第二次大戦80年 習近平氏がロシア紙に署名記事 歴史観と台湾・中ロ関係を語る
リード
2025年、第二次世界大戦の終結から80年の節目を迎える中、中国の習近平国家主席がロシア紙ロシースカヤ・ガゼータに署名記事を寄せ、中ロ関係と国際秩序について持論を示しました。
第二次世界大戦80年と「歴史から学ぶ」メッセージ
署名記事のタイトルは、英語でLearning from History to Build Together a Brighter Future。習主席は、中国人民の抗日戦争、ソ連の大祖国戦争、世界反ファシズム戦争、そして国連創設から80年を迎える意義を強調しました。
10年前に行ったロシア訪問で、ソ連の大祖国戦争と中国の抗日戦争に参加した退役軍人18人と面会した経験を振り返りつつ、戦場を生き抜いた人々への敬意と追悼を述べています。
記事では、戦時中の中ソ(当時)協力にも触れています。ソ連空軍の義勇隊が南京、武漢、重慶で日本軍と戦い、多くの隊員が命を落としたこと、中国共産党の情報員・閻宝航がソ連に重要な情報を提供したこと、ゴビ砂漠を越える補給線を両国が共同で築いたことなど、具体的なエピソードが挙げられています。
戦争の記憶と戦後秩序をどう守るか
習主席は、歴史から得られる教訓として「光は必ず闇に打ち勝ち、正義は最終的に悪に勝つ」と述べ、ニュルンベルク裁判や極東国際軍事裁判の歴史的意義を評価しました。
そのうえで、第二次世界大戦の歴史を歪めたり、戦争の結果や中国やソ連の貢献を否定したりする試みは失敗に終わるとし、中国とロシアだけでなく世界の人々もそうした動きを容認しないと強調します。
戦後の国際秩序については、国連の創設を「国際社会が下した最も重要な決定」と位置づけ、中国とソ連が国連憲章の最初の署名国であり、安全保障理事会常任理事国の地位は血と犠牲によって得られたと述べました。
現在の国際情勢が複雑化・不安定化するほど、国連を中心とした国際システムと、国際法に基づく国際秩序、国連憲章の目的と原則にもとづく国際関係の基本規範を守る必要があると訴えています。
台湾問題を「戦後秩序」の文脈で位置づけ
記事では、今年が台湾の回復から80年に当たることにも触れています。習主席は、台湾の中国への回復は第二次世界大戦の勝利の結果であり、戦後国際秩序の不可分の一部だと述べました。
その根拠として、カイロ宣言やポツダム宣言など、国際法上の効力を持つ文書が中国の台湾に対する主権を確認していること、そして国連総会第2758号決議の権威は、いかなる挑戦も許されないと強調しています。
また、台湾の情勢がどう変化しようとも、外部勢力がどのような動きを見せようとも、中国の最終的かつ必然的な完全統一という歴史的潮流は止められないとの見方を示しました。
ロシアについては、一つの中国の原則を厳格に順守し、台湾は中国領土の不可分の一部であり、いかなる形の台湾独立にも反対し、中国の統一を実現するための中国政府と中国人民のあらゆる努力を断固支持していると紹介。中国はこうしたロシアの一貫した立場を高く評価すると述べています。
「覇権ではなく公正を」──グローバル・ガバナンス改革の方向性
習主席は、今の世界が平和、発展、安全、ガバナンスの四つの赤字に直面していると指摘し、その克服に向けて、自ら提唱してきた人類運命共同体の構築と、グローバル発展イニシアティブ、グローバル安全保障イニシアティブ、グローバル文明イニシアティブを改めて提示しました。
世界が必要としているのは覇権主義ではなく公正であり、グローバルな課題に対応するには、広範な協議と共同貢献、成果の共有にもとづくガバナンスが重要だと強調します。
具体的には、対立より対話、同盟よりパートナーシップ、ゼロサムよりウィンウィンの協力を選ぶべきだとし、真の多国間主義を実践し、各国の正当な関心を尊重しつつ、国際規範と秩序を守るべきだと呼びかけました。
中ロ関係をどう位置づけているのか
記事は、中国とロシアを世界の戦略的安定を維持し、グローバル・ガバナンスを改善する建設的な力と位置づけます。両国関係は明確な歴史的ロジックを持ち、内在的な原動力と深い文化的土壌に支えられていると述べました。
一方で、この関係は第三国を対象としたものではなく、第三国によって左右されることもないと説明。妨害や離間の試みを退け、短期的な出来事や困難に惑わされず、戦略的協調パートナーシップの安定性と強靱性をテコに、多極化の進展と人類運命共同体の構築を進めていくべきだとしています。
最後に習主席は、中国とロシアの人々を英雄的な伝統を持つ偉大な人民と表現し、80年前に反ファシズム戦争に勝利したように、今後も主権・安全・発展利益を断固として守り、歴史の記憶の守護者、国家発展と民族復興のパートナー、公正と正義の擁護者として、より明るい未来を切り開いていくべきだと締めくくりました。
日本の読者への視点:歴史・台湾・中ロ協力を結びつける文章
今回の署名記事は、次の三つの論点を一つのストーリーとして結びつけています。
- 第二次世界大戦と戦後国際秩序の正しい歴史観の維持
- 台湾問題を含む主権・安全保障に関する核心的利益の擁護
- 中ロ協力を軸とした多極化とグローバル・ガバナンス改革
特定の国名には触れていませんが、覇権主義、いじめ、強制といった表現から、歴史認識と現在の国際情勢を重ね合わせ、どのような世界秩序が望ましいのかを問うメッセージであることがうかがえます。
第二次世界大戦から80年を迎える2025年に発表されたこの文章は、歴史の解釈、台湾問題、中ロ関係、そして国際秩序をめぐる中国の考え方を読み解く材料として、日本の読者にとっても重要なテキストと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








