AIが映画のコンセプトデザインを変える 霍廷霄が語る創造性の未来 video poster
AIが映画のコンセプトデザインの現場をどう変えているのか。第15回北京国際映画祭のモーション・ピクチャー・アソシエーション(Motion Picture Association)のフィルム・ワークショップで、中国の著名な美術監督・霍廷霄(Huo Tingxiao)氏が、その最前線を語りました。
新しい技術を受け入れるべきだと強調
霍廷霄氏は、中国電影家協会の副会長であり、China Film Art Direction Academyの会長を務める、中国映画界を代表する美術監督です。ワークショップで霍氏は、ChatGPTやAI生成コンテンツ(AIGC)のような新しい技術を積極的に受け入れるべきだと呼びかけました。
霍氏によれば、映画制作におけるコンセプトアートや美術設計のワークフローは、すでにAIによって大きく変わりつつあります。従来は人の手だけで行っていた作業の一部をAIが担うことで、スピードと選択肢が一気に広がっているという見方です。
コンセプトデザインの現場で起きている変化
今回のワークショップでは、AIが映画のコンセプトデザインにどのように活用されているのかにも焦点が当てられました。具体的には、現場では次のような使い方が広がりつつあります。
- アイデア出しの初期段階で、AIが多数のイメージ案を短時間で生成し、発想のきっかけを与える
- 世界観や美術セットのバリエーションを、AI画像を使って比較検討しやすくなる
- 監督やプロデューサーとのコミュニケーションの際に、AIで作ったビジュアル案を叩き台として共有できる
こうした変化により、コンセプトアーティストや美術チームは、単純作業に費やしていた時間を減らし、作品全体の方向性や質感など、より本質的な部分に集中しやすくなっているといえます。
それでも中心にあるのは人間の想像力
一方で霍廷霄氏は、AIがいくら進化しても、芸術の核心には人間の想像力と創造性があると強調しました。AIはあくまで道具であり、最終的に作品の世界観を決めるのは人間の目と判断だという立場です。
AIは膨大なデータから既存のパターンを組み合わせることは得意ですが、作品が持つべき感情の深さや文化的な文脈、登場人物の生きたリアリティを与えるのは、依然として人間のクリエイターです。霍氏のメッセージは、技術への期待と同時に、人間の役割を見つめ直す呼びかけでもあります。
映画制作とAIの共存に向けて
今回の発言は、映画制作の現場でAI活用が広がるなか、その向き合い方を考えるうえで示唆に富むものです。AIを恐れて排除するのではなく、どの工程で使えば創造性を高められるのかを見極めることが、これからの映画人に求められていると言えます。
日本を含むアジア各地でも、映像制作やアニメーションの分野で生成AIの実験が進んでいます。北京での議論は、そうした動きと響き合いながら、映画とテクノロジーの関係が新しい段階に入っていることを象徴しているように見えます。
私たち観客にとっての意味
AIによってコンセプトデザインの可能性が広がることで、スクリーンに広がる世界はこれまで以上に多様でリッチなものになるかもしれません。その一方で、どれだけ技術が進歩しても、心に残るのは物語とキャラクター、そして画面の細部に宿る人間の感性です。
霍廷霄氏のメッセージは、映画をつくる人だけでなく、映画を観る私たちに対しても、テクノロジーの進歩と人間の創造性をどう両立させていくのかを静かに問いかけています。
Reference(s):
Huo Tingxiao explains how AI is revolutionizing concept design in film
cgtn.com








