中国・北京協和医院が5省とデジタル医療同盟 地域医療格差に挑む
中国本土の有名病院・北京協和医院(Peking Union Medical College Hospital, PUMCH)が、河北省など5省区の156医療機関と「インターネット+医療同盟」を立ち上げました。デジタル技術を活用し、遠隔診療などで地域の医療格差解消をめざす国際ニュースとして注目されています。
北京協和医院と5省区、156医療機関が参加
火曜日に行われた署名式では、中国本土で最も著名な病院の一つとされる北京協和医院と、次の5つの省・自治区から集まった医療機関が協力協定を結びました。
- 河北省
- 河南省
- 陝西省
- 遼寧省
- 内モンゴル自治区
合計156の医療機関が「インターネット+医療同盟」に参加し、地域をまたいだ医療資源の共有を進めていきます。この取り組みは、北京・天津・河北の協調発展戦略を医療分野で一段と深めるとともに、中国が掲げる健康中国戦略の推進にもつなげる狙いです。
河北省政府北京事務所が橋渡し役に
今回の協力枠組みの推進役となったのが、河北省政府の北京事務所です。同事務所は、医療情報プラットフォームの接続調整などで「橋」としての役割を果たし、河北省内から20の病院が協定に署名できるよう支援しました。
河北省政府北京事務所の担当者は、この協定は北京・天津・河北の協調発展戦略を具体化する重要な一歩だと説明しています。北京の高品質な医療資源を河北の基層医療機関に導入することで、河北の住民が「わざわざ遠方まで行かなくても、家に近い場所で高度な医療を受けられる」環境づくりをめざします。
インターネット+医療同盟モデルとは
今回の「インターネット+医療同盟」モデルでは、デジタル技術を軸に、次のような取り組みが予定されています。
- 遠隔診療やオンラインでの専門医によるコンサルテーション
- オンライン研修や症例検討会などを通じた人材育成
- 診療ケースに関する継続的なディスカッションと技術支援
- 診断・治療の標準化を促進するための共同の学習機会
こうした連携により、地方や基層の医療機関が持つ診断・治療能力の底上げを図り、中国で進められている分級診療制度の定着を後押しするとされています。
検査結果の相互承認で、患者の負担軽減も
同盟の中核となるのが、統一された情報共有プラットフォームの構築です。検査や各種検診の結果を共有し、相互に承認する仕組みをつくることで、患者が病院を移るたびに同じ検査を繰り返す必要が減り、医療費や時間の負担軽減が期待されます。
また、遠隔医療サービスを連携させることで、都市部の大病院に集まりがちな医療資源を有効活用し、全体としての医療提供体制の効率を高める狙いもあります。
現場医療の「学びの場」を常設化
この枠組みでは、リアルタイムの症例検討や遠隔授業も重視されています。基層医療機関の医師や看護師は、定期的に上位病院の専門家から学ぶ機会を得ることで、最新の標準的な診断・治療の考え方を身につけることができます。
北京協和医院は今後、参加する医療機関との間で、技術支援、人材育成、診療科の共同整備といった長期的な協力メカニズムを構築していく方針です。これにより、単発の支援ではなく、地域全体の医療水準を継続的に引き上げることをめざします。
日本の読者にとっての示唆
地域ごとの医療格差や、デジタル技術をどう医療に生かすかという課題は、日本を含む多くの国や地域に共通するテーマです。中国本土で始まった今回の「インターネット+医療同盟」は、遠隔診療やオンライン研修を組み合わせ、医療資源の集中と分散をどう両立させるかという問いに一つの答えを示そうとしています。
国や制度が違っても、患者が住んでいる場所にかかわらず質の高い医療を受けられる社会をどう実現するか――そのヒントを探るうえで、注目しておきたい動きと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








