王毅外相、米国の関税政策に5つの問い BRICS外相会合で国際社会に訴え
米国が貿易相手国に幅広い関税を課すなか、中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外交部長がブラジルで開かれたBRICS外相会合で、国際社会に向けた5つの問いを投げかけました。米中関係や国際秩序の行方を考えるうえで示唆に富む発言だったと言えます。
ブラジルのBRICS外相会合で示された問題意識
王毅氏は、中国共産党中央政治局委員も務める中国の外交トップです。ブラジルで開かれたBRICS加盟国とパートナー国の外相会合で、現地時間の火曜日、米国が世界各地で振るう関税という制裁手段を念頭に発言しました。
王毅氏は、米国がいわば関税という棒を振りかざしている状況に触れ、各国はこの状況のなかでどのような選択をするのかが問われていると強調しました。そのうえで、世界はどこへ向かうべきかを考えるための5つの問いを示しました。
王毅外交部長が投げかけた5つの問い
王毅氏のメッセージの核心は、国際社会全体に向けた一連の問いかけです。いずれも、力に依存した一方的な関税政策に流されるのか、それともルールと協調に基づく国際秩序を守るのかという選択を迫る内容になっています。
- 世界を、力が支配する無法のジャングルのような状態に逆戻りさせてしまってよいのか。
- 一つの国の利己的な利益が、他のすべての国々の共同の利益に優先してよいのか。
- 国際ルールが踏みにじられ、投げ捨てられていくのを、私たちは傍観していてよいのか。
- 妥協やひるみを重ねることで、本当にどの国も自国の利益を守ることができるのか。
- そして究極の問いとして、一極的な覇権に従うのか、それとも平等と秩序に基づく多極的な世界を共に築くのか。
王毅氏は、歴史は後戻りを認めず、公正かどうかは人々の心が判断すると述べ、こうした問いを通じて、各国が自らの立場と選択を見つめ直すよう促しました。
中国が示した「最後まで戦う姿勢」と「平等な交渉」
王毅氏は、いわゆる貿易戦をめぐる中国の立場についても言及しました。中国の立場は明確で揺るぎないとしたうえで、次のように述べています。
- 貿易戦が一方的に仕掛けられるのであれば、中国は最後まで戦う。
- 一方で交渉が求められるのであれば、それは平等と尊重に基づいて行われなければならない。
ここで強調されたのは、力による圧力の下での交渉ではなく、対等な立場での話し合いです。中国側は、関税を政治的な圧力の手段として使うのではなく、相互尊重とバランスを重視した枠組みで問題解決を図るべきだという姿勢を改めて示した形です。
自国の権益を超えて「何を守るのか」
王毅氏は、今回の対立で中国が守ろうとしているものは、自国の正当な権益だけではないと強調しました。その上で、次の三つの点を掲げています。
- 中国が守ろうとしているのは、中国自身の正当な権利にとどまらず、すべての国々が共有する利益でもある。
- 中国が重んじているのは、互いに利益を分かち合う協力だけでなく、国際ルールそのものの筋を通すことである。
- 中国が守ろうとしているのは、自国の尊厳だけではなく、公平と正義が行き渡る世界である。
このように、自国中心の主張ではなく、国際ルールや公平性といった普遍的な価値を前面に出した点も、今回の発言の特徴です。関税政策をめぐる議論を、単なる米中の対立にとどめず、より広い国際秩序の問題として位置づける狙いが見て取れます。
多極化する世界秩序と日本への示唆
王毅氏が提示した最後の問いは、世界が一極支配の方向へ進むのか、それとも多極化した秩序をつくるのかという選択でした。多極化とは、複数の国や地域が力を分かち合い、互いにけん制しながらバランスを取る国際構造を指します。
2025年の現在も、関税や貿易ルールをめぐる議論は世界各地で続いています。日本を含む多くの国にとっても、次のような問いは他人事ではありません。
- 自国の短期的な利益と、国際的なルールや公平性をどう両立させるか。
- 大国同士の対立の中で、どのような原則を持って立ち位置を選ぶか。
- 多国間の枠組みや協力の場を、どのように維持・強化していくか。
王毅氏の5つの問いは、米中の対立を超えて、世界がどのようなルールと価値観を共有していくのかを考えるための素材でもあります。日々のニュースの背後で、こうした大きな問いが動いていることを意識することで、国際ニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。
考えるためのニュースとして
今回の発言は、賛否や評価が分かれる余地を残しつつも、関税という具体的な政策手段から、国際秩序のあり方という抽象的なテーマへと議論を押し広げるものでした。
日々更新される国際ニュースの中で、王毅氏の5つの問いを、自分ならどう答えるか。SNSでシェアしながら議論したり、家族や友人との会話のきっかけにしてみるのも一つの向き合い方と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








