中国の風力・太陽光が初めて火力発電を上回る 再生可能エネルギー転換が加速
中国で、風力発電と太陽光(光伏)発電の設備容量が初めて火力発電を上回りました。再生可能エネルギーの転換が加速する中、世界の気候変動対策とエネルギー市場にも影響を与える動きとして注目されています。
風力・太陽光が火力を逆転 その規模は?
公式データによると、3月末時点で中国の風力と太陽光の設備容量は合計14億8,200万キロワットに達し、歴史上初めて火力発電の設備容量を上回りました。全国エネルギー局は、今後も新規の設備導入が高いペースで続くとみており、風力・太陽光が火力より優位な状態が維持されると予測しています。
電力消費に占める割合は22.5%
今年第1四半期(1〜3月)には、風力と太陽光による発電量は5,364億キロワット時に達し、中国全体の電力消費の22.5%を占めました。これは前年同期から4.3ポイントの上昇で、再生可能エネルギーが「周辺的な存在」から、電力システムの中核に近づきつつあることを示しています。
再生可能エネルギー全体でも石炭火力を上回る
公式データはまた、2024年末時点で、中国の再生可能エネルギーの総設備容量が約14億1,000万キロワットに達したことも示しています。これは全国の発電設備全体の40%超を占め、石炭火力の設備容量を上回る水準です。
風力・太陽光に加え、水力やその他の再生可能エネルギーが積み上がることで、中国の電源構成は着実に「低炭素型」へシフトしていると言えます。
急成長する中国の新エネルギー産業
こうした設備容量の逆転の背景には、中国の新エネルギー産業の急速な成長があります。中国は脱炭素化に向けた取り組みを強化しており、その一環として風力・太陽光分野への投資と設備導入を拡大してきました。
- 2013年以降、風力発電の設備容量は約6倍に拡大
- 同じ期間に太陽光発電の設備容量は180倍以上に急増
- 年間の新規導入容量は、世界全体の40%超を占める規模に達している
このペースでの拡大は、国内のエネルギー転換を後押しするだけでなく、世界全体のグリーン成長にも大きく貢献していると評価できます。
なぜ重要か:中国と世界へのインパクト
中国の風力・太陽光が火力を上回ったことは、中国国内にとどまらず、国際エネルギー市場や気候変動対策にも影響を与える動きです。その意味を少し整理してみます。
1. 脱炭素化の「現実的な転換点」
再生可能エネルギーの設備容量が火力を上回ったという事実は、脱炭素化が目標やスローガンの段階を超え、「現実の設備構成」のレベルで転換点を迎えつつあることを示しています。
特に発電部門は、温室効果ガス排出削減の鍵となる分野です。この分野での構造変化は、今後の都市インフラ、産業活動、交通・モビリティなどにも連鎖的な影響を与える可能性があります。
2. エネルギー安全保障と価格への影響
風力・太陽光の拡大は、輸入化石燃料への依存を減らすことで、エネルギー安全保障の強化にもつながります。長期的には、再生可能エネルギーのコスト低下が進むことで、電力価格の安定にも寄与する可能性があります。
一方で、変動の大きい自然エネルギーの比率が上がるほど、送電網の強化や蓄電技術の導入など、「安定して電気を届けるための仕組みづくり」が重要になっていきます。
3. 世界のグリーン産業競争の焦点に
中国の新エネルギー産業は、設備の導入量だけでなく、関連する製造業やサプライチェーン全体でも存在感を高めています。風力タービン、太陽光パネル、関連部材などの分野で、中国企業は世界市場で大きなシェアを持つようになっています。
こうした動きは、各国の産業政策や投資戦略にも影響を与え、グリーン産業をめぐる国際競争の一つの焦点になりつつあります。
これからの注目ポイント
風力・太陽光が火力を上回るという節目を越えた今、今後の注目ポイントは「量から質へ」の転換です。具体的には、次のような点が焦点になっていきそうです。
- 送電網の整備とスマートグリッド化による安定供給
- 蓄電池などエネルギー貯蔵技術の導入拡大
- 再生可能エネルギーの出力変動を前提とした市場設計や制度づくり
- 産業・交通分野との連携を通じた「電化」と「脱炭素化」の同時推進
中国の動きは、アジアを含む世界各国にとって、エネルギー転換のスピードとスケールを考える上での重要な参考事例となります。日本のエネルギー政策や企業戦略を考えるうえでも、数字のインパクトだけでなく、その裏側にある構造変化を丁寧に追っていくことが求められそうです。
Reference(s):
China's wind, solar capacity surpasses thermal power for first time
cgtn.com








