中国が訴えるBRICS団結と協力 グローバル・ガバナンス改革の4提案
ブラジル・リオデジャネイロで開かれたBRICS外相会合で、中国の王毅外相がBRICSの団結と協力を強調し、グローバル・サウスの視点からグローバル・ガバナンス改革に向けた4つの提案を示しました。本記事では、その中身と意味をコンパクトに整理します。
BRICSが掲げた4つのグローバル・ガバナンス改革
王毅外相は、BRICS諸国が協力して世界のルールづくりに関与すべきだとし、次の4点を柱に挙げました。
- 多角的な貿易ルールの維持と改革
- 国際金融ガバナンスの見直し
- グリーン転換と気候変動への対応
- デジタル機会の共有とAIガバナンスの強化
1. WTOを中心とする貿易体制の防衛
王毅外相は、BRICS各国に対し、多角的な貿易ルールを守り「あらゆる形の保護主義」に反対するよう呼びかけました。世界貿易機関(WTO)を中心とするルールに基づいた貿易体制を維持し、改革に積極的に関与することが重要だと強調しました。
具体的には、停滞しているWTO改革を前に進め、その核心的な価値と原則を守ること、そして紛争解決メカニズムの機能回復を後押しするよう求めました。また、BRICS内部での実務協力を継続し、貿易の自由化とアクセスのしやすさを高めることも提案しています。
2. グローバル金融ガバナンスの改革
2つ目のポイントは、国際金融の枠組みの見直しです。王毅外相は、世界経済の構図の変化を踏まえ、グローバル・サウスの経済成長をよりよく支えるよう、国際金融アーキテクチャ(国際金融の骨組み)を改革すべきだと主張しました。
その一環として、世界銀行における出資比率の見直しや、国際通貨基金(IMF)のクオータ(出資割当)の改革に言及。歴史的に偏ってきた代表権や発言力のバランスを改め、グローバル・サウスの声がより反映される仕組みが必要だと訴えました。
3. パリ協定の履行とグリーン転換の加速
3つ目は、気候変動とグリーン転換です。王毅外相は、パリ協定を「完全かつ効果的に履行する」必要性を強調し、先進国に対しては、これまでの約束を実行し、気候行動の責任を果たすよう求めました。
同時に、BRICS諸国の間で低炭素エネルギーへの移行やグリーン技術の協力を深めることで、より質が高く持続可能な成長につなげるべきだとしました。ブラジルが主導する第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)への強い支持も表明し、公平で協力的な気候ガバナンスの前進に期待を示しています。
4. デジタル・AI時代のルールづくり
4つ目の柱は、デジタル分野と人工知能(AI)です。王毅外相は、国連が議論を進める「グローバル・デジタル・コンパクト」を推進し、デジタル格差を縮小するとともに、サイバー空間に共通のルールをつくる必要性を訴えました。
また、AIのグローバル・ガバナンスについて、公平性、包摂性、安全性、そして協調的な管理を重視すべきだと指摘しました。そのうえで、当時、2025年7月に上海で開催される予定だった世界人工知能会議(World Artificial Intelligence Conference)にBRICS各国が参加することを歓迎し、多国間での対話と協力を深める場になるとの期待を表明しました。
グローバル・サウスの視点から見えるもの
今回の提案のキーワードは「グローバル・サウス」です。王毅外相は、貿易、金融、気候、デジタルといった主要なガバナンス領域で、歴史的に十分に反映されてこなかった新興国・途上国の利益を強調しました。
BRICS諸国が連携して発言力を高めれば、WTOやIMF、気候変動交渉、AIルールづくりなど、国際制度の議論の重心が少しずつ変わっていく可能性があります。一方で、具体的なルールや改革案をめぐっては、多様な利害をどう調整するのかという難しさも残ります。
日本の読者にとってのポイント
日本にとっても、今回の議論は「遠い世界の話」ではありません。WTO改革やIMFのガバナンス見直しは、日本の通商政策や金融外交に直結するテーマです。また、グリーン転換やAIガバナンスの国際ルールづくりは、日本企業のビジネス環境や私たちのデジタル社会のあり方に影響します。
BRICSとグローバル・サウスがどのようなビジョンを掲げ、どのルールづくりに力を入れようとしているのかをフォローすることは、これからの国際ニュースを読み解くうえで欠かせない視点になりそうです。
Reference(s):
China highlights BRICS unity, cooperation to improve global governance
cgtn.com








