中国の李強首相が河川保護と子どもの福祉強化を指示 医療保障法案と原発安全も協議
中国の李強首相が主宰した国務院常務会議で、河川・湖沼の保護、困難を抱える子どもの福祉、医療保障制度の法制化、原子力発電の安全確保が一体的に議論されました。環境、社会保障、エネルギー政策が同時に俎上に載った今回の会議は、2025年の中国の政策優先順位を読み解くうえで重要な動きです。
会議のポイント:環境、福祉、医療、エネルギーを一括議論
国務院常務会議では、次のようなテーマが取り上げられました。
- 河川・湖沼の保護を強化し、水環境や水生生態系の改善をさらに進めること
- 困難な状況にある子どもの福祉保護を強め、生活・医療・教育・メンタルヘルス支援を充実させること
- 医療保障に関する法律案(医療保障法案)を原則了承し、全国人民代表大会常務委員会に付託する方針を確認したこと
- 浙江省三門市でのプロジェクトを含む原子力発電プロジェクトの建設を承認しつつ、「絶対的な安全」を強調したこと
環境政策、子どもの権利保護、社会保障の法整備、エネルギー安全保障という、異なる分野の政策が同じテーブルで議論されたことが特徴です。
河川・湖沼の保護:「科学的・法に基づくアプローチ」
会議は、中国の水生生態系が「継続的に改善している」と評価したうえで、河川や湖沼の保護をさらに推し進める方針を示しました。単なる水質改善にとどまらず、水資源、水環境、水生生態系を一体として向上させる「総合的な水政策」が打ち出されています。
具体的には、次のような方向性が示されました。
- 汚染対策を「狙いを定めた、科学的で法に基づく方法」で進めること
- 汚染の発生源を特定し、源流から対策を講じること
- 監視やトレーシング(汚染源の追跡)を強化すること
- 過剰な排出を抑え、違反行為をしっかり抑制すること
中国は広大な河川ネットワークと湖沼を抱えており、工業化や都市化の進展と水環境保護の両立が課題となってきました。今回の会議は、改善の流れを維持しつつ、法執行と科学的知見に基づく管理へのシフトをさらに進める意図がうかがえます。
「困難を抱える子ども」の福祉をどう守るか
会議がもう一つの柱として強調したのが、「困難な状況にある子ども」の福祉保護です。ここで言う困難な状況とは、経済的な貧困だけでなく、家庭環境、健康状態、障がい、虐待など、さまざまな要因を含むと考えられます。
会議は、次の点を重視するよう呼びかけました。
- 子どもの発達を優先し、子どもにとっての利益を最大化するという視点を政策の軸に据えること
- 生活支援、医療、教育、メンタルヘルス(心の健康)といったサービス体制を継続的に改善すること
- 困難を抱える子どもへの支援制度を、より隙間の少ない仕組みにしていくこと
子どもの福祉は、長期的な社会の持続可能性と直結するテーマです。会議は、子どもに関わる政策を「周辺分野」ではなく「優先分野」として位置づける姿勢を明確にしています。
医療保障法案:社会保障を「法律」で支える動き
会議では、医療保障に関する法律案(医療保障法案)の草案についても審議が行われました。この法案は、会議で「原則として承認」され、今後は全国人民代表大会常務委員会に付託されて審議される予定です。
医療保障法案の詳細な条文は今回の発表では示されていないものの、会議での議論からは、医療費の支え方や保険制度の運用を法的に位置づけ、全国的に統一性と安定性を高めようとする方向性が読み取れます。高齢化が進む社会では、医療と福祉の負担をどう分かち合うかが大きなテーマであり、中国でも制度の「法制化」が重要なステップとなります。
原子力発電プロジェクトと「絶対的な安全」
会議は、浙江省三門市でのプロジェクトを含む原子力発電プロジェクトの建設を承認しました。同時に、「原子力発電の発展において絶対的な安全を確保する」ことを強く打ち出しています。
具体的には、次のような方向性が示されました。
- 新たな原子力発電所の建設や運転にあたって、世界最高水準の安全基準に沿うこと
- 原子力安全を監督する体制や能力を、継続的に強化すること
- 安全性を前提としたうえで、エネルギー供給の安定に資する役割を果たすこと
原子力発電は、温室効果ガスの排出が少ない一方で、事故リスクや放射性廃棄物の処理など課題も抱えるエネルギー源です。会議が「絶対的な安全」という表現まで用いている点は、国内外の安全意識の高まりを踏まえたメッセージといえます。
日本の読者にとっての意味:環境・福祉・エネルギーをどう両立するか
今回の国務院常務会議の内容は、中国国内の政策に関するものですが、日本の読者にとってもいくつかの示唆があります。
- 水環境保護:大河川や湖沼を持つ国として、中国の水政策の変化は、越境汚染の抑制や生態系保全の面で、東アジア全体にも影響を与えうるテーマです。
- 子どもの福祉:困難を抱える子どもをどう支えるかは、日本を含む多くの社会の共通課題です。生活・医療・教育・メンタルヘルスを一体として支援する発想は、各国が参考にし合える部分があります。
- 医療保障の法制化:医療費の負担をどう支え合うか、国の仕組みを「法律」でどこまで規定するかは、社会保障制度設計のコアとなる論点です。
- 原子力の安全:エネルギー転換が進む中で、原子力をどう位置づけるか、安全基準をどう作り、どう監督するかは、日本でも議論が続くテーマです。
2025年の現在、環境保護、子どもの福祉、医療保障、エネルギー安全保障は、どの国にとっても避けて通れない課題です。中国の動きを日本語で丁寧に追うことは、私たち自身の社会のあり方を考え直すきっかけにもなります。
河川や湖沼の保護、困難を抱える子どもの支援、医療保障の法整備、原子力発電の安全。これらをどのようにバランスさせていくのか――読者それぞれが、自国の状況と重ねながら考えてみる余地がありそうです。
Reference(s):
Premier Li chairs meeting on river and lake protection, child welfare
cgtn.com








