土壌の「味方」微生物で収量アップ 中国北西部で持続可能な農業に光
中国北西部のトウモロコシ畑で、土壌に優しい微生物を活用することで土壌の質と収量を同時に高められる可能性が示されました。中国科学院傘下のNIEERとオーストリア技術研究所による国際共同研究です。
研究のポイント
- 中国北西部のトウモロコシ栽培で、微生物を含む資材の効果を2年間の圃場試験で検証
- 土壌の質の改善要因のうち、ほぼ半分が微生物の活動によるものと推定
- トウモロコシの収量増加の主な原動力も、微生物活性の向上だったと報告
- 成果は、農業の持続可能性をテーマとする研究の一環として、学術誌「Microbiological Research」に最近掲載
国際共同研究の背景
今回の研究は、地球規模で議論されている「農業の持続可能性」を背景に行われました。化学肥料への依存や土地の劣化を抑えながら、どのようにして安定した食料生産を維持するかが問われています。
中国北西部の土壌が抱える課題
NIEER(Northwest Institute of Eco-Environment and Resources)によると、中国北西部の黄土高原や砂漠地域には、アルカリ性で痩せた黄土が広く分布しており、作物の生産性を大きく制約してきました。
同研究所のWang Ruoyu研究員は、この「不毛なアルカリ性黄土」が作物生産を妨げているという科学的課題に取り組むことが、今回の研究の出発点だと説明しています。
どのように実験したのか
研究チームは、中国北西部のトウモロコシ(メイズ)畑で2年間の圃場試験を行い、微生物を含む資材を土壌に加えた場合と、そうでない場合を比較しました。
「微生物資材」とは何か
ここで使われたのは、作物にとって有益な微生物を集めた「微生物資材(微生物インキュラント)」です。微生物が根のまわりに定着し、養分の循環や有害物質の分解を助けることで、土壌の働きを高めることが期待されています。
研究では、この資材を実際の畑に投入し、土壌の状態とトウモロコシの生育・収量がどのように変化するかを追跡しました。
明らかになった効果
試験の結果、微生物資材を投入した区画では、土壌の質が改善され、トウモロコシの収量も向上しました。特に注目されたのは、その背景にある「微生物の働き」の大きさです。
- 土壌の質の改善のうち、ほぼ半分は微生物活動の増加で説明できる
- 収量増加の主な要因も、微生物の働きにあると結論づけられた
つまり、単に肥料を増やすのではなく、土壌の中で微生物が活発に働ける環境を整えることが、収量アップの鍵になっていたということです。
なぜ国際ニュースとして重要か
この研究成果は、中国北西部だけの話にとどまりません。乾燥地帯やアルカリ性土壌に悩む地域は世界各地にあり、同じような条件で農業を続ける国や地域にとっても参考になる可能性があります。
また、植物に優しい微生物を「天然の土壌ブースター」として活用する発想は、収量と土壌保全を両立させる手法として、近年、世界的に注目を集めています。化学肥料の使用量を抑えつつ、作物の生産性を保つための一つの選択肢となりうるからです。
今回の研究は、中国科学院のNIEERとオーストリア技術研究所という、異なる地域の研究機関が協力して進めた点でも意味があります。気候や土壌条件の違いを超えて使える技術かどうかを検証する上で、国際協力は重要な役割を果たします。
持続可能な農業への示唆
Wang研究員らは、研究結果が「有益な微生物を活用することで持続可能な農業を促進できる可能性」を示していると強調しています。微生物は目に見えませんが、その働きは土壌の質と収量の双方を左右するほど大きいことが改めて示された形です。
2025年の今、気候変動や水資源の制約が厳しさを増すなかで、土地そのものの力を引き出すこうしたアプローチは、今後の農業政策や現場の技術選択に少しずつ影響を与えていくかもしれません。土壌の「見えないパートナー」である微生物に、世界の視線が向きつつあります。
Reference(s):
Study uncovers role of beneficial microbes in boosting crop yields
cgtn.com








