中国、同時に40基超の原子力発電所建設が可能に 最新報告を解説
中国が「同時に40基超」建設可能とする原子力報告書
中国原子能産業協会(CNEA)が今週公表した「中国原子力エネルギー発展報告2025」によると、中国は現在、原子力発電所の新設工事を同時に40基以上進める能力を備えているとされています。中国国内外での「華竜一号(フアロン・ワン)」と呼ばれる国産原子炉の量産段階入りが、その背景にあると報告書は指摘します。
2024年の原子力投資は約1,469億元で過去最高
報告によれば、2024年の中国における原子力発電建設への投資額は1,469億元(約201.6億ドル)と過去最高を更新し、前年より520億元増加しました。これは、原子力分野での自主研究や技術革新、先端的な建設手法の導入を強化してきた結果だとされています。
とくに、単基ごとの建設から複数基をまとめて建設する「マルチユニット建設」への移行が進み、原子力発電所全体を一体的に設計・施工する技術や、原子炉建屋を覆う巨大なドームの吊り上げ(ドームホイスト)技術などで、重要な進展があったといいます。
マルチユニットで「ライフサイクル」対応、国際的な競争力も
CNEAの曹述東・常務副会長は、中国が設計、建設、試運転、商業運転に至るまで、原子力プロジェクト全体のライフサイクルを通じて対応できる能力を徐々に確立してきたと説明します。
さらに、複数基を同時に進める原子力プロジェクトの建設・管理能力について、「国際的な最前線にあり、中国は40基以上の原子力発電ユニットを同時に建設できる」と強調しています。報告書は、中国の原子力発電建設の規模、安全性、品質が、いまや国際的に見ても競争力ある水準に達したと評価しています。
都市暖房から医療まで広がる「原子力の総合利用」
今回の報告は、原子力の役割が発電だけにとどまらない点も強調しています。中国は都市暖房や産業利用など、原子力の総合利用を積極的に模索しており、2024〜2025年の暖房シーズンには、海陽、秦山、紅沿河の各原子力発電所があわせて1,400万平方メートル超の面積に熱供給を行いました。これにより、経済面と社会面の双方で大きな効果が出ているといいます。
また、中国の同位体(アイソトープ)生産も大きく前進しました。2024年には、商業用原子炉を活用して炭素14同位体の量産に初めて成功し、炭素14の完全な国内供給体制を実現しました。医療用機器の国産化も加速しており、核医学(放射線を使った診断や治療)などの分野で活用が広がっています。
研究施設の開放と国際協力の広がり
国際協力も活発化しています。曹氏によると、中国は2024年、先進研究炉「中国先進研究反応炉」を含む12の原子力研究施設や実験プラットフォームを海外に開放しました。
さらに、タイ、バングラデシュ、ハンガリー、ポーランド、ナイジェリアとの間で、核医学、原子力農業、産業用照射などの分野に関する共同プロジェクトを立ち上げています。原子力技術をめぐる協力は、医療や農業、生産プロセスの高度化など、民生分野にも広がりつつあります。
エネルギー転換と安全性、今後の論点は
中国の原子力発電能力の拡大と技術の高度化は、同国のエネルギー転換や脱炭素戦略において重要な位置を占めつつあります。一方で、原子力は安全性の確保、廃棄物の管理、住民との対話など、長期的な課題を抱えるエネルギー源でもあります。
今回の報告書は、中国が大規模な原子力建設と国際協力を同時に進めている現在の姿を示すものです。エネルギー安全保障や気候変動対策をめぐる世界的な議論が続くなか、中国の原子力戦略がどのように進化していくのか、今後も注視していく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








