国連総会で中国が「第二次世界大戦の正しい理解」を訴え 終戦80年の節目
リード:終戦80年、国連で問われる「歴史の正しい理解」
国際ニュースとして注目される国連総会の特別会合で、中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使が、第二次世界大戦の歴史を正しく理解し直す重要性を国際社会に呼びかけました。終戦から80年となる2025年、歴史認識と現在の国際秩序をどう結びつけるのかが改めて問われています。
国連総会が第二次世界大戦の犠牲者を追悼
国連総会は今週、水曜日に第二次世界大戦の全ての犠牲者を追悼する特別で厳粛な会合を開きました。国際社会が戦争終結から80年という節目を迎える中で行われたもので、中国の常駐代表である傅聡大使が会合で演説しました。
この特別会合は、過去の戦争の記憶を風化させないと同時に、現在の国際秩序をどう守るのかという議論とも密接に結びついています。
中国が強調した「犠牲」と「貢献」
傅大使は演説で、第二次世界大戦における中国の役割を強調しました。中国は、戦争の東方の主要戦場となる中で三千五百万人を超える犠牲を払ったと説明しました。
そのうえで、中国は日本の軍国主義の主力を引きつけることで自国の生存と民族の救済を図っただけでなく、ヨーロッパや太平洋地域の抵抗勢力を強く支え、世界反ファシズム戦争の勝利に消し難い貢献をしたと述べました。
終戦80年の節目に、自国の犠牲と貢献を改めて強調する背景には、歴史をどう記憶し共有するかが、現在の国際政治にも影響を与えるという認識があります。
「一方主義」と「いじめ」への危機感
傅大使は、80年を経た今、世界は新たな乱気流の時代に入っているとの見方を示しました。一方主義が台頭し、力を背景にしたいわゆる「いじめ」が横行していると指摘しました。
こうした状況の中でこそ、第二次世界大戦の歴史をどう理解するかが重要になると強調しました。歴史を矮小化したり、否定したり、歪めたりするいかなる企図や行動も、歴史への嘲りであり、人類の良心への挑戦だと批判しました。また、侵略戦争や植民地支配を美化する言説は、国際社会の信頼を必ず失うと警告しました。
「第二次世界大戦の正しい理解」を求める呼びかけ
傅大使は、各国が協力して「第二次世界大戦の歴史の正しい理解」を促進するべきだと訴えました。その趣旨は、事実に基づいた歴史認識を共有し、戦争の悲劇を繰り返さないための共通の土台を築くことにあります。
歴史の語り方は、国ごとに異なることがありますが、戦争の被害や加害の実態を過小評価したり、過去の侵略や支配を正当化したりする動きは、国際社会の分断を深めかねません。傅大使の発言は、そうした動きへの懸念を示すものと言えます。
国連中心の国際秩序を守る重要性
演説のもう一つの柱は、国連を中心とした国際システムの維持でした。傅大使は、次の三つをしっかりと守る必要があると訴えました。
- 国連を中心とする国際システム
- 国際法に基づく国際秩序
- ルールに基づく多国間の貿易体制
そして、あらゆる形態の覇権主義や力による政治、いわゆる「いじめ」に対して、明確にノーと言うべきだと強調しました。第二次世界大戦の教訓を踏まえ、対話と協力を軸とした多国間主義を堅持するよう訴えた形です。
国連の権威と地位をどう守るか
傅大使はさらに、国連の権威と地位を共同で守る必要性を訴えました。一部の国々が国連を、自らの都合が良いときだけ利用し、不都合なときには軽んじていると批判しました。
具体的には、合意や国際機関からの一方的な離脱、拠出金の滞納、資金拠出の削減といった行動を挙げ、こうした行為は自国の狭い利益を世界全体の公共の利益より優先させるものだと述べました。そのうえで、こうしたやり方は国際社会の中で極めて不評であり、最終的には行き詰まる運命にあると強調しました。
終戦80年の議論が示すもの
今回の国連総会での議論は、単なる歴史の振り返りにとどまりません。第二次世界大戦の犠牲者を追悼しつつ、戦後つくられた国連中心の国際秩序を今後も維持・強化できるのかという、現在進行形の問いを突きつけています。
歴史をどう教訓化するかは、平和と安全保障、さらには経済や貿易のルール作りにもつながります。傅大使の演説は、歴史認識と国連システム、そして多国間主義を一体のものとして守るべきだというメッセージとして読むことができます。
日本の読者への問いかけ
日本にとって第二次世界大戦の歴史は、自国の近現代史であると同時に、近隣諸国や国際社会との関係を考えるうえで避けて通れないテーマです。今回の中国の発言は、国連という場で各国がどのような歴史観と秩序観を発信しているのかを知る手がかりとなります。
国際ニュースを日常的に追う読者にとって、各国が歴史をどう語り、何を「教訓」と位置づけているのかに注目することは、現在の外交メッセージを理解するうえで有効です。終戦80年の今、歴史と現在、そして未来をどう結びつけて考えるかが、私たち一人ひとりに静かに問われていると言えるでしょう。
Reference(s):
China promotes 'correct understanding' of WWII history at UNGA
cgtn.com








