タイが中国映画を30%リベートで誘致 観光とソフトパワーを強化へ video poster
タイが中国の映画製作者を対象に、制作費の30%を返金するリベート制度を打ち出しました。北京国際映画祭の場で、タイ政府観光・スポーツ省のタイフィルムオフィスを代表してヤジャイ・ワッタナプリーダー氏が制度を紹介し、国際映画産業の注目を集めています。
30%リベート制度とは何か
今回の制度は、中国からタイに撮影に来る映画制作チームに対して、かかった制作費の30%をリベート(費用の一部返金)という形で還元するという内容です。具体的な運用の細部は今後の発表が待たれますが、制作費が大きくなりがちな映画やドラマにとって、30%という水準は無視できないコスト削減効果があります。
ヤジャイ氏は、この制度がタイの「映画パートナーシップへの強いコミットメント」を示すものだと説明しています。単なる一時的なキャンペーンではなく、映画産業を通じた長期的な協力関係を築くことを意識した仕組みといえます。
北京国際映画祭でアピール タイの狙いは
制度が紹介されたのは、映画関係者が世界から集まる北京国際映画祭の場でした。中国の映画会社、監督、プロデューサーが一堂に会するタイミングで、タイ側が直接メッセージを届けた形です。
タイが掲げる狙いは大きく三つに整理できます。
- 中国のクリエイターにとっての「第一候補のロケ地」になること
- 映画・ドラマ撮影を通じて新たな観光需要を生み出すこと
- 映像コンテンツを通じてタイのイメージや文化発信を強化すること
タイはすでに観光地として高い知名度を持っていますが、映画やドラマの舞台となることで、「行ってみたい場所」としての具体的なイメージを世界中の視聴者に届けられるようになります。
中国映画製作者にとってのメリット
中国の映画製作者にとって、この30%リベート制度には複数のメリットがあります。
- 制作コストの圧縮:予算が同じでも、より高品質なロケーションや撮影日数を確保しやすくなります。
- 多様なロケーション:ビーチ、都市、高原、歴史的建造物など、タイ国内の多様な風景を作品に取り入れられます。
- 現地との共同制作:タイ側の制作会社やスタッフとの協力を通じて、新しい表現やノウハウを取り入れる機会が増えます。
コストとクオリティの両面でメリットがあることから、今後、中国からタイへのロケ案件が増える可能性があります。
タイにとってのメリット:観光・雇用・イメージ向上
一方、タイにとってもこの制度は投資と位置づけられます。映画やドラマの撮影を誘致することで、次のような効果が期待できます。
- 観光需要の拡大:作品で描かれた場所を訪ねる「聖地巡礼」のような旅行が生まれる可能性があります。
- 雇用の創出:現地の撮影スタッフ、技術者、エキストラ、交通・宿泊・飲食など、幅広い産業に仕事が生まれます。
- 文化・ブランド価値の向上:作品を通じて、タイの文化や日常の姿が自然な形で世界に発信されます。
こうした波及効果まで含めて考えると、リベートで支出する額以上の経済・社会的なリターンを見込んでいることがうかがえます。
「互恵的なパートナーシップ」をどう育てるか
タイ側は、中国との関係を「互いに利益のあるパートナーシップ」と位置づけています。単に中国資本の作品を呼び込むだけでなく、以下のような協力の形が期待されます。
- 共同制作や共同出資による映画・ドラマプロジェクト
- 制作スタッフ・俳優の相互交流やトレーニング
- 映画祭や上映イベントを通じた長期的なネットワークづくり
こうした動きが進めば、単発のロケ案件にとどまらず、アジアの映画産業全体のネットワークがより密接になっていく可能性があります。
アジアの撮影誘致競争の中で
世界各地の国や地域は、税制優遇や補助金、ロケ支援などを通じて映画・ドラマの撮影誘致に力を入れています。タイの30%リベート制度は、その流れの中でも、特に中国市場に焦点を当てたわかりやすいメッセージです。
今後、中国の制作会社がどの程度この制度を活用し、実際の作品がどれだけ生まれてくるのかは、他の国・地域の動きにも影響を与える可能性があります。アジアの映画制作拠点の勢力図に、静かな変化をもたらすかもしれません。
これから注目したいポイント
今回の発表を受けて、今後チェックしておきたいポイントは次の通りです。
- 30%リベート制度を活用した具体的な作品がどの程度生まれるか
- タイと中国の制作会社の間で、共同制作の枠組みがどう広がるか
- 作品公開後、タイへの観光需要やイメージにどのような変化が出るか
映画やドラマは、経済だけでなく、人々のイメージや相互理解にも影響を与えるコンテンツです。タイの新しい試みが、中国とのあいだでどのようなストーリーを生み出していくのか、今後も注目していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








