北京で世界ヒューマノイドロボット競技大会 スポーツと仕事でロボットが競う
北京で「世界ヒューマノイドロボット競技大会」 スポーツと仕事でロボットが競う
今年8月15〜17日に北京での開催が予定されていた「2025年世界ヒューマノイドロボット競技大会」。リレー走やハイジャンプ、サッカーだけでなく、工場や病院、ホテルを再現した「お仕事競技」まで、人型ロボットがどこまで人間に近づいているかを世界に示す試みです。会場には、北京市内の象徴的な施設である国家体育場(通称・Bird's Nest)と国家スピードスケート館の2会場が予定されていました。
人型ロボットが挑む「スポーツの祭典」
共催団体の一つである中国メディアグループによると、大会は「メイン競技」と「補助競技」で構成され、メイン競技の中心は人間のスポーツを模した陸上競技や体操、サッカーなどです。ヒューマノイドロボットがリレー走やハイジャンプ、さらにはバドミントンに挑み、走る・跳ぶ・蹴るといった基本動作の正確さや安定性を披露する設計になっています。
ダンスで問われる「表現力」と制御技術
メイン競技には、ソロやグループでのダンスなど、パフォーマンスに重点を置いた種目も含まれています。音楽と振り付けに合わせて全身をリアルタイムに協調させて動くことで、ロボットの芸術的な表現力と緻密な同期制御がどこまで実現できているかを示します。
単に決められたポーズを繰り返すのではなく、複数の関節を同時に滑らかに制御し続ける必要があるため、開発チームにとっても高度なチャレンジとなる分野です。
工場・病院・ホテル…現実世界を再現した「お仕事競技」
この大会の大きな特徴は、現実の職場環境を想定したシナリオ競技が用意されていることです。競技の舞台として設定されているのは、工場、病院、ホテルなど、日常生活や仕事の現場を象徴する場所です。
- 工場シナリオでの物資の運搬
- 病院での薬剤の仕分けや包装
- ホテルでの来客対応や清掃サービス
こうした種目では、ロボットがどれだけ環境に適応し、状況を理解して判断し、人間の日常を支えられるかが試されます。シナリオ競技では、移動方式として車輪型と二足歩行のいずれも認められており、用途に応じた設計の工夫も見どころとなります。
補助競技には非ヒト型ロボットも登場
メイン競技とは別に、補助競技として非ヒト型ロボットによるバドミントン、バスケットボール、卓球の3種目も実施される計画です。人型にこだわらない多様なロボットが、素早い往復運動や正確なパス、打球コントロールなどを通じて機動力や制御精度を競います。
参加できるロボットの条件とチーム構成
大会に参加できるロボットは、各チームが独自に開発したものか、チームが購入したものに限られます。ヒューマノイドとして認められるためには、胴体と上肢、2本の脚を備え、重心の位置が全高の40〜70%の範囲に収まっていることが条件とされています。
大会は、世界各地のロボット企業、大学、研究機関、イノベーションチーム、クラブなどに広く開かれており、各チームは複数の種目にエントリーすることができます。また、種目ごとに異なるロボットを使い分けることも認められています。
1チームのメンバーは最大5人までで、競技エリア内に同時に入れるのは2人までという制限があります。4×100メートルリレーでは、最大4つのグループが合同でチームを組んで参加することができますが、それ以外の種目では各チームが独立してエントリーする必要があります。
公平性と安全性を確保するためのルール
公平性と安全性を保つため、参加ロボットには厳格なルールが設けられています。まず、各ロボットは単独の一体型ユニットでなければならず、複数モジュールをケーブルでつないだシステムや、会場内に設置する外部マーカーなどは厳しく禁止されています。
ロボットはすべて自前の電力で動作する必要があり、危険なエネルギー源に依存することは認められていません。制御方式については、完全自律型と、指定されたエリアからの無線操作のどちらも許可されています。
ただし、床運動やダンスといった種目では、競技時間中の人間による介入は禁止されており、ロボットが完全に自律的に演技をやりきることが求められます。これは、制御アルゴリズムそのものの完成度を直接測る狙いがあるといえます。
また、先ごろ行われたヒューマノイドロボットによるハーフマラソンでは途中でロボットを交代する方式が採用されましたが、世界ヒューマノイドロボット競技大会では、1つの種目の途中でロボットを入れ替えることは認められていません。
ロボット競技が映す「人と機械のこれから」
世界ヒューマノイドロボット競技大会は、単なるエンターテインメントではなく、ロボット工学や人工知能の実力を「見える化」する国際舞台といえます。スポーツ、ダンス、日常業務という三つの場面で、人型ロボットがどこまで人間に近づき、どこに課題が残っているのかが浮かび上がります。
標準化されたルールのもとで世界中の開発チームが競い合うことで、ハードウェア設計や制御アルゴリズムの共通基準が生まれ、研究や産業応用の加速につながる可能性があります。
同時に、工場や病院、ホテルの業務を模した競技は、人型ロボットが今後どのように私たちの生活や仕事の現場に入ってくるのかを考える手がかりにもなります。北京でのこの大会に向けて示された競技設計やルールは、ロボットと人間がどのように共生していくかをめぐる議論に、今後も静かな影響を与えていきそうです。
Reference(s):
100-day countdown! Beijing to host the 2025 World Humanoid Robot Games
cgtn.com








