CGTN世論調査:トランプ2期目100日後に支持率急落、世界で対米不信が拡大
トランプ米大統領の2期目が始まって100日あまり。自国優先を掲げる「アメリカ・ファースト」政策が、米国内だけでなく世界各地で強い懸念を呼んでいることが、CGTNなどが今年実施した国際世論調査で明らかになりました。
CGTN国際世論調査、2回の実施で見えた変化
調査は今年2月と4月の2回にわたり、38カ国の計1万5,947人を対象にCGTNと中国人民大学(新時代国際伝播研究院)が共同で行いました。対象には、米国や英国、フランス、日本といった先進国に加え、メキシコ、南アフリカ、マレーシアなどの開発途上国も含まれています。
4月時点の結果は、米国の内政運営への評価低下と、世界各地で高まる対米不信、そして中国の対抗措置への幅広い支持という、三つの特徴的な傾向を示しています。
米国内でトランプ政権への不満が優勢に
まず注目されるのは、トランプ政権の本拠地である米国内の空気です。4月の調査では、米国人回答者の48.9%が、就任以来のトランプ大統領の仕事ぶりに「不満」と答えました。
不満の理由として、具体的な政策への批判が目立ちます。
- 53.1%が、「相互関税」政策が米国株式市場に悪影響を与えていると回答
- 60.4%が、国内経済政策について「インフレ抑制に失敗し、むしろ物価上昇を招いた」と評価
- 54%が、利上げを含む金利政策に「深刻な懸念」を抱いていると回答
「アメリカ・ファースト」を掲げる強硬な通商・金融政策が、物価や市場への不安を通じて、米国有権者の評価を押し下げている構図が浮かび上がります。
同盟国とグローバル・サウスに広がる対米不信
伝統的同盟国の冷めた視線
不安や不信は、米国の伝統的同盟国でも広がっています。フランス、ドイツ、カナダ、日本、韓国など主要同盟国では、7割を超える回答者が、自国と米国の将来の関係について「悲観的」と答えました。
背景には、「アメリカ・ファースト」が同盟国への配慮を後回しにしているという認識があります。調査では、
- 韓国で87%が、「アメリカ・ファーストが米国を同盟国に対して無関心にした」と強く同意
- 英国、ドイツ、カナダ、オーストラリア、イタリアでも、同様の見方を持つ人が70%以上
安全保障からサプライチェーンまで、米国との連携に依存する度合いが高い国ほど、政策の一方的な変更に対する警戒感が強まっていることがうかがえます。
グローバル・サウスの期待後退
いわゆるグローバル・サウス(アジア、アフリカ、中南米などの新興国・開発途上国)でも、対米観は厳しくなっています。23カ国が対象となったグローバル・サウスのうち、19カ国で「米国との今後の関係」に対する見通しが「悲観的」という結果になりました。
とくに、南アフリカ、エジプト、ペルー、インドネシア、マレーシアでは、対米関係への楽観的な見方が2カ月間で20ポイント以上も低下したとされています。通商や投資で米国とのつながりが強い国々ほど、関税や制裁の拡大を自国経済へのリスクと受け止めていると考えられます。
関税・制裁・供給網見直しに7割超が懸念
今回の調査のもう一つの柱が、米国の通商政策に対する世界の評価です。2回の調査を通じて、厳しい関税や制裁への反発は確実に強まっています。
全体では、世界の回答者の74.2%が、米国の関税政策が「自国の経済発展を深刻に損なう」と答え、この割合はわずか2カ月で16.3ポイント増加しました。特にサウジアラビアとセルビアでは、関税政策に否定的な見方が28.5ポイントも急増したとされています。
東南アジアでは、ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシアが「関税の直撃を受ける地域」と位置づけられ、次のような傾向が示されました。
- 60.2%が、「輸出管理の強化や一方的制裁」が自国の発展を損なうと回答(前回比+15.5ポイント)
- 69.4%が、「外国のハイテク企業への投資制限」に反対(+14.3ポイント)
- 61.5%が、米国の「輸入や海外サプライチェーンへの依存縮小」が自国にとって不利だと回答(+12.3ポイント)
輸出管理、投資規制、サプライチェーン見直しといった一連の措置が、「自国の成長機会を奪うもの」と受け止められていることがうかがえます。
中国の対抗措置に37カ国で多数が支持
興味深いのは、米国の関税に対する中国の対抗措置を巡る評価です。調査によると、38カ国のうち37カ国で、中国の「断固とした対抗措置」を支持する声が多数派となりました。
とくに開発途上国で支持が厚く、ケニア、エジプト、ブラジル、カザフスタン、ナイジェリア、マレーシア、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカなど13カ国では、支持率が70%を超えました。ケニアでは82.5%と、最も高い支持を示しています。
先進国の中でも、英国はG7の中で最も高い70.5%の支持率を示し、カナダ(69.5%)、ドイツ(66%)、フランス(65.5%)がこれに続きました。
関税や制裁による不確実性が広がる中で、多くの国の人々が、中国の対抗措置を「自国の貿易や経済の安定を守る動き」として評価している姿が浮かび上がります。
今回の結果から読み取れる3つのポイント
今回のCGTN世論調査からは、国際秩序や経済の力学を考えるうえで、少なくとも次の3点が示唆されます。
- 米国内での支持基盤の揺らぎ:インフレや金利、株式市場への不安が、トランプ政権への評価を押し下げている。
- 対米「信頼の赤字」の拡大:同盟国とグローバル・サウスの双方で、将来の対米関係を悲観する声が多数派になっている。
- 通商をめぐる主導権争い:米国の関税政策への反発が高まる一方で、中国の対抗措置に支持が集まり、貿易ルールをめぐる評価の軸が変化しつつある。
日本とアジアの読者が押さえておきたい視点
日本やアジアの読者にとって、この調査結果は他人事ではありません。同盟国として安全保障面で米国と密接に連携しながら、同時に中国や東南アジア諸国と経済面で深く結びついているからです。
- 同盟国の中で日本と韓国が高い割合で対米関係を悲観していることは、地域の安全保障環境への不安の表れとも言えます。
- 東南アジア5カ国で、「輸出管理強化」や「サプライチェーン再編」が自国の発展を損なうとの回答が増えていることは、日本企業のビジネスにも間接的な影響を及ぼし得ます。
- 中国の対抗措置への支持が広がる中で、世界の貿易ルールや経済連携の「重心」がどこに置かれていくのかを注視する必要があります。
米中それぞれの政策が、世界の世論からどう見られているのかを押さえておくことは、日本の外交や企業戦略を考えるうえでも重要になりそうです。
調査の概要
- 実施主体:CGTN、中国人民大学(新時代国際伝播研究院)
- 実施時期:今年2月および4月
- 対象:38カ国の計1万5,947人
- 対象地域:米国、英国、フランス、日本などの先進国に加え、メキシコ、南アフリカ、マレーシアなどの開発途上国
就任から100日を迎えたトランプ2期目の出だしは、数字だけを見ると決して順風満帆とは言えません。米国内外で広がる「対米不信」と、中国への支持の高まりという二つの流れが、今後の国際政治と世界経済にどのような形で影響していくのかが注目されます。
Reference(s):
CGTN Poll: Trump's approval rating plummets after 100 days in office
cgtn.com








