中国と中南米・カリブ、科学技術協力を多層ネットワークへ 北京で初の科学デー video poster
中国とラテンアメリカ・カリブ諸国のあいだで、科学技術協力を軸にした新たな国際ネットワークづくりが進んでいます。北京で開かれた初の中国・ラテンアメリカ・カリブ科学デーで、中国の科学技術相Yin Hejun氏は、協力の質と範囲がともに拡大し、多層的で多分野にまたがる連携体制が形成されつつあると強調しました。
この動きは、インフラや農業、エネルギー・鉱物といった従来分野での協力の高度化に加え、5Gやデジタル技術、新エネルギー、先端材料、バイオ医薬などの最先端分野へと広がっていることが特徴です。
初の中国・ラテンアメリカ・カリブ科学デーとは
中国・ラテンアメリカ・カリブ科学デーは、中国とラテンアメリカおよびカリブ地域の代表が一堂に会し、最新の研究成果や成功事例を共有する場として初めて開催されました。生命科学や農業技術、デジタル・イノベーションといった重点分野が議論の中心となりました。
参加者は、中国側とラテンアメリカ・カリブ側の幅広い関係者で構成され、科学技術に関する最新の知見や実践例を持ち寄りました。協力には、これまでより多様なステークホルダーが関わるようになっているとされています。
質と範囲が拡大する中国・LAC科学技術協力
ここ数年、中国とラテンアメリカ・カリブ地域との科学技術協力は、質と量の両面で大きく前進しているとされています。従来の二国間協力が中心だったインフラ、農業、エネルギー・鉱物などの分野では、連携の内容が質的にアップグレードされつつあります。
同時に、両者は5Gやデジタル技術、新エネルギー、先端材料、バイオ医薬など、世界的に競争が激しい先端分野での協力も加速させています。こうした分野では、研究開発から実用化までのプロセスが短く、国際連携の成果が社会や産業に波及しやすいと考えられます。
中国とラテンアメリカ・カリブの協力は、次のような複数のレイヤーで進展していると整理できます。
- インフラ、農業、エネルギー・鉱物など、長年積み重ねてきた伝統分野
- 5G、デジタル技術、新エネルギー、先端材料、バイオ医薬といった先端技術分野
- 生命科学や農業技術、デジタル・イノベーションなど、社会課題と直結する分野
多層的・多分野ネットワークのねらい
尹氏が言及した多層的なネットワークとは、国と国のあいだの協定にとどまらず、さまざまなレベルと分野で協力が重層的に進む姿を指しています。政府間の枠組みに加え、研究機関や企業などが関わることで、現場に近い課題にも対応しやすくなるとみられます。
特に、デジタル技術や新エネルギー、バイオ医薬といった分野は、単独の国だけでは対応が難しい課題を多く抱えています。複数の国や地域が知識と経験を共有し合うことで、リスクを分散しつつ新たな機会を切り開く狙いがあるといえます。
2023〜2024年に設立された2つの協力センター
協力の枠組みをより具体化するために、中国とラテンアメリカ・カリブ地域のあいだでは、ここ2年のあいだに新たな拠点づくりも進んでいます。2023年と2024年には、次の2つのセンターが相次いで設立されました。
- 中国・ラテンアメリカ・カリブ技術移転センター
- 中国・ラテンアメリカ・カリブ持続可能な食料イノベーションセンター
これらのセンターは、科学技術分野で新たに生じる課題や機会に対して、双方が協力して取り組むためのプラットフォームとして位置付けられています。技術移転センターは、研究成果や技術の共有を促し、持続可能な食料イノベーションセンターは、食料や農業に関わる新技術を生み出し広める場になると期待されています。
開放性と包摂性を掲げる中国のメッセージ
今後の方向性について、尹氏は、中国が国際的な科学技術協力において開放性、公平さ、公正、無差別の原則を堅持していく姿勢を強調しました。また、より多くの国や地域が参加できる包摂的なイノベーション環境を育てていきたいとの考えも示しました。
科学技術は、安全保障や経済政策とも密接に結びつく分野であり、国際協力と競争の線引きが難しい領域でもあります。そうしたなかで、ラテンアメリカ・カリブ地域との連携を強化する動きは、多極化が進む世界で地域間のつながりを再構築する試みの一つと見ることができます。
日本を含むアジアの読者にとっても、中国とラテンアメリカ・カリブ地域の科学技術協力の行方は、グローバルな技術の流れや国際ルールづくりを考えるうえで重要な視点を提供します。今後、この多層的ネットワークがどのような具体的成果や制度として形になっていくのかが注目されます。
Reference(s):
Minister: China and LAC forge multi-tiered sci-tech partnership
cgtn.com








