Auto Shanghai 2025でAIヒューマノイドロボットが主役に
2025年4月23日から5月2日にかけて上海で開催された国際自動車ショー「Auto Shanghai 2025」では、AIヒューマノイドロボットが来場者の大きな注目を集めました。国際ニュースとしても注目されるこのイベントから、自動車産業とAI技術のいまを読み解きます。
国際自動車ショー「Auto Shanghai 2025」とは
「Auto Shanghai 2025」は、世界各地の自動車メーカーや関連企業が集まる国際自動車ショーです。今年は、26の国と地域から約1,000社近い企業が参加し、新型車や電動化技術だけでなく、AIロボットや次世代サービスのコンセプトも披露されました。
その中でも特に話題を集めたのが、人型のAIロボット、いわゆる「AIヒューマノイドロボット」です。単なる展示物ではなく、販売や案内といった具体的な役割を担う存在として登場したことが、来場者の関心を引きました。
若い女性の姿をしたヒューマノイド「Mornine Gen-1」
注目を浴びた一つが、中国の自動車メーカー・Cheryが開発したヒューマノイドロボット「Mornine Gen-1」です。若い女性をイメージした外見を持ち、人と自然にコミュニケーションできるよう設計されています。
「Mornine Gen-1」は、次のような用途を想定しているとされています。
- 自動車販売の相談対応(モデルの違い説明やおすすめ提案など)
- ショールームや店舗での案内・誘導
- イベント会場などでのエンターテインメントパフォーマンス
これまで画面の中で完結していたAIアシスタントが、実際の空間に「人の姿」で現れたことで、来場者は新鮮さとともに、近い将来の店舗体験をイメージしやすくなったと言えます。
AgiBotのA2:会話で魅せる「セールスコンサルタント」ロボット
もう一つ人気を集めたのが、AgiBotのインタラクティブ(対話型)サービスロボット「A2」です。会場では「セールスコンサルタント」の役割を担い、来場者と積極的にやり取りする姿が目立ちました。
「A2」が評価されたポイントとして、次のような点が挙げられます。
- 来場者の質問に即座に反応する対話能力
- 自動車やサービスの情報を分かりやすく説明するプレゼン力
- 来場者の興味に合わせて提案内容を変える柔軟性
単に事前に用意された台本を話すのではなく、「対話を通じて経験をつくる」ロボットとしての姿は、今年のAuto Shanghai 2025の象徴的なシーンの一つとなりました。
なぜ自動車ショーでAIヒューマノイドロボットなのか
自動車ショーと聞くと、従来はコンセプトカーや新型モデルが主役というイメージが強いかもしれません。しかし、今回のAuto Shanghai 2025でAIヒューマノイドロボットが大きく取り上げられた背景には、自動車産業を取り巻く環境の変化があります。
1. 「モノ」から「体験」へと競争軸がシフト
電動化や自動運転の技術が進むなかで、自動車そのものの性能差だけで差別化することは難しくなりつつあります。その中で各社が重視しているのが、「購入前後の体験」です。ショールームでの接客、アフターサービス、ブランドとの長期的な関係づくりなど、体験の質をどう高めるかが問われています。
AIヒューマノイドロボットは、この「体験」の入口となる存在として活用が期待されます。人手だけでは対応しきれない時間帯や多言語対応などを補いながら、ブランドの世界観を伝える役割を担えるからです。
2. 労働力不足とサービスの標準化
小売やサービスの現場では、世界各地で人手不足が課題になっています。AIロボットによる接客は、こうした課題を和らげる一つの選択肢になり得ます。また、AIを活用することで、一定の水準以上の説明や案内をどの店舗でも提供しやすくなるという利点もあります。
「Mornine Gen-1」や「A2」のようなロボットは、人間のスタッフを置き換えるというより、現場の負担を軽くし、サービスの質をそろえるための「パートナー」としての役割が想定されているとも言えます。
3. AI技術の「見える化」とブランド発信
目に見えないソフトウエアやアルゴリズムだけでは、企業が持つAI技術のレベルは一般の人には伝わりにくいものです。対照的に、ヒューマノイドロボットは、AIとロボティクスの進化を視覚的にアピールできる存在です。
Auto Shanghai 2025の会場でAIヒューマノイドロボットを前面に出すことは、自社の技術力や将来のサービスビジョンを、来場者やメディアに分かりやすく発信する手段にもなっています。
自動車とAIロボット、これからどこで出会うのか
今年のAuto Shanghai 2025で見えてきたのは、自動車産業が「クルマを売る」だけのビジネスから、「移動と生活全体の体験をつくる」ビジネスへと広がりつつあるという流れです。その中で、AIヒューマノイドロボットは、販売や案内、エンターテインメントをつなぐ新しいインターフェースになりつつあります。
今後、次のような場面で、今回紹介したようなロボットが活躍する可能性があります。
- 自動車ディーラーのショールームでの受付・商品説明
- 大型商業施設での店舗案内やイベント案内
- モーターショーなど国際イベントでの多言語対応ガイド
AIヒューマノイドロボットが当たり前のようにサービス現場にいる日常は、まだ始まったばかりです。今年のAuto Shanghai 2025で披露された「Mornine Gen-1」や「A2」は、その一つのスタートラインを示したと言えるでしょう。
自動車、AI、ロボットが交わるこの新しい領域は、今後も国際ニュースやテクノロジーの文脈で注目していきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








