中国の王毅外相「多国間主義を志を同じくする国々と守る」
中国の王毅国務委員兼外相は、アルマトイで開かれた第6回中国・中央アジア外相会合の場で、志を同じくする国々と連帯し、多国間主義を守り、公平と正義を擁護し、保護主義に反対していく考えを強調しました。この国際ニュースは、中国と中央アジアの関係強化だけでなく、関税や貿易戦争をめぐる世界経済の行方とも深く関わっています。
アルマトイでの第6回中国・中央アジア外相会合とは
カザフスタンのアルマトイで開かれた第6回中国・中央アジア外相会合には、中国とウズベキスタンを含む中央アジアの外相が参加しました。この枠組みは、中国と中央アジア各国が定期的に集まり、安全保障や経済協力、地域の安定などを話し合う場として機能しています。
今回の会合では、中国とウズベキスタンの二国間関係に焦点が当てられたほか、関税や貿易をめぐる国際環境、地域の連結性(コネクティビティ)を高めるインフラ計画などが議題となりました。
王毅外相「世界を弱肉強食のジャングルに戻さない」
王毅氏(中国共産党中央政治局委員)は、関税問題に関する中国の原則的な立場を詳しく説明しました。特定の国々が自国の利益を最優先する名目で、いじめのような手法や強制的な取引に頼り、不当に貿易戦争を仕掛けていると指摘し、こうした極端で利己的な行動は、かえって自らの信用を損なうだけだと批判しました。
そのうえで王毅外相は、中国は歴史と国際ルールの正しい側に立つと強調しました。世界が強者の論理が支配する弱肉強食のジャングルに逆戻りすることを防ぐため、志を同じくする国々と連帯し、多国間主義を守っていく姿勢を示しました。
ここでいう多国間主義とは、複数の国が国際機関やルールを通じて協力し、問題を話し合いで解決していこうとする考え方です。王毅外相の発言は、保護主義や一方的な制裁よりも、国際ルールに基づく協調を重視する立場を改めて打ち出したものと言えます。
中国・ウズベキスタン関係「新時代の全天候型包括的戦略パートナーシップ」へ
王毅外相は、中国とウズベキスタンの関係が「新時代の全天候型包括的戦略パートナーシップ」に引き上げられたと述べ、両国関係が新たな段階に入ったと評価しました。全天候型という表現には、国際情勢が変化しても揺らぎにくい、安定した関係を築くという意味合いがあります。
この新たな位置づけは、両国の協力分野が、安全保障や政治対話にとどまらず、インフラ、デジタル、環境など幅広い領域に広がっていることを示しています。
象徴となるインフラ計画:中国-キルギス-ウズベキスタン鉄道
王毅外相は、中国がウズベキスタンと協力し、中国-キルギス-ウズベキスタン鉄道の建設を加速し、早期の完成と運営開始をめざす方針を示しました。この鉄道は、中国と中央アジアを結ぶ重要な物流ルートとして位置づけられており、貨物輸送の時間短縮や、地域全体の貿易拡大につながると期待されています。
インフラでの連結性が高まれば、中国と中央アジア諸国の経済的な結びつきが一段と強まり、エネルギー、資源、製造業などの分野で新たなビジネス機会が生まれる可能性があります。
AI・デジタル貿易・気候変動での協力拡大
王毅外相は、人工知能(AI)、デジタル貿易、気候変動といった新しい分野での協力を拡大する考えも示しました。従来のモノの貿易だけでなく、デジタル技術や環境分野での連携を深めることで、両国の近代化と発展・振興を後押しする狙いがあります。
特にデジタル貿易は、オンラインサービスや電子商取引(EC)などを含む広い概念で、若い世代のビジネスやスタートアップとも相性が良い分野です。こうした領域で中国とウズベキスタンが連携を強めれば、中央アジアのデジタル経済の成長にも影響を与えうるでしょう。
中国の近隣外交方針と「中国・中央アジアの共同の未来」
王毅外相は、最近の「周辺外交工作会議」で示された方針に沿って、中国が親善、安定、繁栄を重視しつつ、誠実、互恵、包摂、善隣を掲げる近隣外交を継続すると説明しました。これは、周辺国との信頼を深め、地域全体の安定と発展を重視するというメッセージでもあります。
さらに、中国はウズベキスタンを含む中央アジア諸国と戦略的な相互信頼を固め、実務協力を深めることで、「中国・中央アジアの共同の未来を分かち合うコミュニティ」を構築していく方針を示しました。この表現には、中国と中央アジアが運命を共にするパートナーとして、長期的な協力関係を築いていくという意味が込められています。
ウズベキスタンの立場:一つの中国原則とWTOルールを支持
ウズベキスタンのサイドフ外相は、中国との兄弟のような友情を大切にしていると述べ、一つの中国原則を堅持する姿勢を改めて表明しました。また、両国が揺るぎないパートナーとして互いを支え合うことへの期待も示しました。
サイドフ外相は、国際情勢に深い変化が起きている中で、中国・中央アジア枠組みの戦略的な重要性が一段と高まっていると指摘。中国は国際問題で約束を守り、大国としての責任ある姿勢を示していると評価しました。
ウズベキスタンは、中国が打ち出している一連のグローバルなイニシアチブを支持し、中国の近隣外交会議で示された原則を歓迎すると表明しました。さらに、世界貿易機関(WTO)のルールを断固として支持し、中国と協調して課題に対応し、多国間主義を守り、世界の安定に貢献していく意欲を示しました。
上海協力機構(SCO)と天津サミットへの期待
両国外相は、上海協力機構(SCO)での協力強化についても意見交換しました。サイドフ外相は、中国が議長国としての責任を果たすことへの全面的な支持を表明。天津で開かれるSCO天津サミットが「完全な成功」を収め、機構の発展に強い新たな原動力を与えると確信を示しました。
SCOは、安全保障や経済協力を柱とする地域協力の枠組みであり、中国と中央アジア諸国にとって重要な対話の場となっています。天津サミットが、中国・中央アジアの連携をさらに後押しする場となるかが注目されます。
今回の動きをどう見るか:日本の読者へのヒント
今回の王毅外相とサイドフ外相の会談は、中国とウズベキスタンの二国間関係の強化にとどまらず、以下のような広い意味を持つ動きと見ることができます。
- 関税や貿易摩擦が続く中で、多国間主義とWTOルールを重視する姿勢を再確認したこと
- 中国・ウズベキスタン関係が、インフラとデジタル分野を含む包括的な協力へと広がっていること
- 中国・中央アジア枠組みやSCOが、地域秩序や経済連結性をめぐる重要なプラットフォームとして存在感を増していること
- 近隣外交の方針を通じて、中国が周辺地域との信頼構築と安定確保を重視していること
日本を含むアジアや世界の読者にとって、中国と中央アジアの連携強化は、サプライチェーン(供給網)、エネルギー、安全保障、デジタル経済など幅広い分野に影響を与えうるテーマです。今後、中国-キルギス-ウズベキスタン鉄道の進捗や、AI・デジタル貿易のルールづくり、SCOやWTOを舞台とした多国間協調の行方が、国際ニュースとして一層注目されていきそうです。
Reference(s):
Wang Yi: China to uphold multilateralism with like-minded countries
cgtn.com







