黄山の絶景が中国観光を牽引 SNS時代に伸びる世界遺産の魅力
中国・安徽省の名峰「黄山」が、独自の絶景とSNS映えする景観を武器に、2025年現在も高い人気を保ち、観光成長を後押ししているとみられます。五つの代表的な景観と、その魅力がどのように観光とつながっているのかを整理します。
黄山とは?世界文化・自然遺産に選ばれた名峰
黄山(ファンシャン)は、中国東部・安徽省にある山岳景勝地で、世界文化遺産と世界自然遺産の両方に登録されたエリアとして知られています。険しい地形と変化に富んだ景観が特徴で、観光ニュースや旅行ガイドにも頻繁に登場します。
この黄山の地形は、標高1000メートルを超える88の峰から成るとされ、まさに自然がつくり出した「立体的な芸術作品」です。切り立った岩肌と深い谷が連続し、見る場所や天候によって表情が大きく変わります。
黄山の魅力を語るうえでよく挙げられるのが、次の「五つの絶景」です。
- 奇妙な形をした松の木(奇松)
- 独特なシルエットを描く岩(怪石)
- 山々を覆う広大な雲の海(雲海)
- 歴史ある温泉
- 山全体を白く染める冬の雪景色
これらが組み合わさることで、黄山は「一度見たら忘れられない風景」として、国内外の旅行者の関心を集め続けています。
象徴的存在「迎客松」 800年立ち続ける一本の松
黄山のなかでも象徴的な存在が、高さ約10メートルの「迎客松(げいかくしょう)」と呼ばれる松の木です。岩から根を張り、訪れる人々を迎えるように枝を差し出すその姿は、黄山を代表するアイコンになっています。
迎客松は、およそ800年以上にわたって風雪に耐えながら立ち続けているとされ、その「強さ」と「しなやかさ」は、黄山という山自体のイメージとも重なります。観光客にとっては、写真に収めずにはいられないポイントのひとつです。
雲海がつくる「別世界」 トレンドを生む黄山の景観
黄山の観光ニュースで頻繁に取り上げられるのが、「雲海」と呼ばれる現象です。山々の谷間を雲が埋め尽くし、峰だけが島のように顔を出す光景は、現実とは思えない幻想的な「天空の海」のように見えます。
刻々と形を変える雲と、そこから覗く断崖や松のシルエットは、写真や動画で切り取るたびに違う表情を見せます。この「二度と同じ瞬間はない」景色こそが、黄山が長年愛されてきた理由の一つです。
Douyinでトップ10入り SNS時代の黄山人気
2025年現在、黄山はSNS上でも高い存在感を持っています。特に、中国版TikTokともいわれるショート動画プラットフォーム「抖音(Douyin)」では、黄山が「最も人気のある観光地トップ10」の一つに数えられています。
雲海や雪景色のタイムラプス動画、険しい山道を登る様子、温泉でのくつろぎの時間など、黄山で撮影された短い動画が、日々大量に投稿され、再生されています。こうしたコンテンツが拡散されることで、実際に現地を訪れたことがない人でも、黄山の雰囲気を視覚的に体験できるようになっています。
特に、スマートフォンで気軽に旅行先を探す若い世代にとって、SNSでの話題性は、旅行先を決める際の重要な材料です。黄山の景観は「映える」要素が多く、視聴者の「行ってみたい」という気持ちを強く刺激し、観光の成長を支える要因の一つになっているとみられます。
ショート動画が変える「旅の入口」
近年の旅行では、
- ガイドブックより先に、SNSで動画・写真をチェックする
- 「この景色を自分も撮りたい」という動機で旅先を選ぶ
- 旅行中もリアルタイムで投稿し、反応を楽しむ
というスタイルが一般的になりつつあります。黄山の雲海や奇岩は、この新しい旅のスタイルと非常に相性がよい景観だといえます。
黄山の絶景はなぜ観光成長を後押しするのか
黄山の景観が観光成長を後押ししている背景には、「物語性のある自然」という特徴があります。ただ美しいだけでなく、
- 800年以上立ち続ける迎客松
- 一瞬ごとに姿を変える雲海
- 四季でまったく印象の違う山の表情
といったストーリーが積み重なっているため、映像や文章で伝えやすく、ニュースやSNS投稿の題材になりやすいのです。
観光地としてのブランドづくりの観点から見ると、黄山は次のような強みを持っていると考えられます。
- 分かりやすい象徴:迎客松や雲海など、誰もが「黄山だ」と認識しやすいモチーフがある
- 多様な楽しみ方:登山、写真撮影、温泉、雪景色鑑賞など、季節と好みに応じた体験が可能
- SNSとの相性のよさ:一枚の写真・数秒の動画でもインパクトを与えやすいビジュアル
こうした特徴が組み合わさることで、黄山は世界遺産としての価値に加え、観光地としての競争力を強めているといえます。
人気観光地と持続可能性 これからの黄山に求められる視点
一方で、人気観光地であるほど避けて通れないのが、「環境保護」と「観光のバランス」という課題です。黄山のように、自然そのものが魅力の中心にある場所では、
- 景観を損なわない範囲での観光インフラ整備
- 過度な混雑の緩和や安全対策
- 自然環境や文化的価値に対する来訪者の理解を深める取り組み
などが重要なテーマになります。
黄山の五つの絶景は、単なる「観光資源」ではなく、長い時間をかけてつくられてきた自然と人の関わりの結晶でもあります。ニュースやSNSでその美しさに触れると同時に、「この景色を次の世代にどう残していくのか」という視点もあわせて持つことが求められています。
黄山のニュースから考える「自分にとっての絶景」
黄山の人気ぶりや、Douyinでのトレンド入りという話題は、単に「行ってみたい場所が一つ増えた」というだけでなく、私たちの旅のあり方についても問いを投げかけています。
例えば、
- 自分が本当に見たい景色は何か
- 写真や動画で見る絶景と、現地で体験する空気感の違い
- 観光と自然保護をどう両立させるべきか
といった問いに、黄山という具体的な例を通じて向き合うことができます。
世界のニュースや国際観光の動きを日本語で追いかけることは、「遠い国の話」を知るだけでなく、自分の日常や価値観を映し出す鏡にもなります。黄山の雲海や迎客松の姿を思い浮かべながら、「自分にとっての忘れられない景色」はどこなのか、少し立ち止まって考えてみるのもよさそうです。
Reference(s):
cgtn.com








