国際ニュース:中国とロシアのメディアが第二次世界大戦80周年で文化交流
第二次世界大戦の記憶を未来世代につなぐため、中国とロシアの主要メディアが戦勝80周年をテーマにした文化交流イベントを開き、映画や記録映像、平和プロジェクトで協力を深めています。
中露メディアが戦勝80周年イベントを共催
中国の放送・配信大手であるChina Media Group(CMG)と、ロシアの全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社(VGTRK)は先ごろ、水曜日に文化交流イベントを共催しました。このイベントは、中国人民の抗日戦争とソ連の大祖国戦争の勝利から80周年を記念するものです。
会場では、両国の国家元首から寄せられた祝賀メッセージが読み上げられ、メディア協力を通じた中国・ロシア関係の深化への期待が示されました。政治、経済、文化、メディア、教育など幅広い分野から、両国あわせて200人以上が参加しました。
慎海雄氏「文化の橋で心をつなぐ」
中国共産党中央宣伝部の副部長であり、CMG総裁でもある慎海雄(シェン・ハイション)氏は、祝賀メッセージについて「CMGとVGTRK、そして両国のメディア関係者による中国・ロシア友好の促進と交流・協力の深化が高く評価されたものだ」と述べました。
慎氏は、CMGが今後も一連の質の高い番組や作品を通じて両国の心をつなぐ「文化の橋」を築き、新時代の中国・ロシア包括的戦略的協力パートナーシップの発展を、より幅広い交流と協力によって後押ししていく考えを示しました。
また、現在進行中の「中露文化年」に触れつつ、CMGとして両国の文化交流と相互学習を一層活性化させ、中国とロシアの人びとの友情が長く続き、花開くよう努めていくと強調しました。
ドブロデーエフ氏「新時代のパートナーシップの重要な一部に」
VGTRKのオレグ・ドブロデーエフ最高経営責任者(CEO)は、これまでの中国・ロシア間のメディア協力が「前向きな進展を遂げ、顕著な成果を上げており、新時代の包括的戦略的協力パートナーシップの重要な一部になっている」と評価しました。
そのうえで、今後は次のような分野で協力を一層強化していく方針を示しました。
- ニュースや番組を含むコンテンツの交換
- 新しい放送・配信技術など技術革新分野での協力
- 記者や制作スタッフなど人材交流の拡大
ドブロデーエフ氏は、こうした取り組みを通じて、両国の友好に対する世論の土台を固め、文明間の交流と相互学習、そして人びと同士の相互理解と友情を育むために、メディアの力を生かしていきたいと語りました。
映画とドキュメンタリーで描く戦争の記憶
共同制作映画『Red Silk』、ロシアで先行公開
イベントでは、中国とロシアが共同制作した映画『Red Silk』のプロデューサーや主要スタッフが登壇し、作品づくりの経験やエピソードを共有しました。
『Red Silk』は2月20日にロシアで公開されており、中国国内の映画館でも9月に公開される予定として紹介されました。映画を通じて、両国の歴史認識や価値観を共有し、観客の心に訴えかけることが期待されています。
ロシアで「2025中国映画祭」が始動
このイベントでは、「2025中国映画祭 in ロシア」の開催も正式に発表されました。ロシアの観客は、『My Country, My Parents』、『Detective Chinatown 1900』、『The Sinking of the Lisbon Maru』など、さまざまな中国映画を通じて中国社会や歴史への理解を深めることができるとされています。
映画祭は、中国映画の多様性を紹介するとともに、スクリーンを通じた文化交流の場ともなりそうです。
ソ連写真家のレンズでたどる「大いなる勝利」
同じくこの日、中国とロシアが共同制作するドキュメンタリー『The Great Victory – China's War of Resistance Against Japanese Aggression Through the Lens of a Soviet Photographer』の撮影もスタートしました。
作品は、ソ連の写真記者ロマン・カルマンが中国で過ごした経験と、そのレンズが捉えた貴重な映像・写真を軸に、中国人民の抗日戦争の壮大な歴史を描き出します。第二次世界大戦において、中国が東側戦線の主要な戦場として果たした重要な役割を、視覚的に示すことがねらいです。
平和をテーマにした市民参加プロジェクト
CMGとVGTRKは、平和をテーマにした共同イニシアチブも立ち上げました。中国とロシアの人びとから、歴史資料、記録写真、記念品などを募集し、「平和への共通の願い」と「希望ある未来像」をともに描き出そうという試みです。
市民が自らの家族史や地域の記憶を持ち寄ることで、統計や教科書だけでは伝えきれない戦争の実像や、平和への思いが可視化されていくことが期待されます。
さらに、VGTRKはロシア国家公文書館が保管してきた中国人民の抗日戦争に関する貴重な歴史映像をCMGに提供しました。国境を越えて記録が共有されることで、歴史研究や番組制作の幅も広がりそうです。
読み解きポイント:歴史記憶とメディア協力の現在地
第二次世界大戦の勝利から80年という節目に、メディア同士の協力を通じて歴史を振り返る今回の取り組みは、現在の中国・ロシア関係を映し出す鏡でもあります。
とくに、共同制作の映画やドキュメンタリー、国境を越えた映画祭、市民参加型の平和プロジェクトといった形で、歴史の物語が再構成され、次の世代に届けられようとしている点は注目に値します。
一方で、歴史をどう記憶し、どのようなストーリーとして語るかは、国や社会にとって非常に重要なテーマです。視聴者や読者として、私たちはこうした作品や企画を通じて、戦争と平和、そして国際関係について自分なりの視点を育てていくことが求められているのかもしれません。
中露メディアによる今回の取り組みが、東アジアと欧州をまたぐ歴史の重みと、平和へのメッセージをあらためて考えるきっかけとなるか、引き続き注目されます。
Reference(s):
Chinese, Russian media groups honor WWII legacy with cultural exchange
cgtn.com








