中国映画の聖地・青島八大関とは?建築がつくるロケ地の魅力
2025年、中国の青島市が映画賞 Huabiao Film Awards(華表映画賞)の開催地となり、その舞台として改めて注目されているのが八大関景区です。映画と建築が出会う場所として知られるこのエリアは、国際ニュースや中国映画に関心のある読者にとっても見逃せないスポットです。
映画賞の開催地・青島と八大関景区
Huabiao Film Awards が開かれる青島市は、海沿いの景観と近代的な都市機能をあわせ持つ港町です。その青島の中でも、八大関景区は中国でよく知られた映画のロケ地として、多くの作品に選ばれてきました。Down-trodden Peach Blossom、Successor、With You などの作品が、このエリアで撮影されています。
2025年に映画賞の開催地となったことで、八大関景区は、映画ファンだけでなく建築や都市デザインに関心を持つ人々からも、あらためて注目される存在になっています。
八大関とは?海と緑に抱かれた歴史的エリア
八大関景区は、青島市に位置する風致地区で、海に近い立地が特徴です。エリアのすぐそばには海が広がり、散策路からは海風や波の音を感じることができます。
市街地でありながら、周辺には広い緑地や庭園が点在し、さまざまな珍しい樹木が植えられています。こうした自然環境が、映画の中にやわらかな光や季節感をもたらし、ロマンチックな雰囲気をつくり出しています。
1930年代から続く街並み
八大関は1930年代に形成され、青島の歴史的変化を見つめてきたエリアでもあります。長い時間をかけて育まれてきた街並みには、戦前からの都市計画や国際交流の痕跡が折り重なっており、歩くだけで複数の時代が共存しているような感覚を味わえます。
映画のロケ地としては、この「時間のレイヤー」が重要な意味を持ちます。登場人物の過去や未来、街の移り変わりといった抽象的なテーマを、建物や街路そのものが静かに表現してくれるからです。
多様な建築様式が支える撮影空間
八大関景区の大きな特徴は、建築様式の多様さです。エリア内には、ゴシック、ルネサンス、バロックなど、さまざまなスタイルの建物が立ち並んでいます。これは、1930年代からの歴史の中で、異なる文化的背景を持つ建築が集積してきた結果でもあります。
ゴシックからバロックまで、場面に合わせて選べる
ゴシック様式の尖ったシルエットは、ドラマチックで緊張感のある場面に向いています。一方で、ルネサンス様式の落ち着いた外観は、知的で静かなシーンを演出しやすいといえます。曲線や装飾が豊かなバロック様式の建築は、華やかさや高級感を表現したい場面に適しています。
八大関景区にはこれらの要素がまとまって存在しているため、監督や撮影監督は、作品のテーマや登場人物の心情に合わせて場所を選ぶことができます。結果として、一本の映画の中でありながら、異なる時代や空気感を自然に行き来するような映像表現が可能になります。
海と緑が生む「ロマンス」の空気
建物だけでなく、八大関景区の魅力を支えているのが、海と緑のバランスです。海に隣接し、広い緑地や庭園が点在していることで、映像には自然光と陰影が豊かに入り込みます。
例えば、海沿いの道を歩く二人の後ろに歴史的な建物が静かに映り込むだけで、作品は一気にロマンチックで印象的な雰囲気を帯びます。恋愛映画や青春映画がこの地を選ぶ理由の一端は、こうした「何気ない一場面を、絵になるシーンに変えてしまう」環境にあると言えるでしょう。
観光地ではなく「物語の舞台」として見る八大関
八大関景区は観光地としても人気がありますが、映画やドラマを通して見ると、また違った表情が見えてきます。作品の中で繰り返し登場することで、実在の街並みが「物語の記憶」を帯びていくからです。
Down-trodden Peach Blossom、Successor、With You など、八大関で撮影された作品を見たことがある人は、映像の中に出てくる階段や街路、海辺のカットに注目してみるとよいかもしれません。同じ場所が、作品ごとに違う意味や感情をまとって映し出されていることに気づくはずです。
中国映画を見るときに試したい三つの視点
これから中国映画やアジア映画を鑑賞するとき、八大関のようなロケ地を意識して見ると、作品の楽しみ方が少し変わってきます。ここでは、簡単に三つの視点を紹介します。
- 1. 撮影場所を意識する – 物語の舞台になっている都市名やエリア名に注目すると、現実の地理とストーリーの関係が見えてきます。
- 2. 建築のスタイルに目を向ける – ゴシックなのか、バロックなのか、あるいはよりシンプルな近代建築なのか。建物の雰囲気は、登場人物のイメージづくりにも影響しています。
- 3. 自然と街のバランスを見る – 海や緑、公園などの使い方は、その作品が描こうとしている感情のトーンと深く結びついています。
八大関景区は、こうした視点を試すのにちょうどよい例です。海と建築、歴史と映画が交差するこのエリアを入り口に、中国映画やアジアの映像文化をもう一歩深く楽しんでみるのも良いかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








