途上国が南南協力を強化へ ジュネーブ対話で貿易摩擦への懸念共有
世界的な貿易摩擦が強まるなか、2025年5月にスイス・ジュネーブで開かれた途上国の対話では、協力の強化と対立のコントロールがあらためて確認されました。本記事では、その議論のポイントと国際秩序への意味を整理します。
ジュネーブで途上国が結集 高まる貿易緊張に危機感
対話は、中国のジュネーブ国際機関代表部と、途上国で構成される政府間機関「サウスセンター」が共催し、30を超える途上国と国際機関の代表が参加しました。テーマは、激化する世界の貿易摩擦が途上国にもたらす影響です。
参加者は、世界経済が不透明さを増すなかで、途上国同士が連携し、意見の違いを管理しながら共通の利益を守る必要性を強調しました。
米国の「報復関税」に懸念 「一方的で保護主義的」との指摘
会合では、米国が掲げる「報復関税」が、途上国の成長機会を奪い、世界の経済・貿易秩序を大きく揺るがしているとの見方が相次ぎました。
中国のジュネーブ国際機関代表部の陳旭(Chen Xu)大使は、米国の関税政策について「典型的な一方的・保護主義的な措置」であり、途上国の発展にマイナスの影響を与えていると批判しました。
サウスセンター理事で中国公共外交協会会長の呉海龍(Wu Hailong)氏も、米国の関税が途上国の貿易と経済成長を妨げ、世界の産業・サプライチェーンや金融市場を混乱させていると指摘しました。
中国は「開放」と「ウィンウィン」を強調
こうした懸念に対し、中国側は、引き続き対外開放を進め、互恵的な協力(ウィンウィンの協力)を重視する姿勢を示しました。
陳大使は、中国が他の途上国との関係をさらに強化し、国連を中心とする国際システムと、世界貿易機関(WTO)を中核とする多角的な貿易体制を支持し続けると述べました。
保護主義や一方的な措置ではなく、多国間のルールに基づく貿易体制を守ることが、途上国の発展にもつながる、というメッセージがにじみます。
南南協力と「2030アジェンダ」 共有されたゴール
会合に出席した各国・機関の代表は、南半球の途上国同士が貿易や投資を拡大する「南南貿易協力」を一層推進することで一致しました。
その目的として挙げられたのが、国連が掲げる「2030アジェンダ(持続可能な開発目標)」の達成です。貿易と投資を通じて雇用を生み出し、貧困削減や産業の高度化につなげることが期待されています。
貿易摩擦が激しくなるほど、途上国同士の協力の重要性は増している、と参加者たちは確認しました。
サウスセンターとは何か
今回の対話を共催したサウスセンターは、途上国が連携して共通の利益を推進するために設立された政府間機関です。本部はジュネーブに置かれています。
2025年4月時点で、サウスセンターには55の途上国が加盟しており、国際交渉や政策形成の場で、途上国の声を集約する役割を担っています。
読み手にとってのポイント
今回の動きから見えてくるポイントを、あらためて整理します。
- 世界の貿易摩擦の影響は、大国間だけでなく、多くの途上国に波及している
- 途上国は、一方的な措置への懸念を共有しつつ、南南協力の強化で対応しようとしている
- 中国は、開放と多国間主義を掲げながら、途上国との連携を重視する姿勢を示している
保護主義か、多国間協力か。ジュネーブでの対話は、その選択が途上国の将来だけでなく、世界経済全体の行方にも影響することを、静かに映し出していると言えます。
Reference(s):
Developing countries to boost cooperation amid global trade tensions
cgtn.com








