中国・ロシアが共同声明 貿易制裁に反対しAIガバナンスで国連支持
中国とロシアが、包括的戦略協力パートナーシップを「新時代」に一段と深化させる共同声明を発表しました。国際ニュースとして、貿易制裁への姿勢とAIガバナンスの方向性を同時に打ち出した点が注目されています。
共同声明の概要:戦略的パートナーシップを「新時代」へ
声明によると、中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、中国とロシアの「新時代における包括的戦略協力パートナーシップ」をさらに深めることで一致し、その内容を共同声明として示しました。
今回の共同声明は、
- 貿易・金融分野での一方的な制裁措置への反対
- 米国が進めるとされる「二重の封じ込め」政策への対応
- 人工知能(AI)ガバナンスにおける国連の役割の重視
という三つの柱を中心に構成されています。
貿易・金融での一方的制裁に強く反対
声明はまず、貿易や金融などの分野で特定の国とその同盟国が実施しているとされる「一方的かつ違法な制限措置」に強く反対する立場を明確にしました。両国は、そうした国々が関税を大幅に引き上げたり、市場原理に反する手段で競争を行ったりしていると指摘しています。
声明によれば、これらの動きは、
- 世界経済に悪影響を与える
- 公正な競争を損なう
- 全人類が直面する共通課題への国際協力を妨げる
とされ、とりわけ、グローバルな食料安全保障やエネルギー安全保障、そして国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成を妨げていると批判しました。
両国はまた、国連安全保障理事会を迂回して、国連憲章や国際法に反する措置を一方的に導入する行為を非難し、それが世界貿易機関(WTO)のルールを損ない、「正義を阻害するものだ」としています。
中国とロシアは、世界経済が下押し圧力に直面する中で、協力して状況に対応していくとともに、グローバル・サウス諸国が国際・地域貿易により広く参加できるよう促進していく考えも示しました。
WTO中心の多角的貿易体制を支持
声明は、世界の貿易が「分断」や差別的な措置、違法な貿易制限のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。ある国々がさまざまな名目で貿易相手国に一方的な関税を課していることについて、両国は、
- 他国の正当な権利と利益を侵害している
- WTOルールに重大に反している
- ルールに基づく多角的貿易体制を大きく損なっている
- 世界経済秩序の安定を深刻に揺るがしている
と批判しました。
そのうえで、中国とロシアは、恣意的な関税引き上げや輸出管理の乱用といった「違法な一方的いじめ」や保護主義的措置に断固反対すると強調しました。こうした措置は、国際的な経済・貿易秩序を乱し、世界の産業・サプライチェーンに深刻な悪影響を及ぼすとしています。
両国は、WTOを中心とする開かれた、包摂的で透明かつ非差別的な多角的貿易体制を積極的に推進する姿勢を示し、WTOルールを現状に即してアップデートする取り組みを支持すると表明しました。また、貿易と投資の自由化・円滑化を進める考えも打ち出しています。
米国の「二重の封じ込め」政策に共同で対処
声明は次に、米国が中国とロシアに対して進めているとされる「二重の封じ込め」政策(double containment)への対応に触れています。両国は、こうした動きに「断固として対応するため、調整と協力を強化する」と明言しました。
両国は、世界各地の国々に対し、中国とロシアに敵対的な立場をとるよう扇動したり、中国・ロシア間の協力をおとしめたりする行為に反対する姿勢も示しました。
陣営対立を招く動きへの懸念
声明は、特定の国とその同盟国が採用している対立的な政策や、それに関連する発言に対して深い懸念を表明しています。両国は、
- 他国の内政に干渉する行為
- 世界各地域の既存の安全保障体制を損なう行為
- 国と国の間に人工的な境界線を引き、陣営対立をあおる行為
をやめるよう呼びかけました。
さらに、声明は、米国とその同盟国が北大西洋条約機構(NATO)の影響範囲をアジア太平洋地域へと拡大しようとしていると指摘しています。具体的には、地域における「小さな輪」を作り出し、各国に「インド太平洋戦略」を実行するよう促すことで、地域の平和・安定・繁栄を損なっていると批判しました。
核共有やミサイル配備に反対
安全保障分野では、両国は中国とロシアに対抗する「核共有」の軍事同盟を構築する動きに反対しています。また、「拡大抑止」の強化を名目とした核兵器システムの地域配備や、戦略的安定を損なうとされる世界的なミサイル防衛システムや地上発射型中距離ミサイルシステムの配備にも反対を表明しました。
AIガバナンスで国連の中心的役割を支持
共同声明のもう一つの大きな柱が、人工知能(AI)ガバナンスに関する部分です。中国とロシアは、AIの国際的なルール作りにおいて、国連が中心的な役割を果たすべきだと支持を表明しました。
両国は、AIガバナンスを進める際には、
- 各国の主権を尊重すること
- 各国の国内法を順守すること
- 国連憲章を守ること
が重要だと強調しています。
AIを「地政学的道具」にしないと強調
中国とロシアは、AIと機械学習の発展がすべての国の経済・社会発展に資するものであるとし、「善で、普遍的で、すべての人に利益をもたらす」方向でAIの発展を共同で促進する姿勢を示しました。そのうえで、AIを特定の国が覇権を維持するための地政学的な道具にしてはならないとしています。
また、科学技術の問題を政治化すること、国際的なAI産業やサプライチェーンの安定を意図的に乱す「否定的なやり方」にも反対すると表明しました。
国連決議と中国の提案をロシアが評価
声明によれば、ロシア側は、中国が国連総会で「AI能力構築に関する国際協力の強化」に関する決議の全会一致での採択を推進したことを高く評価しました。また、中国が提案した「すべての人の善のためのAI能力構築行動計画」を歓迎するとしています。
ロシアはさらに、「AI能力構築に関する国際協力の友好グループ」や「中国・BRICS AI発展協力センター」といったプラットフォームを通じて、二国間および多国間の協力に積極的に参加する意思を示しました。
両国は、2025年に予定される世界AI会議やグローバルAIガバナンスに関するハイレベル会合、グローバル・デジタル・フォーラムの開催において、互いに支援し合うことも約束しています。
どこに注目すべきか:貿易ルールとAI秩序をめぐるせめぎ合い
今回の共同声明は、世界の秩序をめぐる中国とロシアの見方を示す文書として、いくつかのポイントで注目されています。
- 一方的な制裁や高関税に対する明確な異議申し立て
- 米国とその同盟国が推進する安全保障構想への強い警戒感
- AIガバナンスを国連中心で進めるべきだとする立場の強調
さらに、両国がグローバル・サウス諸国の貿易参加を促進すると強調している点からは、新興国や途上国との連携を重視しながら、貿易とデジタル技術のルール作りに関与していこうとする姿勢もうかがえます。
SNSで議論したいポイント
この共同声明をめぐっては、次のような問いを軸に議論が広がりそうです。
- 一方的な制裁や高関税は、どこまで正当化できるのでしょうか。
- AIガバナンスは、国連を中心とする枠組みと各国・各地域の取り組みをどのように組み合わせるべきでしょうか。
- 安全保障と経済・技術協力のバランスを、各国はどう取っていくべきでしょうか。
中国とロシアの共同声明は、貿易、安保、AIという複数のテーマが絡み合う現在の国際秩序の一断面を映し出しています。読者のみなさんそれぞれが、この動きをどのように捉えるかが問われています。
Reference(s):
China, Russia issue joint statement on further deepening partnership
cgtn.com








