中国、対米輸入なしでも食料・エネルギー供給を確保可能と強調
中国の当局者が、米国からの輸入が途絶えたとしても、中国は食料とエネルギーの供給を自力で安定的に確保できると強調しました。米国による関税措置を念頭に、食料安全保障とエネルギー安全保障をめぐる中国のスタンスを示した発言として注目されています。
食料安全保障:「米国依存はごく一部」
国家発展改革委員会の趙辰欣(Zhao Chenxin)副主任は、米国の関税の影響について記者から問われた際、中国の食料安全保障に問題はないとの見方を示しました。
趙氏によると、中国の国内の穀物備蓄は「豊富」であり、米国からの穀物輸入は、2024年の中国の国内消費全体に占める割合が「ごく小さい」にとどまったといいます。米国から輸入している穀物の多くは家畜用の飼料であり、そうした飼料用穀物については国際市場に多くの代替調達先が存在すると説明しました。
趙氏は、米国からの飼料用穀物や油糧種子(食用油の原料となる作物)について、輸入をやめたとしても中国の穀物供給への影響は「最小限」にとどまるとの認識を示し、「たとえ米国からの飼料穀物や油糧種子の購入を停止したとしても、中国の穀物供給にはほとんど影響はない」と述べました。
エネルギー供給も「国内供給は潤沢」
エネルギー分野についても趙氏は、自給力と調達先の多様化を強調しました。原油、天然ガス、石炭といった主要エネルギー資源のうち、2024年の中国のエネルギー消費に占める米国からの輸入分は「ごく小さな割合」にすぎないと説明しました。
そのうえで、国内のエネルギー供給は「潤沢」であり、必要に応じて国際市場の多様な供給国から輸入することが可能だと指摘しました。趙氏は「たとえ中国企業が米国からのエネルギー輸入を減らすか、完全に停止したとしても、中国国内のエネルギー供給には影響は生じない」と述べ、エネルギー安全保障にも自信を示しました。
食料・エネルギー安定へ「供給確保と市場運営」を強調
国家発展改革委員会は、関係部門と連携して食料とエネルギーの安全保障をさらに強化し、国際協力も進めながら、国内の安定的な供給と市場の円滑な運営を実現していく方針です。
趙氏は、こうした取り組みにより、中国国内の食料とエネルギーの安定供給を効果的に確保していくと強調しました。地政学的な緊張や貿易摩擦が続くなかでも、供給網(サプライチェーン)の強靭化を進める姿勢を打ち出した形です。
米国の「互恵関税」を強く批判
一方で趙氏は、米国が導入した「互恵関税」とされる対中関税について、厳しい言葉で批判しました。これらの関税は「典型的な一方的ないじめ行為」であり、「歴史の潮流と経済法則に深く反するもので、失敗する運命にある」と述べました。
趙氏によれば、中国はこうした「不合理な関税」に対し、いわゆる覇権的なやり方に「断固として立ち向かい」、同時に「正当かつ抑制的な対抗措置」を取ってきたといいます。中国側の対応は、自国の合法的な権利と利益を守るだけでなく、国際社会における公平と正義を維持し、世界の自由貿易体制と正常な国際経済秩序を守ることも目的としていると説明しました。
趙氏は最後に、「中国は世界の大多数の国々と歩調を合わせ、歴史の正しい側、人類の進歩の側に立ち続ける」と述べ、国際社会との連携を強調しました。
読み解き:経済安全保障と「輸入リスク」のメッセージ
今回の発言は、中国が米国からの輸入に過度に依存していないと強調しつつ、食料とエネルギーという基盤分野でのリスク管理を重視している姿勢を示したものといえます。
- 食料面では、国内備蓄と輸入先の多様化によって、特定国への依存を低く抑えていることをアピール
- エネルギー面では、国内供給力と国際市場での調達余地を強調し、輸入の「選択肢」を確保していると説明
- 通商面では、関税をめぐる摩擦について、自国の対抗措置を「抑制的で正当なもの」と位置づけ、国際秩序の維持を掲げる姿勢を示した
大国間の関税措置や貿易摩擦が繰り返されるなかで、どの国にとっても、食料とエネルギーを安定的に確保する「経済安全保障」は重要な課題になっています。特定の国や地域への依存度を下げ、複数の供給源を持つことや、戦略的な備蓄を積み増すことは、多くの国が共通して模索している方向性でもあります。
今回の中国側のメッセージは、米中関係や国際貿易をめぐる議論だけでなく、各国がどのように自国の食料・エネルギー政策を設計し、輸入リスクに備えるのかを考えるうえでも、一つの注目材料となりそうです。
Reference(s):
China says able to ensure food, energy supply without U.S. imports
cgtn.com








