中国、国家級湿地公園903カ所に拡大 20年で240万ヘクタール保護
中国で湿地保護が次の段階に入りつつあります。浙江省杭州市で開かれた国際セミナーで、中国が過去20年の間に国家級湿地公園を903カ所整備し、約240万ヘクタールの湿地を保護してきたことが報告されました。
20年で903カ所・240万ヘクタールという規模
今回の発表によると、中国はここ20年で「国家級湿地公園」と位置づけられる保護区を903カ所まで増やし、合計で約240万ヘクタールの湿地を守っているといいます。これは、水鳥や希少生物の重要な生息地だけでなく、人々の暮らしを支える水源や、防災の役割を持つエリアも含む広大な面積です。
湿地公園の整備は、単に自然を残すだけでなく、周辺地域の景観保全や環境教育、エコツーリズム(環境への負荷を抑えた観光)の基盤づくりにもつながります。その意味で、この20年間の投資は、長期的な社会基盤づくりと見ることもできます。
杭州の国際セミナーで示されたメッセージ
こうした実績は、浙江省杭州市で開かれた湿地保護に関する国際セミナーで示されました。会合では、各国の専門家や関係者が湿地保全の取り組みや課題を共有し、中国の事例も紹介されたとされています。
国家林業・草原局(NFGA)の副局長である厳振(Yan Zhen)氏は、セミナーで、中国が長年にわたり湿地保全を優先課題として位置づけ、継続的な取り組みを進めてきたと強調しました。国家レベルでの方針と、それを支える現場の取り組みが、903カ所という数字につながったと見ることができます。
なぜ今、湿地がこれほど重視されるのか
湿地は「自然のインフラ」とも呼ばれます。その重要性は、次のような点にあります。
- 生物多様性のホットスポット:多くの鳥類、魚類、両生類、昆虫などが、湿地を生息地や中継地として利用しています。
- 気候変動対策:湿地は炭素を蓄える働きがあり、温室効果ガスの排出を抑える役割を持ちます。
- 防災と水資源:大雨の際には水を一時的にため込むことで洪水リスクを下げ、渇水時には水をゆっくり放出するなど、水の「緩衝材」として機能します。
- 地域コミュニティへの貢献:持続可能な漁業や観光など、地域経済と両立する形で活用できるポテンシャルがあります。
逆に言えば、湿地が失われると、生物多様性の損失や洪水被害の増加、気候変動の加速など、複数のリスクが同時に高まることになります。そのため、各国が湿地保護の強化に動く流れが続いています。
国際ニュースとして見る中国の湿地公園拡大
中国における国家級湿地公園の拡大は、単なる国内政策にとどまらず、国際ニュースとしても注目すべき動きです。とくに、渡り鳥など国境を越えて移動する生物の保護や、地球規模の気候変動対策といった観点からは、各国の取り組みが相互に影響し合います。
日本やアジアの他の国・地域にとっても、中国の湿地保護の進展は、次のような示唆を与えます。
- 長期的な視点で保護区ネットワークを拡大していくことの重要性
- 環境保全と地域経済の両立を目指した「公園」という枠組みの有効性
- 国レベルの方針と地方レベルの実行をどう結びつけるかという政策的課題
これから問われる「質」の向上と国際協力
903カ所という数と240万ヘクタールという面積は、確かに大きな前進を示しています。一方で、今後は次のような点がより重要になっていきます。
- 指定された湿地公園の管理やモニタリングをどう高度化していくか
- 地域住民の暮らしと湿地保護を両立させる仕組みをどう作るか
- 国際セミナーなどを通じて、他国の知見とどう共有・連携していくか
杭州でのセミナーは、そうした課題に向き合うための対話の場でもあります。湿地という共通のテーマを入り口に、環境保護をめぐる国際的な協力のあり方が、これからさらに問われていきそうです。
中国の国家級湿地公園903カ所という数字は、環境保護をめぐる世界的な流れの中で、自国の自然資源をどう守り、どう次世代につなぐのかという問いを、あらためて私たちに投げかけています。
Reference(s):
China sets up 903 national wetland parks over past 2 decades
cgtn.com








