北京ティーエキスポ、無形文化遺産のステージに 西湖龍井茶も披露
中国の首都・北京で2025年4月に開かれた茶の博覧会が、商品展示の場を超え、茶文化にまつわる無形文化遺産を体験できるステージとして注目を集めました。
この記事のポイント
- 北京のティーエキスポが、茶の無形文化遺産の実演の場に
- 穀雨の時期に合わせ、茶産業の文化のクロスオーバーを強調
- 西湖龍井茶の産地から職人が参加し、淹れ方や所作をライブ披露
春の節気「穀雨」とともに開幕した北京の茶博覧会
北京のティーエキスポは、春の最後の二十四節気である穀雨の時期に合わせて開催されました。穀雨は、穀物を育てる恵みの雨が降り始める頃とされ、中国ではお茶の新芽が育つ重要な季節でもあります。
中国国際農業協力促進会の名誉会長であるZhai Huqu(ジャイ・フーチュ)氏は、開幕式のあいさつで、穀雨の時期に開かれるこの博覧会は、商品としてのお茶を並べるだけでなく、茶産業に関わる無形文化遺産を示す場であるべきだと強調しました。
Zhai氏は、こうした取り組みを文化のクロスオーバーと位置づけ、茶産業の発展を支えるコアな原動力の一つだと述べています。
無形文化遺産としてのお茶の作法をライブ実演
会場では、中国各地の茶産地から生産者や職人が集まり、茶づくりやお茶の淹れ方など、日々受け継がれてきた技と所作が次々と披露されました。
とりわけ注目を集めたのが、西湖龍井茶の産地から訪れた代表団です。茶葉の選別からお湯の注ぎ方、茶を客人に差し出すまでの一連の動きが、淀みのない流れるような所作で実演され、来場者の視線を引きつけました。
デモンストレーションでは、次のような工程が丁寧に紹介されました。
- 若い茶葉を見極めて摘み取る技
- 茶葉の香りと味わいを引き出す湯の温度と注ぎ方
- 茶器の扱い方や並べ方
- 客人にお茶を差し出すときの礼儀や立ち居振る舞い
こうした一つひとつの動きは、単なる作法ではなく、地域の歴史や暮らしの知恵が凝縮された無形文化遺産といえます。
西湖龍井茶が示す、味わい以上の価値
西湖龍井茶は、その鮮やかな緑色、豊かな香り、ほのかな甘み、美しい茶葉の姿で知られ、中国のお茶好きの心をつかんできました。
しかし今回のエキスポで浮かび上がったのは、味や香りだけではありません。茶畑での栽培から茶葉の加工、そして茶席での一杯にいたるまでのプロセス全体こそが文化であり、守り、磨き続けるべき資産だという視点です。
西湖龍井茶の実演は、産地の自然環境や生産者の生活、世代を超えて受け継がれてきた価値観を含めて、丸ごと伝える試みでもあります。茶を味わうことが、その地の物語に触れることと重なっていく──そんなメッセージが込められていました。
なぜ今、お茶×無形文化遺産なのか
Zhai氏が語る文化のクロスオーバーは、茶産業の未来戦略とも重なります。無形文化遺産に光を当てることは、産地や生産者、そして若い世代にとって次のような意味を持ちます。
- ブランド価値の向上:物としてのお茶だけでなく、背後にあるストーリーを伝えることで、付加価値を高める。
- 若い世代への訴求:所作や体験型のイベントは、動画やSNSと相性が良く、新しいファンを呼び込むきっかけになる。
- 産地の持続可能な発展:観光や文化体験と組み合わせることで、農村や産地の経済を安定させる手段にもなりうる。
北京のティーエキスポは、こうした流れを具体的な形にした場だといえます。無形文化遺産を前面に出すことで、消費者はどのお茶を買うかだけでなく、どんな文化を応援するのかという視点を持ちやすくなります。
一杯のお茶から始まる、小さな文化のクロスオーバー
今回の博覧会で示されたのは、特別な場所だけでなく、私たちの日常のなかでも無形文化遺産を大切にできるというヒントでもあります。
忙しい日々のなかでも、次のような小さな工夫から、茶文化への理解を深めることができます。
- お茶を選ぶときに、産地や作り手のストーリーを調べてみる
- 自宅で一杯のお茶を、スマートフォンを置いてゆっくり味わってみる
- 旅先で、その土地ならではの茶文化体験に参加してみる
北京のティーエキスポは、そうした日常と世界の茶文化をつなぐデモステージとして、無形文化遺産の可能性を静かに、しかし力強く示したと言えそうです。
Reference(s):
Tea expo turns into demo stage for intangible cultural heritage
cgtn.com








