中国の神舟19号が183日ぶり帰還 世界最長級船外活動で示した宇宙開発の現在地 video poster
国際ニュースとして注目される中国の宇宙開発で、新たな節目となる出来事です。有人宇宙船「神舟19号」が183日間の宇宙滞在を終えて地球に帰還し、3人の宇宙飛行士はいずれも良好な健康状態で救出されました。
183日間の宇宙の旅を終えた神舟19号
中国の神舟19号宇宙船の帰還カプセルは、水曜日に中国北部・内モンゴル自治区の東風着陸場に着陸しました。カプセルにはCai Xuzhe、Song Lingdong、Wang Haozeの3人の宇宙飛行士が搭乗していました。
着陸後ただちに、現地の医療チームが搭乗員の健康状態を確認し、3人とも体調は良好であると発表されています。中国の有人宇宙事業を統括するChina Manned Space Agency(CMSA)は、神舟19号の有人ミッションが「完全な成功」を収めたと宣言しました。
- 着陸地点:内モンゴル自治区・東風着陸場
- 宇宙飛行士:Cai Xuzhe/Song Lingdong/Wang Haoze
- 宇宙滞在期間:183日間
神舟19号は、昨年10月30日に中国北西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、その後、自動制御による高速ランデブーで中国の宇宙ステーションとドッキングしていました。
高速帰還手順で約7.5時間の「短距離フライト」
今回の帰還では、最近のミッションで標準となりつつある「高速帰還手順」が採用されました。通常より少ない周回数で地球周回軌道を離脱することで、宇宙ステーションから地球への帰還時間を大幅に短縮する方法です。
CMSAによると、神舟19号の帰還シーケンスは12時17分に開始され、精密にタイミングが計算された一連の作業が進められました。
- 12時17分:帰還シーケンス開始
- 軌道モジュールが帰還カプセルから分離
- 減速用ブレーキエンジンを点火し、軌道を変更
- 推進モジュールと帰還カプセルが分離
- 帰還カプセルが地球の大気圏に再突入
この「高速帰還手順」によって、宇宙船は通常の11周回ではなく5周回で帰還ルートに入り、宇宙ステーション離脱から着陸までの時間はおよそ7.5時間に短縮されました。
着陸後、捜索・回収チームは速やかにカプセルを発見して現場に到着し、ハッチが開けられたのち、医療スタッフがあらためて3人の状態が良好であることを確認しました。
3回の船外活動と世界最長の「9時間EVA」
神舟19号の乗組員は、183日間の滞在中に3回の船外活動(EVA:宇宙空間で宇宙服を着て行う作業)を実施しました。その中で特に注目されたのが、2024年12月17日に行われた最初の船外活動です。
この船外活動は9時間に及び、CMSAによると、これはそれまで神舟18号の乗組員が保持していた「単独の船外活動としての最長時間」の世界記録を更新するものとなりました。長時間にわたる船外活動を安全にこなしたことは、宇宙服や生命維持装置、地上との運用体制が高いレベルにあることを示しています。
中国の宇宙ステーション運用が示すもの
今回の神舟19号の帰還は、中国の宇宙ステーション運用が「長期滞在」「頻繁な船外活動」「短時間での帰還」という3つの要素を組み合わせて安定して実現できる段階に入っていることを印象づけます。
183日間のミッションで得られた知見は、次のような点で重要だと考えられます。
- 長期滞在中の宇宙飛行士の健康管理データの蓄積
- 宇宙ステーション内外での作業手順や安全対策の洗練
- 高速帰還など、緊急時にも応用可能な帰還技術の検証
こうした経験は、今後の長期ミッションや、より遠方への探査計画にもつながる基盤となります。宇宙で「長く安全に滞在し、必要に応じて素早く地球に戻る」能力は、どの国にとっても重要な技術目標のひとつです。
日本の読者が押さえておきたい視点
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、今回の神舟19号ミッションは、アジア発の宇宙開発ニュースとして次のような視点から捉えることができます。
- アジアの宇宙プレゼンス:アジア地域からの有人宇宙飛行が継続的に行われていること
- 技術と運用の積み上げ:船外活動や長期滞在の経験が着実に蓄積されていること
- 国際的な宇宙利用の広がり:複数の国や地域が宇宙ステーション運用に関わる時代が進行していること
神舟19号の帰還は、単なる「無事帰還」のニュースにとどまらず、宇宙で人が活動する時代が着実に進んでいることを示す出来事でもあります。今後のミッションがどのような科学成果や技術的なブレークスルーをもたらすのか、引き続き注目していきたいところです。
Reference(s):
China's Shenzhou-19 crew returns to Earth after 183-day space journey
cgtn.com








