ピーナッツ収量アップへ 豪州と中国本土がパンゲノム解析で鍵遺伝子を特定
ピーナッツ(落花生)の収量を大きく押し上げるかもしれない遺伝子の「カギ」が見つかりました。オーストラリアと中国本土の研究者チームがピーナッツのパンゲノム(包括的な全遺伝情報)を初めて組み立て、種子の大きさや重さを左右する重要な変化を特定したと、オーストラリア西部のマードック大学が今週月曜日付のニュースリリースで明らかにしました。
豪州と中国本土の国際チームが「ピーナッツの設計図」を解読
マードック大学によると、今回の研究にはオーストラリアと中国本土の科学者が参加し、ピーナッツのパンゲノムを世界で初めて本格的に組み立てました。パンゲノムとは、個々の品種ごとのゲノム(遺伝情報)ではなく、多様な品種をまとめて解析し、種としての「全体像」を捉えた遺伝情報の集合体です。
このパンゲノムをもとに、研究チームはピーナッツの種子の大きさや重さに関係する「構造的な変化」を特定しました。構造的な変化とは、DNAの一部が欠けたり増えたり、並び方が変わったりすることで、形質(見た目や性質)の違いを生む要因の一つとされています。
なぜ種子の「大きさ」と「重さ」が重要なのか
ピーナッツのような作物では、種子の大きさと重さは収量を決める重要な要素です。一般に、同じ面積あたりでより大きく、重い種子を多く収穫できれば、生産量は増え、農家の収入や食料供給の安定につながります。
今回の研究で見つかった遺伝的な変化を利用すれば、次のような応用が期待されます。
- 種子が大きく、重くなりやすい品種を効率よく選抜する
- ピーナッツの収量を高める新品種づくりを加速する
- 地域の気候や土壌条件に合った高収量品種の開発を後押しする
パンゲノム解析がもたらす新しい育種のかたち
従来の品種改良は、長い時間をかけて交配と試験栽培を繰り返し、「経験と勘」にも頼りながら進められてきました。パンゲノム解析によって、ピーナッツ全体に共通する遺伝子のパターンと、品種ごとの違いが可視化されることで、より戦略的な育種が可能になります。
具体的には、
- どの遺伝子の変化が種子サイズや重量に強く関わっているのかを特定しやすくなる
- 有望な遺伝子を持つ系統を早い段階で選び出せる
- 将来の気候変動や病害に備えた、多様で強い品種づくりに活かせる
といった利点が考えられます。
世界のピーナッツ市場、日本の食卓にも波及する可能性
ピーナッツは、食用油、加工食品、おつまみ、菓子など、多様な用途を持つ重要な作物です。今回のような国際協力による遺伝子研究の進展は、世界のピーナッツ供給の安定化に寄与する可能性があります。
日本でも、ピーナッツは輸入に大きく依存している一方で、国産落花生への関心も根強くあります。高収量で質の良い品種が世界的に増えれば、
- 価格や供給の安定
- 加工食品メーカーの原材料調達のしやすさ
- 国産ブランドの品種改良への新たなヒント
など、間接的な形で日本の市場や私たちの食卓に影響を与える可能性があります。
これからの注目ポイント:技術の活かし方と持続可能性
今回の発表は、ピーナッツの遺伝子研究として大きな一歩ですが、実際に農地で収量アップという形で成果が見えるまでには、さらに時間と検証が必要です。研究成果をどのように品種改良や現場の農業に落とし込むかが今後の焦点となります。
また、収量向上だけでなく、環境への負荷を抑えた持続可能な農業と両立させていくことも重要です。肥料や水の使用量を抑えつつ生産量を高める品種が生まれれば、農家の負担軽減と環境保全の両方につながり得ます。
オーストラリアと中国本土の研究者が連携して進めるこうした基礎研究は、アジアを含む世界の食料システムに静かな変化をもたらす可能性があります。今回のピーナッツのパンゲノム解析は、その一つの象徴的な事例と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








