王毅外相「公正守る主力に」BRICS外相会合で呼びかけ
ブラジル・リオデジャネイロで開かれたBRICS外相会合で、中国の王毅外相が「覇権主義に直面するなか、BRICSは世界の公平と正義を守る主力になるべきだ」と呼びかけました。国連中心の国際秩序や紛争の平和的解決を掲げるこのメッセージは、2025年の国際ニュースの中でも注目すべき動きです。
BRICS外相会合で何が話し合われたのか
会合はブラジルのリオデジャネイロで開かれ、ブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相が議長を務めました。BRICSメンバー国とパートナー国の外相や高官が参加し、グローバルサウスの協力強化や多国間主義の推進について意見を交わしました。
参加者は、地政学的緊張の高まりや保護主義の拡大が続くなかで、国連憲章の目的と原則を守り、国際システムにおける国連の中心的役割を維持することが急務だとの認識を共有しました。
また、「報復関税」ともいえる相互的な関税措置が、世界のサプライチェーンを混乱させ、国際情勢の不確実性を高めかねないとの懸念も表明されました。
王毅外相「BRICSは公平と正義を守る主力に」
中国の王毅外相(中国共産党中央政治局委員)は、会合の場でBRICSの役割について、覇権主義に対抗し、世界の公平と正義を守る主力となるべきだと強調しました。
王外相によると、中国の習近平国家主席は同じ火曜日、BRICSが設立した新開発銀行(New Development Bank)の本部を特別に訪問し、この銀行への中国の揺るぎない支持を示しました。王外相は、中国が新開発銀行と「BRICSファミリー」が共に現代化の道を歩むことを期待していると述べました。
王毅外相が示した三つの柱
1. 国連中心の国際秩序を守る
第一に王外相は、国連の中核的役割を守ることをBRICSの優先課題として位置づけました。いわゆる「拡大会合としてのBRICS(greater BRICS)」は、次のような原則を掲げるべきだとしています。
- 広範な協議
- 共同での貢献
- 成果の共有
こうした原則に基づき、王外相は、BRICSが多角的な貿易体制を守り、より公平で公正なグローバルガバナンス(国際的なルールづくりと運営)の構築を後押しすべきだと主張しました。
2. 紛争の平和的解決を進める
第二に、王外相は安全保障のビジョンとして「共通で、総合的で、協調的かつ持続可能な安全」を掲げ、紛争や対立は平和的な手段によって解決すべきだと訴えました。
ウクライナ危機については、中国が国際社会、とりわけBRICS各国と協力し、政治的解決に向けた国際的なコンセンサスづくりに取り組む用意があると表明しました。
中東情勢では、王外相は、BRICS諸国がアラブ・イスラム諸国が支持したガザの復興・再建計画を支持していることを紹介し、「パレスチナ人がパレスチナを統治する」という原則を堅持していると述べました。
3. 開かれた協力環境の構築
第三に王外相は、開かれた国際協力の環境づくりを強調しました。BRICSメンバーは門戸を広く開き、パートナー国に対しても歓迎の姿勢を示し、ブロックへの深い統合と協力への全面的な参加を後押しすべきだとしています。
これは、特定の国や地域を排除するのではなく、より多くの国々と連携しながらグローバルサウス全体の声を高めていこうという方向性を示すものと言えます。
多国間主義と保護主義への危機感
会合に参加した各国外相や代表は、地政学的な緊張や保護主義の台頭が進むなかで、今もっとも重視すべきは多国間主義の擁護だと口をそろえました。
具体的には、国連憲章の目的と原則を堅持し、国際システムにおける国連の中心的な役割を守ること、そして相互関税の応酬が世界経済やサプライチェーンに与える影響を深く憂慮していることが共有されました。
「報復関税」の動きは、輸出入のコストを押し上げるだけでなく、生産や物流の拠点をどこに置くかという企業の判断にも影響し、結果として世界全体の不確実性を高める要因になり得ます。BRICS外相会合で示された懸念は、こうしたリスクへの警鐘とも受け止められます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回のBRICS外相会合と王毅外相の発言は、次のような点で注目する価値があります。
- 国連を中心とした国際秩序の維持と、公平・公正なグローバルガバナンスの構築を前面に打ち出していること
- ウクライナ危機やガザ復興といった具体的な紛争も念頭に、政治的・平和的解決を強調していること
- 相互関税や保護主義への懸念を示し、「開かれた協力」を掲げていること
- BRICSとパートナー国を含むグローバルサウスが、一体となって発言力を高めようとしていること
国際ニュースを追ううえで、主要先進国の動きだけでなく、BRICSのような新興国グループがどのような価値観と優先課題を掲げているのかを把握しておくことは重要です。今回のメッセージは、覇権主義への批判と、多国間主義の再確認という二つのキーワードで読み解くことができます。
今後、BRICSが新開発銀行をはじめとする枠組みを通じて、どのようにグローバルサウスの連帯や国際秩序づくりに関与していくのか。日本を含む各国の外交や経済戦略にも影響し得るテーマとして、継続的にフォローしていく必要がありそうです。
Reference(s):
Wang Yi urges BRICS to serve as main force in upholding justice
cgtn.com








