国際ニュース:中国の傅聡国連大使が一方主義と「いじめ」に警鐘
2025年の国際秩序が揺らぐなか、中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使が国連安全保障理事会のアリア方式会合で、一方主義と「いじめ」的な行為の横行に強い危機感を示しました。米国による関税措置を名指しで批判し、多国間主義と国際法に立ち返るよう各国に呼びかけています。
この国際ニュースは、多国間主義をめぐる中国と米国の立場の違いを浮き彫りにすると同時に、国連の役割や世界経済の行方を考える材料を提供しています。
国連で何が語られたのか
中国の国連常駐代表である傅聡大使は、世界反ファシズム戦争と国連創設から80年を経た今、世界が「新たな動乱と変革の段階」に入ったと述べました。その上で、「一方主義が台頭し、いじめのような行為が横行している」と強調し、こうした動きが国連中心の国際システムと、国際法に支えられた国際秩序を揺るがしていると警鐘を鳴らしました。
特に、持続可能な開発の土台が侵食され、世界の平和と安定が脅かされていると指摘し、多国間主義を守ることが人類全体の利益につながると訴えました。
矛先は米国の関税政策に
傅氏の批判は、米国の関税政策にも向けられました。米国がさまざまな名目で全ての貿易相手国に高関税を課していることについて、各国の正当な権益を深刻に侵害し、世界貿易機関(WTO)のルールと、多角的な貿易体制を著しく損なっていると強く非難しました。
米国が掲げる「互恵」や「公平」といったスローガンは表向きにすぎず、実際には自国の利益を最優先するゼロサムゲームだと指摘。関税をてこに既存の国際経済・貿易秩序を作り替え、国際社会全体の共通善よりも、自国の覇権的な利益を優先していると問題提起しました。
傅氏が投げかけた三つの問い
傅氏は、世界が「重大な岐路」に立っているとし、国際社会に次の三つの問いを投げかけました。
- 多国間主義を堅持するのか、それとも一方主義の拡大を許すのか
- 国際関係における民主性を高めるのか、それとも力による政治(パワーポリティクス)を容認するのか
- 国際法と国際関係の基本原則を守るのか、それとも強い者が弱い者を支配する「弱肉強食」の状態に戻るのか
いずれの問いも、多国間主義と国際法を軸とする秩序を守るのか、それとも力や一方的な行動を容認するのかという選択を迫るものです。
中国が示した四つのキーワード
傅氏は、世界が今必要としているものとして、開放性、主権の平等、公平と正義、連帯と協力という四つのキーワードを挙げました。
- 開放性と包摂性:世界には開放と包容が必要であり、閉鎖や孤立ではない
- 主権の平等:全ての国は大小や強弱にかかわらず国際社会の対等な一員であり、「拳の大きさ」で物事を決めるべきではない
- 公平と正義:自国第一ではなく、発展の果実が各国と人々により公平に行き渡るべきだとする考え方
- 連帯と協力:分断と対立ではなく、対話と協議、ウィンウィンの協力によって地球規模の課題に向き合うべきだという主張
傅氏は、特にグローバル・サウス、とりわけ最貧国に対する高関税は「発展の権利」を奪うのと変わらないと警告しました。世界の国々は相互依存する密接な共同体であり、「鉄のカーテン」を築くのではなく対話と協力の橋をかけ、対立ではなく協調を選ぶべきだと強調しました。
中国の役割と対外メッセージ
傅氏は、中国が世界の平和の建設者、世界的な発展の貢献者、国際秩序の擁護者であると位置づけました。世界第2の経済として、中国は「中国式現代化」を進める包括的な改革と、高品質な発展、高水準の対外開放を推し進めていると説明しました。
具体的には、中国と外交関係を持つ最貧国に対して、全ての関税品目でゼロ関税を適用していると紹介し、こうした措置を実施した初の主要な途上国かつ大国であると強調しました。中国の「超大規模市場」は常に世界に開かれており、各国に対し、中国の発展という「エクスプレス列車」に乗り、中国との協力の機会をとらえるよう呼びかけました。
また、中国は5,000年に及ぶ文明によって培われた強い戦略的な集中力とレジリエンス(回復力)を備えており、不安定な世界に安定と確実性をもたらしているとも述べました。中国は「争いを仕掛けないが、脅しにも屈しない」とし、米国との関係については、対話と協議による解決を望むのであれば、対等、尊重、互恵にもとづく姿勢が必要だと主張しました。一方的な最大圧力や威嚇は、適切な関わり方ではなく、中国の「偉大な復興」への歩みを止めることはできないと強調しています。
日本の読者が押さえておきたい視点
今回の発言は、米中間の応酬としてだけでなく、2025年の国際秩序をめぐるより大きな議論の一部として捉えることができます。多国間主義か一方主義か、公平かゼロサムかというテーマは、日本を含む多くの国に直接関係します。
特に、日本のように貿易と国際協調に大きく依存する経済にとって、関税や保護主義の動き、国連やWTOといった国際機関のあり方、グローバル・サウスとの関係は、企業のサプライチェーンから個人の生活費まで幅広い影響を持ちます。
このニュースを読みながら、次のような点を考えてみることもできそうです。
- 「ルールに基づく国際秩序」を誰が、どのように守るべきなのか
- 関税や経済的な圧力といった手段は、どこまで正当化できるのか
- グローバル・サウスや最貧国の「発展の権利」をどう支えるのか
- 日本は、多国間主義と安全保障上の同盟関係の間で、どのようなバランスを取るべきか
中国が掲げる多国間主義や公平の理念をどう評価するかは読む人によって異なりますが、国連の場で発せられた今回のメッセージは、これからの世界のルールづくりに参加する一人ひとりに問いを投げかけています。
Reference(s):
Chinese envoy calls for joint opposition to unilateralism, bullying
cgtn.com








