中国で次世代「空気膜サイロ」誕生 食料安全保障へ新たな一歩 video poster
中国の湖南省長沙市で、9,000トン級の次世代穀物貯蔵施設「空気膜サイロ」5基が今週月曜日に成形され、食料安全保障と省エネをめぐる中国の取り組みが新たな段階に入りました。国際ニュースとしても、穀物の保管技術の進化に注目が集まっています。
長沙で初の9,000トン級空気膜サイロが成形
今回成形されたのは、中国中部の湖南省の省都・長沙市に建設中の空気膜式穀物貯蔵施設です。中国が進める第4世代の穀物貯蔵技術の一環とされ、5基のサイロが同時に膨らませられ、所定の形に成形されました。
各サイロは次のような規模です。
- 直径:約24メートル
- 高さ:約33メートル
- 1基あたり約9,000トンの穀物を貯蔵可能
5基を合わせると、約2,300万人が1日で消費する量の食料を保管できる計算になります。都市一つ分の人々を支える規模の「次世代穀倉」が、一カ所に集約されるイメージです。
空気膜サイロの仕組みと特徴
今回の空気膜サイロは、外側を覆う空気膜の内側に、鉄筋コンクリートの構造層と断熱用のポリウレタン層を備えた多層構造になっています。空気で膨らませた膜が外殻となり、その内側をコンクリートと断熱材が支えることで、軽量性と強度を両立させています。
中国儲備糧管理集団(シノグレイン)傘下の成都糧食貯蔵研究所でエンジニアリングデザインセンターを率いるワン・ユエ氏は、次のように説明しています。
「この空気膜サイロは、従来の穀物貯蔵施設に比べて、雨や冷たい外気に強いのが特徴です。気密性は国家基準の6倍、断熱性能は従来の低層サイロのおよそ3倍に達しています。」
サイロ内部にはセンサーが張り巡らされ、穀物の温度をリアルタイムかつ立体的に監視できるとされています。さらに、内部はほぼ酸素の少ない環境を保つことで害虫の発生を抑え、穀物の品質を長期間維持しやすくしているのが特徴です。
こうした高い気密性と断熱性、デジタル監視の仕組みによって、穀物の劣化やロスを抑えながら、安全に長期保管することを目指しています。
運営コスト3割減、人員も大幅削減
空気膜サイロは、性能面だけでなく、運営コストの面でも優位性があるとされています。従来型サイロと比べて、運営・維持管理の費用を約30パーセント削減できる見通しです。
建設を担当する中国煤炭第68工程有限公司で空気膜サイロプロジェクトを率いるジン・フェン氏は、次のように語っています。
「断熱層とコンクリート構造を空気膜の内側に配置しているため、雨や雪、風といった悪天候の影響を受けにくくなっています。かつては100人を超える作業員が必要だった工事も、現在は18人で対応可能になり、建設期間も従来の低層サイロに比べて4分の1短縮されました。」
数字で整理すると、次のようになります。
- 運営・維持管理コスト:従来比 約30パーセント減
- 必要な作業員数:100人超 → 18人
- 建設期間:従来の約4分の3(約25パーセント短縮)
人手不足や建設費の高騰が課題となる中、少人数で短期間に建設できる点は、今後のインフラ整備のあり方にも影響を与えそうです。
第4世代穀物貯蔵技術としての位置づけ
今回の空気膜サイロは、中国が推進する第4世代の穀物貯蔵技術の一部とされています。高い気密性と断熱性、センサーによるリアルタイム監視、害虫抑制を可能にする低酸素環境など、複数の技術を組み合わせることで、従来型サイロからの大きなアップグレードを目指しています。
穀物の損失を減らし、安全に保管できる量を増やすことは、そのまま食料安全保障の強化につながります。国内の備蓄体制の安定は、国際的な穀物市場や価格の安定にも間接的な影響を及ぼしうるテーマであり、今後の動向を注視する必要があります。
稼働開始は2026年2月の見通し
2025年12月8日時点の計画では、今回成形された9,000トン級の空気膜サイロ5基は、2025年末までに建設が完了し、2026年2月に本格的な運転を開始する見通しです。
中国が進める次世代の「穀倉」づくりがどこまで広がり、食料の安定供給やコスト削減、環境負荷の低減にどのような影響をもたらすのか。今後の展開が注目されます。
Reference(s):
China takes another step forward in developing next-generation granary
cgtn.com








