習近平氏が上海のAI産業を視察 若者に託す「戦略産業」
2025年4月、中国の習近平国家主席が上海のAIインキュベーターを視察し、AI産業の発展とガバナンス(統治)の両面で上海が先頭に立つよう呼びかけました。本記事では、その視察の内容と発言から、中国がAIをどのような戦略分野として位置づけているのかを整理します。
上海のAIインキュベーターを視察、リード役を要請
習近平氏は今年4月の火曜日、上海市内のAIインキュベーターを訪れました。視察先の「上海基盤モデルイノベーションセンター」は、大規模なAIモデルの育成に特化した拠点で、100社を超える企業が入居しているとされています。
習近平氏はここで、上海に対し、AI開発だけでなく、そのガバナンスやルールづくりの面でも先頭に立つよう求めました。AIの「開発」と「統治」を一体で語った点に、技術競争と同時に秩序ある利用を重視する姿勢が表れています。
急速に進化するAI、「爆発的成長の段階」に
視察の場で習近平氏は、中国共産党中央委員会総書記および中央軍事委員会主席として、AI技術が急速に進化し「爆発的成長の段階」に入っているとの認識を示しました。
その数日前の金曜日には、中国の指導部がAIをテーマにした集中学習会を開催しています。この場で習近平氏は、AIは新たな科学技術革命と産業変革をリードする戦略技術であり、人々の働き方や生活を深く変えつつあると指摘しました。
AIをめぐる「トップレベル設計」を強化
学習会では、中国共産党中央委員会がAIの発展を重視し、近年、いわゆるトップレベル設計と呼ばれる長期的な方向性づくりと、その実行の仕組みを強化してきたことにも言及しました。
トップレベル設計が重視される背景には、次のような狙いがあると考えられます。
- AIを国家の重要な戦略分野として位置づけること
- 産業育成と社会への影響を総合的に見据えたルールづくりを進めること
- 研究開発から応用、産業化までを一体として推進すること
こうした枠組みの一環として、上海のような大都市にAI戦略の先導役を求めたとみることもできます。
「若者の産業」としてのAIに期待
上海のインキュベーターでは、次世代のインテリジェントエージェント(自律的に判断し行動するAIシステム)の自律進化をテーマにしたサロンが開かれ、習近平氏は現場で若いイノベーターたちと意見を交わしました。
習近平氏は、AIはまだ新しい産業であり、同時に「若者の産業」でもあると語りました。この発言には、若い世代の創造性や行動力がAIの発展を左右するという認識が込められているといえます。
AI分野で活動する若手にとっては、国家レベルで期待が示された形であり、上海のスタートアップや研究者コミュニティにとっても追い風となりそうです。
体験型の視察で市場トレンドも確認
視察の終盤、習近平氏はAI製品の体験スペースにも足を運びました。そこで製品の機能や市場動向について詳しく質問し、自らスマートグラスを試着する場面もあったとされています。
単なる展示見学ではなく、実際に使い心地を確かめ、市場のトレンドを聞き取るスタイルは、AIを生活やビジネスの現場でどう活かすかに関心を寄せていることをうかがわせます。
今回の視察が示す三つのポイント
今回の上海視察とその直前の学習会からは、中国がAIをめぐってどのような方向性を打ち出しているのかが見えてきます。
- AIを新たな科学技術革命と産業変革をリードする戦略技術と位置づけていること
- 上海に対し、AI開発とガバナンスの両面でリード役を担うよう求めていること
- AIを「若者の産業」として捉え、若いイノベーターへの期待を強く示していること
2025年も終わりに近づくなか、今年4月のこうしたメッセージは、今後も中国におけるAI政策や都市戦略、そして若い世代のキャリア選択に影響を与え続ける可能性があります。読者のみなさんにとっても、AIをどのように学び、仕事や生活に取り入れていくかを考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
Xi inspects AI industry in Shanghai, calling for its development
cgtn.com








