2025年SCO映画祭が中国に回帰 重慶・永川から広がる文化交流 video poster
2025年の上海協力機構(SCO)映画祭が、6月23〜27日に中国・重慶市永川区で開催されました。7年ぶりに中国へ回帰したこの国際映画祭は、映画を通じて平等や相互学習、文化的包摂を掲げ、テクノロジーが変える国際的な映画協働の可能性を探りました。
7年ぶりに中国で開催されたSCO映画祭
2025年のSCO映画祭は、中国・重慶市永川区を舞台に、6月23日から27日までの日程で行われました。SCO映画祭が中国で開かれるのは7年ぶりとされ、文化面での「中国への回帰」としても位置づけられます。
加盟国が集うこの映画祭は、政治や安全保障とは少し距離をおきながら、映画という共通の表現手段を使って、価値観や社会課題を共有するための場となりました。
映画がつなぐ平等と相互学習
今回のSCO映画祭の中心にあるキーワードは、「平等」「相互学習」「文化的包摂」です。多様な背景をもつ国や地域が集まるなかで、映画は立場や規模の違いをこえて対話を生み出すメディアとして期待されています。
運営側が掲げるこれらの価値は、次のような方向性を示していると考えられます。
- 平等:市場規模や制作費の大小にかかわらず、さまざまな作品が同じスクリーンで並び、観客や関係者の評価を受けられる環境を整えること。
- 相互学習:それぞれの国や地域の歴史、社会課題、若者文化などを作品を通じて紹介し合い、「教える/教えられる」ではなく学び合う関係をめざすこと。
- 文化的包摂:言語や民族、ジェンダー、世代などの違いに光を当て、多様な背景をもつ人びとが物語の中に自分を見いだせるようにすること。
映画は、言語の壁をこえて感情やイメージで伝える力を持っています。SCO映画祭は、その力を国際関係のなかでどう活かすかを試す場とも言えます。
テクノロジーと文化の協働が変える映画づくり
2025年のSCO映画祭では、テクノロジーと文化的なつながりが、国境をこえた映画協働をどう変えていくのかが重要なテーマとなりました。
近年の国際映画祭の現場では、次のような動きが広がっています。
- オンライン会議やクラウド環境を活用した、国境をこえた共同脚本づくりや遠隔編集
- 複数言語の字幕や吹き替えを短時間で用意できる翻訳・音声技術
- 配信プラットフォームを通じた、複数の国や地域での同時公開や限定配信
SCO映画祭は、こうした潮流を背景に、テクノロジーを活用した新しい映画協働のかたちを探る試みとして位置づけられています。技術だけでなく、文化的な連帯感や信頼関係が伴うことで、初めて持続的なプロジェクトが生まれる点も重視されています。
加盟国の文化的な一体感をどう育てるか
SCO映画祭が目指すのは、単に作品を上映することではなく、加盟国のあいだに「文化的な一体感」を育てることです。
政治や経済の議題と異なり、映画は日常の感情や生活のディテールを通じて相手を理解する手がかりを与えます。家族、仕事、都市化、若者の不安といったテーマは、多くの国や地域に共通するものでもあります。
- 共通するテーマを描いた作品を通じて、「相手にも似た悩みや喜びがある」という実感を共有すること
- 監督や俳優、制作者同士の対話を通じて、単発ではない長期的なネットワークを築くこと
- 小さな出会いから、将来の共同制作や人材交流の芽を育てていくこと
こうした積み重ねが、SCOという枠組みのなかでの文化協力を、より具体的で生活に近いレベルのものにしていくと考えられます。
映画でつながる国際関係という視点
国際ニュースでは、安全保障や経済摩擦など緊張の側面がクローズアップされがちです。一方で、SCO映画祭のような文化イベントは、そうした緊張とは異なるレイヤーのつながりを見せてくれます。
映画や文化交流を通じた接点は、
- 相手国・地域の社会をステレオタイプではなく、多面的に理解するきっかけになる
- 将来の共同ビジネスや観光、教育交流など、別分野の協力の土台になりうる
- 対立が高まったときにも、細くとも残り続ける対話のチャンネルとなる可能性がある
という意味で、長期的な信頼の構築に貢献し得る側面があります。文化を通じて築かれた関係は、すぐにニュースの見出しにはならなくても、じわじわと効いてくるタイプの「ソフトなインフラ」として機能します。
日本の読者にとってのSCO映画祭
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、SCO映画祭は一見すると遠い出来事に思えるかもしれません。しかし、映画や文化を通じて相互理解を深めようとする動きは、地域を問わず広がっています。
2025年のSCO映画祭が掲げた、平等、相互学習、文化的包摂、そしてテクノロジーを通じた協働というキーワードは、日本の映画祭や文化交流にも通じるテーマです。私たち自身の社会で、こうした視点をどう実現していくのかを考えるうえでも、この映画祭の動きに目を向けておく意味は大きいと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








