世界最大級自動車運搬船「BYD深圳」、中国から初航海へ
世界最大級の自動車運搬船「BYD深圳」が中国から初航海
中国の自動車メーカーBYDが自社開発した世界最大級の自動車運搬船「BYD深圳」が、2025年12月7日夜、中国東部・江蘇省の太倉港を出港し、ブラジルのイタジャイ港に向けた初航海に乗り出しました。船にはBYDの新エネルギー車(NEV)が7,000台以上積まれており、中国発の電気自動車輸出とグリーン航運を象徴するニュースとして注目されています。
「BYD深圳」とは何か:9,200台積載のNEV専用キャリア
「BYD深圳」は、中国の企業グループである招商局集団傘下の造船所で建造された、自動車運搬船です。標準車両9,200台分の積載スペースを持つ新エネルギー車専用キャリアであり、同種の船としては世界最大級とされています。
全長は219メートル、幅は37.7メートル。2025年4月22日に江蘇省儀征市で引き渡されました。BYDにとっては、新エネルギー車輸送に特化した専用船として4隻目の船であり、これまでの3隻も含めて、いずれも中国で独自に建造された船です。
航路:太倉からイタジャイへ、30日超の長旅
今回の国際航路は、中国東部の江蘇省太倉港から、南米ブラジルのイタジャイ港まで。およそ30日以上の航海が見込まれており、複数の海域をまたぐ長距離輸送となります。
船にはBYDの新エネルギー車が7,000台以上積み込まれています。自動車メーカーが自ら大型の自動車運搬船を運用することで、輸送コストの最適化や、出荷スケジュールを自社でコントロールしやすくなるという狙いもありそうです。
環境対応技術:船自体も「グリーン」に
「BYD深圳」は、新エネルギー車の輸送だけでなく、船そのものにも環境配慮型の最新技術が採用されています。
- 高効率で省エネルギー型の主機関(エンジン)
- BOG(Boil-Off Gas)リコンデンサー:気化したガスを再液化して有効利用する装置
- 船体の汚れ付着を抑え、水の抵抗を減らす防汚・低摩擦コーティング
これらの技術によって燃料消費と排出ガスを抑え、環境負荷の低い「グリーンシッピング」(環境配慮型の海運)を実現しようとしています。新エネルギー車を運ぶ船自体も環境性能を高めることで、サプライチェーン全体の脱炭素化につなげる狙いが見てとれます。
背景にあるもの:拡大する新エネルギー車市場
世界では、新エネルギー車の普及が進み、とくに中国発の電気自動車やハイブリッド車は、多くの国と地域で存在感を高めています。今回の「BYD深圳」の初航海は、中国の自動車メーカーが生産だけでなく、海上輸送のインフラまで自前で整え始めていることを示す動きと言えます。
大量輸送が可能な自動車運搬船を自社で確保することで、
- 輸送能力の安定確保
- 輸送コストの削減
- 納期管理の柔軟性向上
といったメリットが期待されます。これは、国際競争が激しい自動車産業において、物流そのものが競争力の一部になりつつあることを物語っています。
日本の読者にとってのポイント
今回のニュースは、日本の読者にとっても複数の示唆を含んでいます。
- 電動車のグローバル展開がさらに加速している
生産拠点だけでなく、専用の海運インフラが整備されることで、新エネルギー車の輸出ペースが一段と高まる可能性があります。 - 「物流」をめぐる競争が新たな焦点に
自社船を保有・運航する動きは、価格競争だけでなく、サプライチェーン全体での効率化競争が進んでいることを示しています。 - 環境対応は製品だけでなく輸送手段にも
環境性能の高い船で新エネルギー車を運ぶという発想は、脱炭素を目指す国際社会の流れとも重なります。
日系の自動車メーカーや海運企業、そして政策当局にとっても、こうした動きをどのように捉え、どのような戦略を描くのかが問われていくタイミングに来ていると言えるでしょう。
世界最大級の自動車運搬船「BYD深圳」の初航海は、単なる一企業のニュースにとどまらず、電動化とグリーン物流が同時に進む現在の国際経済の姿を象徴的に映し出しています。
Reference(s):
World's largest car carrier sets off on maiden voyage from China
cgtn.com







