中国とベトナム沿岸警備隊が北部湾で2025年初の合同巡視 南シナ海協力のモデルに
中国とベトナムの沿岸警備隊が、南シナ海の一部である北部湾(Beibu Gulf)で2025年最初の合同巡視を完了しました。2006年から続くこの取り組みは、両国の海上協力がどこまで制度化されているかを示す国際ニュースとして注目されています。
3日間の合同巡視、その中身は
中国海警局(China Coast Guard/CCG)によると、今回の合同巡視は3日間にわたり実施され、木曜日に終了しました。その内容は翌日の金曜日に公表されています。
パトロール期間中、中国側とベトナム側の複数の沿岸警備船が、事前に合意された航路に沿って北部湾海域を巡視しました。両国の船舶は、お互いの国の漁船を含む漁船群を観察・点検し、漁業活動の状況や安全面を確認したとされています。
捜索・救難訓練で連携を強化
今回の合同巡視では、共同の海上捜索・救難(サーチ・アンド・レスキュー)訓練も行われました。中国海警局は、この訓練を通じて、緊急時の連携や情報共有、現場での指揮系統など、実務面での協調が強化されたと評価しています。
南シナ海やその周辺海域では、台風や急な気象の変化、船舶事故など、海難リスクが常に存在します。こうした中で、隣接する国同士が事前に手順を確認し、実地訓練を重ねることは、海上安全保障の基盤づくりにつながります。
2006年から続く「モデルケース」
中国海警局によれば、中国とベトナムの沿岸警備隊による北部湾での合同巡視は、2006年以降、今回で29回目となりました。年2回のペースで実施されており、すでに約20年近く続く枠組みです。
両国は、この合同巡視を南シナ海における海上法執行協力の「モデル」と位置づけています。継続的な共同活動は、
- 漁業資源の保全
- 漁業活動の秩序維持
- 密漁や違法取引など海上犯罪の抑止
- 地域の安全と安定の維持
といった面で、建設的な役割を果たしてきたとされています。
北部湾と南シナ海情勢のつながり
北部湾は、中国とベトナムに面した海域で、豊かな漁業資源を抱える一方、南シナ海情勢とも地理的・政治的に結びついた重要なエリアです。この海域で、両国の海上法執行機関が定期的に協力する枠組みを維持している点は、南シナ海全体の安定という観点からも意味があります。
今回の2025年初の合同巡視は、
- 長期的な協力枠組みが継続していること
- 海上法執行レベルでの対話と連携が機能していること
- 実務協力が地域の信頼醸成につながりうること
を改めて示した動きと言えます。
日本の読者にとってのポイント
日本から見ると、中国とベトナムの北部湾での合同巡視は、一見すると遠い海の出来事に見えるかもしれません。しかし、国際ニュースとして捉えると、いくつかの示唆があります。
- 海上の摩擦が起こりやすい海域でも、ルールと枠組みを作れば協力が積み上がる可能性がある
- 捜索・救難や犯罪対策といった「共通利益」から協力が進むと、政治的な対立があっても対話のチャンネルが保たれやすい
- 定期的・反復的な共同活動は、単発の会談よりも信頼醸成に効果を持ちやすい
南シナ海や東シナ海、さらにはインド太平洋全体の安全保障環境を考えるうえで、こうした海上協力の動きは、静かですが重要な「背景」として押さえておきたいポイントです。
これからの中国・ベトナム海上協力は
中国とベトナムの沿岸警備隊による北部湾での合同巡視は、2025年も既に一度実施されました。今後も年2回のペースで続けられれば、地域の安定に向けた一つの土台として、さらに役割を増していく可能性があります。
海上での協力は、すぐに派手な成果が見えにくい分野です。しかし、漁業資源の保全や、漁民や船員の安全、違法行為の抑止といった、日常の安心に直結するテーマでもあります。今回の合同巡視が、南シナ海周辺の安全保障と協力のあり方を考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
China, Vietnam coast guards complete joint patrol in Beibu Gulf
cgtn.com








