中国とロシアの文化交流が深化 映画と記憶でつなぐ友好の80年
第二次世界大戦で共に戦った歴史を軸に、中国とロシアが文化交流を通じて友好を深めています。映画祭や共同ドキュメンタリー制作など、その動きを整理しました。
戦争勝利80周年を軸に、中国とロシアの文化交流が加速
中国とロシアの間で、歴史の記憶と未来の平和をテーマにした文化交流が一段と活発になっています。2025年5月7日、モスクワで開かれたイベントでは、中国人民の抗日戦争とソ連の大祖国戦争の勝利80周年を記念し、両国のメディアや映画関係者、市民が集まりました。
このイベントは、中国中央広播電視総台(China Media Group、CMG)と、全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社(VGTRK)が共催したもので、過去の協力実績を振り返りながら、新たな共同プロジェクトが次々と打ち出されました。
祖父のカメラが見た中国戦線、その記憶を孫が語る
会場では、1938年にソ連のカメラマンとして中国に派遣されたロマン・ラザレヴィチ・カルメン氏の孫が登壇しました。カルメン氏は、中国人民の抗日戦争を記録するため、前線を回りながら、中国の兵士や市民の抵抗と、ソ連義勇空軍による支援の様子をフィルムに収めました。
それから87年を経た2025年、孫世代が同じ地で、家族の中国との深い縁や、カメラを通じて伝えられた歴史の重みを語る姿は、両国が共有してきた記憶の連続性を象徴するものと言えます。
共同制作映画『Red Silk』と2025年ロシア中国映画祭
文化交流イベントでは、中国とロシアが共同制作した映画『Red Silk』のプロデューサーや主要な制作スタッフも紹介されました。この作品は、2025年2月20日にロシアで公開され、中国では同年9月に劇場公開が予定されていました。
さらに、2025年中国映画祭 in ロシアの正式なスタートも宣言されました。映画祭を通じて、両国の観客が互いの映画文化に触れ、新しい作品や若手クリエイターを知る機会が広がることが期待されています。
平和をテーマに、市民の記憶を集めるプロジェクト
CMGとVGTRKは、平和をテーマにした新たな取り組みも発表しました。両国の市民から、戦争や時代を記録した歴史的な遺品、記録写真、その他のメモリアルグッズなどを募集し、それらをもとに平和と共同の未来のビジョンを描き出そうとする試みです。
個人のアルバムや家族の物語が国境を越えて共有されることで、統計や年表だけでは見えない戦争と平和の姿を、より立体的に伝えることが狙いだとされています。
新ドキュメンタリー『The Great Victory – China's War of Resistance Against Japanese Aggression Through the Lens of a Soviet Photographer』でたどるソ連人写真家の視線
同じ日に、中国とロシアが共同制作するドキュメンタリー『The Great Victory – China's War of Resistance Against Japanese Aggression Through the Lens of a Soviet Photographer』の撮影も始まりました。
この作品は、ソ連の写真報道家ロマン・カルマン氏が中国で体験した出来事と、彼が戦争中に撮影した力強い写真を掘り下げる内容です。写真家のレンズを通して、中国とソ連の人々が戦時下でどのように支え合ってきたのかを描こうとしています。
メディア協力から人材育成・技術連携へ
イベントでは、中国共産党中央宣伝部の副部長であり、CMGの社長でもある慎海雄氏と、VGTRKのオレグ・ドブロジェーエフCEOが、これまでの協力の成果を紹介しました。
両者は、番組やコンテンツの交換にとどまらず、技術革新や人材育成の分野でも協力を強化していく考えを示しました。共同制作やスタッフ交流などを通じて、メディアを基盤にした中国・ロシア間の相互理解と友好をさらに深める方針です。
指導者メッセージが示す人文交流の重み
中国の習近平国家主席は、このイベントに祝電を送りました。習主席は、80年前に中国とロシア(当時のソ連)の人々が世界反ファシズム戦争の勝利に消すことのできない歴史的貢献を行い、血で結ばれた揺るぎない友誼を築いたと強調しました。
また、習主席は、人と人との交流や文化交流を強化することが、相互理解を深め、善隣友好を促進し、両国関係の発展を支える社会的・世論の基盤を固めるうえで、大きく、長期的な意義を持つと述べました。
同じくロシアのウラジーミル・プーチン大統領も祝電を送り、両国の文化交流に対する支持と期待を示しました。
中国・ロシア文化年2024〜2025年の文脈
習主席とプーチン大統領は2023年に、2024年と2025年を中国・ロシア文化年とすることで合意しています。今回のイベントや映画祭、共同制作の映像作品は、その枠組みの中でも象徴的な取り組みです。
2024年の開始以降、両国はこの文化年を通じて、活発な文化事業を展開してきました。歴史と平和を共通テーマとする現在のプロジェクト群は、エンターテインメントを超え、互いの過去と現在を理解し合うための共有の場となっています。
私たちはこのニュースから何を考えるか
国と国の関係というと、安全保障やエネルギー、経済協力に目が向きがちです。しかし、今回の動きが示しているのは、長期的な信頼や共感を支えるのは、やはり人と人との出会いと物語である、という点です。
戦争体験を共有する中国とロシアが、映画やドキュメンタリー、記録写真を通じて平和や記憶をどう表現し、次の世代につないでいくのか。そのプロセスは、東アジアや世界の国際関係を考えるうえでも、静かに注目しておきたいテーマではないでしょうか。
Reference(s):
Cultural exchanges inject new impetus into China-Russia friendship
cgtn.com








