかけに、スカッシュは今後アジアでも存在感を増していくかもしれません。国や地域を超えて知見を共有しながら、どのように競技を育てていくのか。そのプロセスに注目することは、他のスポーツや日本の競技力強化を考えるうえでも、示唆を与えてくれそうです。
Reference(s):
Former Malaysian squash star Ong on transition from player to coach
cgtn.com








