中国の新エネ車旅行が定着 メーデー連休を支えた充電インフラの現在
2025年5月のメーデー連休期間中、中国では新エネルギー車(NEV)を使って長距離ドライブを楽しむ人が一段と増えました。背景には、全国で急速に整備が進む充電インフラと、より賢く使えるエネルギーサービスの拡充があります。
5日間のメーデー連休で広がるNEV旅行
毎年5月1日から始まる中国のメーデー連休は、2025年も5日間の大型休暇となり、多くの人が観光や帰省に出かけました。今年は特に、新エネルギー車で高速道路を移動する姿が目立ちました。
首都・北京周辺の高速道路では、連休中も大規模な充電ステーションがフル稼働しましたが、利用者からはスムーズに充電できたという声が聞かれています。ある利用者は、充電器の数が多いだけでなく、休憩用ラウンジも併設されていて便利だと話しています。
全国で1370万基超 急拡大する充電インフラ
国家エネルギー局によると、2025年3月末時点で、中国全土に設置された充電設備は1370万基を超え、前年同期比で47%以上増加しました。新エネルギー車の普及ペースに合わせて、インフラの整備も加速していることが分かります。
特に長距離移動の要となる高速道路では、これまで課題だった「途中で充電できるかどうか」という不安を和らげる取り組みが進みました。国家エネルギー局によれば、高速道路沿いにはすでに3万8000基以上の充電設備が整備され、全国のサービスエリアの98%をカバーしているといいます。
モバイル充電車と増員体制で連休ピークに対応
連休中の需要の急増に備え、一部のサービスエリアではモバイル充電車(移動式の充電車両)が投入されました。混雑する時間帯や場所に柔軟に移動できるため、その場での急な充電ニーズに対応しやすいのが特徴です。
北京の新エネルギー車関連企業の担当者は、モバイル充電車は現場での緊急対応力を高める存在だと説明しています。また、多くのサービスエリアでは技術スタッフを増員し、充電の操作方法やトラブルへの対応をサポートしました。
東部の浙江省にある瀋陽─海口高速道路の慈城サービスエリアでは、省内最大級の高速道路充電ステーションが稼働しました。連休中には47基の充電器がフル稼働となり、運営側は現場スタッフと2台のモバイル充電車を常駐させることで、ドライバーが安心して旅行できる体制を整えました。
ロボットから超高速まで 技術革新が変える充電体験
中国では、充電のスピードや利便性を高めるための技術革新も進んでいます。自動で充電ポートに接続するロボットや、設備の状態を常時チェックするスマート監視システム、そして従来よりはるかに高出力の超高速充電器などが導入されつつあります。
山東省などを通る栄成─烏海高速道路の文登サービスエリアでは、新たに160キロワット級の急速充電器が導入され、待ち時間が約7割短縮されたとされています。ある利用者は、バッテリー残量50%から満充電まで約30分で済み、快適だったと話しています。
南部の都市・深圳の人気ビーチスポット、大梅沙でも、連休に合わせて超高速のデモ用充電ステーションが稼働しました。液冷方式を採用した出力600キロワット級の充電器を使うと、10分ほどの充電で最大500キロメートル相当の走行距離を確保できるとされています。
さらに、大梅沙のステーションには、急速充電器と普通充電器に加えて、車両のバッテリーから電力系統側へ電気を戻すV2G(車両からグリッドへの電力供給)対応設備も備えられており、同時に最大13台の車両にサービスを提供できるといいます。
高出力充電をどこに優先整備するか
国家エネルギー局は現在、関係部門と協力しながら、高出力充電ステーションの整備に関する新たな指針の策定を進めています。
中国電力企業連合会の劉永東・副秘書長は、高出力の急速充電設備は、まず高速道路上に優先的に整備し、短時間での充電ニーズに応えることが重要だと指摘しています。そのうえで、タクシーや商用車、一般の自家用車が多く走る巨大都市でも、充電インフラを一層充実させる必要があると述べています。
日本の読者にとっての示唆
新エネルギー車の普及と充電インフラの拡充は、中国だけでなく世界各地で共通のテーマとなっています。中国でのメーデー連休の事例は、急増する需要に対応するためには、
- 高速道路サービスエリアの広域なカバー率
- モバイル充電車など柔軟なバックアップ手段
- 超高速充電やV2Gといった新技術の併用
- 運営スタッフによる現場サポート体制
といった要素が組み合わさることで、はじめて安心して利用できる環境が整うことを示しています。
日本でも電気自動車や新エネルギー車の普及が進むなか、どのようなインフラをどこに重点的に整備していくのかは、これから本格的に議論が深まっていくテーマです。中国の動きは、アジアの隣国として、交通やエネルギー政策を考えるうえで一つの参考例になりそうです。
Reference(s):
China powers up NEV travel infrastructure for May Day holiday surge
cgtn.com








