アリババが無料AI「Qwen3」公開 ハイブリッド推論LLMとは
中国のIT大手アリババが、新しい大規模言語モデル「Qwen3」を公開しました。無料でダウンロードできるオープンソースAIとして、生成AI競争の新たな一歩となりそうです。
アリババの新モデル「Qwen3」が登場
アリババは火曜日、同社のオープンソース大規模言語モデル(LLM)ファミリーの最新世代となる「Qwen3」シリーズを発表しました。これは、同社にとって初めての「ハイブリッド推論」モデルの投入でもあります。
Qwenシリーズは公開以来、すでに世界で3億回以上ダウンロードされており、オープンソースLLMとして国際的な存在感を高めてきました。
無料で世界から利用可能なオープンソースLLM
Qwen3に含まれるモデルは、すべて無料でダウンロードでき、世界中から利用できます。開発者や研究者だけでなく、スタートアップや個人にとっても、生成AIを組み込んだサービスやアプリケーションを試しやすい環境が整いつつあると言えます。
ハイブリッド推論とは? 二つのモードを切り替え
Qwen3シリーズの大きな特徴が「ハイブリッド推論」です。アリババによると、モデルはタスクに応じて二つのモードを切り替えます。
- 思考モード:数学、プログラミング、論理的な推論など、複数のステップを踏む複雑な課題に取り組むときに使われるモード
- 非思考モード:日常的なやり取りや、素早い一般的応答が求められるときに使われる高速モード
ユーザー側から見ると、「じっくり考えてほしいとき」と「とにかく速く答えてほしいとき」の両方に、一つのモデルで対応できる設計だとイメージすると分かりやすいでしょう。
6つの密モデルと2つのMoEモデル
Qwen3シリーズには、6つの密(デンス)モデルと、2つのMixture-of-Experts(MoE)モデルが含まれています。密モデルは全体のパラメーターをフルに使って計算するタイプ、MoEモデルは複数の「専門家」ネットワークから必要な部分を選んで動かすタイプのモデルです。
こうした構成により、利用シーンや端末の性能に応じて、より軽量なモデルから高性能モデルまで柔軟に選べることが想定されています。アリババは、次のような幅広い用途での活用を視野に入れています。
- スマートフォンなどのモバイル端末向けアプリ
- スマートグラスなどのウェアラブル機器
- 自動運転車や車載システム
- ロボットや産業用機械の制御
- その他の組み込みデバイスやエッジコンピューティング環境
中国で広がる生成AIモデルとQwenの位置づけ
中国では近年、生成AIへの需要が急速に高まっています。DeepSeek、バイドゥの「ERNIE」、バイトダンスの「Doubao」など、さまざまなLLMが次々と登場しています。
データによると、2024年までに中国ではおよそ200の生成AIモデルが登録され、サービス提供を開始しており、登録ユーザー数は6億人を超えています。その中で、Qwenファミリーは世界で3億回以上ダウンロードされており、オープンソース陣営を代表する存在の一つになりつつあります。
私たちが注目したいポイント
今回のQwen3発表から、日本や世界のユーザーが押さえておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 無料かつオープンソースのLLMがさらに充実することで、小規模チームや個人でも高度な生成AIを活用しやすくなること
- モバイル端末や自動車、ロボットなど、身の回りの機器にLLMが組み込まれていく流れが一段と加速しうること
- 思考モードと高速モードを切り替えるハイブリッド推論により、「精度」と「速度」のバランス設計がより細かく求められるようになること
- 多くの人が生成AIを使うようになるほど、出力結果を鵜呑みにせず、自分で確かめるリテラシーがより重要になること
生成AIは、ニュースの読み方から仕事の進め方まで、私たちの日常に静かに入り込みつつあります。アリババのQwen3のようなオープンソースLLMがどのように使われていくのか、今後も継続的にフォローしていく必要がありそうです。
Reference(s):
Alibaba introduces free-to-download AI model with hybrid reasoning
cgtn.com








