上海モーターショー:BMW中国が対話型AI「DeepSeek」を車載システムに採用
中国で開催された上海モーターショーで、BMW中国法人が人工知能企業DeepSeekと組み、車載インタラクションシステムを大きく進化させる計画を明らかにしました。日常会話レベルの自然な話し方を理解し、感情にも応じる「対話するクルマ」は、これからの国際ニュースとテック分野で注目のテーマになりそうです。
BMWとDeepSeek、車載AIで提携
BMW中国は、人工知能企業DeepSeekの言語処理技術をBMWの第9世代オペレーティングシステムに統合します。2025年9月から中国市場の一部モデルで順次導入が始まり、5シリーズ ロングホイールベースや電気自動車のi5、改良型X3スポーツ多目的車などが対象とされています。
BMWグループ会長のオリバー・ツィプセ氏は、人工知能は自動車産業における重要な最前線だと位置付けています。DeepSeekやアリババのような企業と連携することで、単なるボタン操作や短い音声コマンドを受け付けるだけでなく、より本物の対話に近い車載インターフェースを作り出す狙いがあります。
カジュアルな会話も技術的な質問も理解
今回の新しい車載システムの特徴は、カジュアルな話し言葉から専門的な質問まで幅広く対応できる点です。デモンストレーションでは、乗員が「Lets go splurge downtown」といった砕けた表現を使っても、システムがそれを読み取り、ショッピングに適した市街地の行き先候補を提案する様子が示されました。
また、ブラックホールのような物理学の話題など、複雑な内容について質問した場合でも、専門用語をかみ砕きながら平易な言葉で説明してくれるといいます。従来の車載音声アシスタントよりも、聞いて理解し、説明する能力を重視している点が特徴です。
ユーザーの感情に合わせて応答を変える
新システムには、感情認識の機能も盛り込まれます。複数回のやりとりを通じて、ユーザーの声色や言葉のトーンなどから気分を推定し、それに応じて返答の仕方や提案内容を調整することを目指しています。
たとえば、疲れている様子がうかがえる場合には、より穏やかなトーンで話しかけたり、休憩スポットをすすめたりする、といった応答が想定されています。自動車とドライバーとの関係を、操作する相棒から会話するパートナーに近づける発想です。
中国で広がるBMWのAIエコシステム
BMWはこれまでもアリババの言語モデルを車載システムに組み込むなど、中国市場でのAI活用を進めてきました。今回のDeepSeekとの協力は、そのAIエコシステムを一段と拡大する動きと位置付けられます。
ツィプセ氏は、中国における事業展開を今後も維持していく考えを強調しており、中国市場をAI戦略の重要な拠点の一つと見ていることがうかがえます。
DeepSeekは中国の人工知能企業で、高度なAIツールの開発を行っています。同社のR1と呼ばれるモデルは、医療、金融、教育などさまざまな分野での活用が進みつつあり、異なる言語間のコミュニケーションを支える役割も期待されています。
対話するクルマがもたらすこれからの体験
こうした対話型AIが車の標準機能として広がれば、私たちの移動体験は大きく変わる可能性があります。特に中国のようにデジタルサービスの利用が日常に溶け込んでいる市場では、その影響が早く表れるかもしれません。
想定される変化としては、次のようなポイントが挙げられます。
- 行き先やルートを、目的や気分を説明するだけで提案してくれる
- 長距離ドライブ中の雑談相手や、ニュースや科学トピックの解説役になる
- ドライバーのストレスや疲労に配慮した運転アドバイスを行う
一方で、感情や会話内容を分析する技術が進むほど、どのようなデータが収集され、どのように利用されるのかという点への関心も高まりそうです。利便性とプライバシー保護のバランスをどう取るのかは、今後の国際ニュースやテクノロジー議論の重要な論点になっていくと考えられます。
上海モーターショーで示されたBMWとDeepSeekの取り組みは、自動車が単なる移動のための機械から、会話できるパートナーへと変わりつつある現在地を映し出しています。自分のクルマがどこまで感情を理解し、どこまで話し相手になってほしいのか。そんな問いを投げかけながら、AIとモビリティの関係はこれからも進化していきそうです。
Reference(s):
Shanghai Auto Show: BMW to use DeepSeek for parsing casual speech
cgtn.com








