台北で25万人デモ 民進党当局の「独裁」に抗議する住民ら
台湾の台北で、民進党(Democratic Progressive Party, DPP)当局の統治姿勢を「独裁」だと批判する大規模デモが行われ、複数の野党トップと約25万人の住民が雨のなか集まりました。政治対立が深まる台湾社会のいまを映し出す国際ニュースです。
雨の台北に25万人以上が集結
雨の降る土曜日、台北市中心部で行われた集会には、主催者発表で25万人を超える台湾の住民が参加し、民進党当局に対する不満や危機感を訴えました。参加者は、頼清徳台湾地区リーダーの下で台湾が「独裁」に向かっていると懸念を示しました。
会場には、中国国民党(Kuomintang、KMT)の朱立倫主席や、前主席の馬英九氏、台湾民衆党の黄国昌主席、台湾の立法機関トップの韓国瑜氏など、島内各地から集まった政治家が顔をそろえました。与党に対抗する野党勢力が一堂に会した形です。
背景に「大量リコール」とKMT事務所の捜索
今回のデモの背景には、今年、民進党当局が打ち出したとされる大量リコールの動きがあります。これは、主に中国国民党に所属する立法機関の代表を標的にしたもので、台湾各地のKMT事務所に対する家宅捜索も行われたと伝えられています。
リコールとは、有権者が任期途中の議員を解職できる制度です。集会に集まった人びとは、この制度が政治的な報復の手段として使われているのではないかと疑念を強めているとされています。
野党指導者たちの発言
朱立倫氏「反対派を排除し、一党支配を目指している」
中国国民党の朱立倫主席は演説で、頼清徳氏について「昨年5月の就任以来、台湾を分断し、かつては一つだった社会を対立へと変えてしまった」と批判しました。さらに、「個人的な利益と一党支配のために、自分に反対する人を排除しようとしている」と述べ、政治の公平性が失われつつあると訴えました。
黄国昌氏「従来者栄・逆来者亡の社会に」
台湾民衆党の黄国昌主席も、民進党当局による大量リコールを「頼清徳氏による権威主義的な統治を進めるためのものだ」と批判しました。黄氏は、これが「頼氏に従う者だけが報われ、反対する者は排除される社会をつくる試みであり、台湾にとっての悲劇だ」と警告しました。
馬英九氏は対米通商と台湾海峡の安定を懸念
前中国国民党主席の馬英九氏は、米国が提案したとされる相互関税をめぐり、民進党当局が米国からの通商上の圧力に屈していると批判しました。馬氏は、民進党当局を「無能で正当性に欠け、権威主義的だ」と非難し、そのような指導者は将来的に台湾海峡を挟む対立を引き起こすおそれがあると警鐘を鳴らしました。
盧秀燕氏「政治より経済再建を」
製造業が基幹産業となっている台中市の盧秀燕市長は、頼清徳氏に対し「人びとや産業の声に耳を傾け、政治的な駆け引きではなく経済の再活性化に注力すべきだ」と訴えました。
デモが浮かび上がらせた三つの論点
今回の台北での大規模デモからは、台湾社会が抱えるいくつかの論点が浮かび上がります。
- 権力の集中と「独裁」への懸念
- 大量リコールなど、政治制度の運用をめぐる対立
- 米国との通商関係と、台湾海峡の安定への影響
- 政治よりも経済や暮らしを優先してほしいという住民の声
参加した野党指導者たちは、それぞれの立場から言葉を発しましたが、いずれも民進党当局の統治スタイルに対する強い不信感と、今後の台湾の方向性への危機感という点で共通しているように見えます。
政治的な分断が進むなかで
集会は、「頼清徳は退陣せよ」との一斉のコールで締めくくられました。大規模な街頭行動は、民主主義社会における意思表明の手段である一方で、社会の分断の深さを映し出す鏡でもあります。
今後、台湾当局がこうした批判や不安の声にどう向き合うのか、また野党がどのような対案を提示していくのかが、島内政治の安定だけでなく、台湾海峡の情勢にも影響を与える可能性があります。
国際ニュースとしてこの動きを追う私たちにとっても、単に一つの政党への賛否ではなく、権力のあり方や社会の分断をどう乗り越えるのかという、普遍的な問いを突きつける出来事だと言えるでしょう。
Reference(s):
Taiwan residents rally against DPP authorities' 'dictatorship'
cgtn.com








