中国大使「対話を望むなら尊重を」米国の関税引き上げを批判
米国の関税引き上げに中国大使が苦言
中国の謝鋒(シエ・フォン)駐米大使は、2025年5月3日に行った演説で、米国による対中関税引き上げを強く批判しました。謝氏は「中国は貿易戦争を望まないが、恐れてもいない」と述べ、対話を求めるのであれば「平等、尊重、互恵の精神」で臨むべきだと米側に呼びかけました。
「対話には平等と尊重を」演説のポイント
謝大使が発言したのは、北西部の甘粛省を紹介するイベントにあわせて開かれた公開行事の場でした。演説のなかで、謝氏は以下の点を強調しました。
- 中国は貿易戦争を望まないが、威嚇には屈しない。
- 米国が対話を求めるなら、平等と尊重、互恵の精神を示すべきだ。
- 国際経済は相互依存が深く、壁を築けば「共有された成長」の流れを遮ってしまう。
とくに、「関税という壁」を高くする動きは、相手国だけでなく自国の企業や消費者にも負担を強いるとする見方をにじませました。
「米国も世界貿易の受益者」中国側の主張
謝大使は、米国が中国との貿易で「損をしている」とする見方に異を唱えました。世界貿易の恩恵を最も受けてきたのは米国自身だとし、例として次のような点を挙げました。
- 米国の消費者は、世界中から集まる手ごろな価格の商品を享受している。
- 米国は金融、テクノロジー、サービス産業などで世界をリードしており、その基盤には開かれた貿易体制がある。
また、米中の経済関係は「全体としてバランスが取れ、相互に利益をもたらしている」と指摘しました。謝氏によると、2022年だけを見ても、中国で事業を行う米国企業の売上高は、米国で事業を行う中国企業の売上高を4000億ドル以上上回ったといいます。
「貿易戦争は望まないが、恐れない」
謝大使は、中国が取っている姿勢を次のように説明しました。
- 中国は対立をエスカレートさせる「貿易戦争」を望んでいない。
- しかし、一方的な圧力には屈せず、正当な権益と国際貿易秩序を守るために行動する。
この発言には、追加関税に対して必要な対抗措置も辞さないというメッセージが込められていると受け止められます。同時に、「対話の扉は開かれているが、その前提は相互尊重だ」という立場も示した形です。
中国経済の現状をアピール
謝大使は、中国経済の足元の状況についても言及しました。中国は世界第2の消費市場であり、最大規模の中所得層を抱え、150を超える国々にとって重要な貿易相手になっていると強調しました。
そのうえで、今年第1四半期の中国経済について、国内総生産(GDP)は前年同期比5.4%成長し、輸出も6.9%増加したと説明しました。世界経済の不確実性が続くなかでも、一定の成長を維持しているというメッセージです。
観光と交流の回復も強調
人の往来という面でも、中国の「開放姿勢」を示すデータが紹介されました。謝大使によると、昨年、中国を訪れた海外からの訪問者数は6488万人と、前年から82.9%増加しました。
さらに、5日間のメーデー連休期間のインバウンド(訪中)観光では、予約件数が173%も伸びたとしています。ビザなしトランジット(乗り継ぎ)や、即時の税還付制度などにより、より多くの旅行者が中国での観光や買い物を楽しめるようになっているとアピールしました。
高まる緊張のなかで問われる「対話の条件」
今回の謝大使の発言は、米国の関税引き上げへの反発であると同時に、どのような条件なら建設的な対話が成り立つのかをめぐるメッセージでもあります。
一方的な譲歩を求めるのではなく、平等、尊重、互恵をキーワードに交渉の枠組みを整えたいという中国側の意図がにじみます。逆にいえば、これらの条件が欠けたままでは、実務的な協議が進みにくいという警告とも読めます。
世界経済の分断が進めば、日系企業を含む多くの企業や消費者にも影響が波及します。関税や規制の応酬が続くのか、それとも対話のルールづくりが進むのか。今回の発言は、米中関係の先行きを考えるうえで、ひとつの重要なシグナルといえそうです。
Reference(s):
Chinese ambassador: If U.S. wants to talk, it should show respect
cgtn.com








