中国とスイス、自由貿易と国際経済秩序の守り手に 王毅外相が連携強化を呼びかけ
不透明で不安定な国際情勢が続くなか、中国とスイスが「自由貿易」と「多国間主義」を前面に掲げ、国際経済秩序の維持に向けた連携強化を打ち出しました。北京で行われた王毅国務委員兼外相とイグナツィオ・カシス連邦参事会委員兼外相の会談のポイントを、日本語で整理します。
不透明な国際情勢と「法のジャングル」への懸念
王毅外相は、現在の国際情勢を「不確実で不安定」と表現し、中国とスイスはともに多国間主義と自由貿易の強力な支持者だと強調しました。反グローバル化の動きが広がるなかで、両国が協力して、すべての国の正当な権利と利益を守り、国際経済・貿易秩序と国際関係の基本的な規範を共同で守るべきだと呼びかけています。
王毅外相はまた、「二度と弱肉強食のルールが世界を支配してはならない」と述べ、力ではなくルールに基づく国際秩序の重要性を強調しました。
75年にわたる中国・スイス関係と戦略的パートナーシップ
スイスは、新中国と外交関係を樹立した最初期の西側諸国の一つとされています。王毅外相(中国共産党中央政治局委員)は、両国がこれまで75年にわたり、相互尊重と信頼を堅持し、平等・イノベーション・ウィンウィン(双方に利益がある)の協力精神を育んできたと振り返りました。
そのうえで、今後もハイレベルの交流を維持し、互いを平等なパートナーとして尊重しつつ、違いを乗り越えて協力を強めることで、二国間関係により多くのプラスの要素を積み上げ、戦略的パートナーシップをさらに深めていきたいとの考えを示しました。
自由貿易協定(FTA)改定とビジネス環境
具体的な経済協力として、両国は二国間の自由貿易協定(FTA)の「アップグレード」に向けた交渉を加速させる必要があるという認識で一致しました。王毅外相は、既存の対話メカニズムを活用しながら、協力に関するコンセンサスをさらに積み上げることを提案しました。
王毅外相はまた、スイス企業による中国への投資と成長を歓迎すると述べ、スイス側に対しても、中国企業が活動しやすいよう、開かれた、公平で差別のないビジネス環境を引き続き提供してほしいと期待を表明しました。
今回の会談で示された経済面のキーワードは、次のように整理できます。
- 二国間FTA改定交渉の加速
- 各種対話メカニズムを通じた協力コンセンサスの拡大
- 双方の企業にとって開かれたビジネス環境の整備
文化・観光・科学技術まで広がる協力
両国は、外交関係樹立75周年を記念して、「中国・スイス文化観光年」など一連の記念イベントを共同で開催する方針も確認しました。
さらに、科学技術、教育、人文交流などの分野で協力を強化し、人と人との交流を一層促進することで、両国関係の土台を広げていく考えです。経済だけでなく、社会や文化のレベルでつながりを厚くしていく狙いがうかがえます。
スイス側の視点:理性的で現実的な協力を
カシス外相は、スイスが中国との関係を常に「全体的かつ戦略的な観点」から見てきたと述べ、中国との協力を理性的かつ現実的な形で強化したいと表明しました。
スイス側も、中国との緊密なハイレベル交流を続ける意向を示し、外交関係樹立75周年の記念行事やFTA改定交渉を進めながら、さまざまな分野で互恵的な協力を拡大していくとしています。
国際社会へのメッセージ:連帯、多国間主義、法の支配
カシス外相は、現在の状況のもとで国際社会は連帯を強め、多国間主義と自由貿易を守るために手を携えるべきだと強調しました。法の支配に基づく国際秩序を維持することの重要性も指摘しています。
また、スイスは中国と意思疎通を強化し、さまざまな地球規模の課題に共同で対応していきたいと表明しました。会談では、ウクライナ問題や中東情勢など、双方が関心を共有する国際・地域情勢についても踏み込んだ意見交換が行われました。
読者にとってのポイント
今回の中国・スイス会談から、国際ニュースとして押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 不透明な国際情勢のなかで、両国が多国間主義と自由貿易の維持を明確に打ち出したこと
- 外交関係樹立75周年を機に、FTA改定から文化・教育・科学技術まで幅広い協力の拡大を目指していること
- ウクライナや中東などの課題を含め、国際秩序を「法の支配」に基づいて守るというメッセージを発していること
こうした動きは、日本を含む他の国々にとっても、今後の国際経済秩序や多国間協調の行方を考えるうえで、重要な参考材料となりそうです。
Reference(s):
Wang Yi calls on China, Switzerland to safeguard global trade order
cgtn.com








