中国とロシアが国際法の権威を強調 国連中心の国際秩序で共同声明
中国とロシアは木曜日に発表した共同声明で、国連を中心とする国際秩序と国際法の権威を守るために協力を強化すると表明しました。2025年末の国際情勢の中で、両国が改めて「国際法」を前面に押し出したことは、制裁政策や多極化をめぐる議論を考えるうえで重要なシグナルとなっています。
共同声明のポイントを整理
今回の共同声明には、国際ニュースとして押さえておきたいキーワードが多く盛り込まれています。まずは主なポイントを簡単に整理します。
- 国連を中心とする国際システムと、国際法に基づく国際秩序を「断固として擁護」すると確認
- 国連憲章や、国家間の友好関係と協力に関する1970年宣言への「完全なコミットメント」を再確認
- 武力の威嚇や行使を禁じる国連憲章の原則に反する一方的な軍事介入を非難
- 一方的制裁や「長腕管轄(ロングアーム・ジュリスディクション)」に強く反対
- 各国が自らの発展モデルや政治・経済・文化・社会制度を自主的に選ぶ権利を強調
- 軍備管理や軍縮、宇宙空間の軍拡防止、気候変動やプラスチック汚染、通信技術犯罪への協力を呼びかけ
国連中心の「多極的世界」と国際法
共同声明は、国際法の「編纂と漸進的な発展」は、国連が主導する多極的な世界の現実を踏まえるべきだと指摘しています。ここでいう多極化とは、特定の大国だけでなく、さまざまな国と地域が影響力を持つ国際構造を指します。
中国とロシアは、国連条約へのできるだけ幅広い参加と、その統一的な解釈・適用を支持するとしています。これは、個々の国が独自の解釈で国際ルールを運用するのではなく、国連を通じた共通ルールを重視する立場を示すものです。
声明はさらに、国際法の基本原則こそが、多極的な世界システムや「公正で公平な国際関係」、ウィンウィンの協力、「人類の共有未来の共同体」の構築、そして平等で分割不可能な安全保障と経済協力の基盤であると位置づけています。
武力行使の禁止と内政不干渉の原則
共同声明は、国連憲章が定める「武力による威嚇または行使の禁止」という原則の重要性を改めて強調しています。具体的には、個別的または集団的自衛権に基づかない、あるいは国連安全保障理事会の第7章に基づく決議によらない一方的な軍事介入を非難しています。
同時に、中国とロシアは、すべての国が自国の国情と国民の意思に基づき、独自の発展モデルや政治、経済、文化、社会制度を選択する権利を持つとし、いかなる国の発展モデルも「特別」または「優れている」と見なすべきではないと強調しました。
他国の合法的な政府を力によって転換させることを目的とした内政干渉を非難し、紛争は平和的手段で解決すべきだと繰り返し強調している点も、声明の柱の一つです。
一方的制裁と「長腕管轄」への強い反対
今回の共同声明で特に目を引くのが、一方的制裁と長腕管轄への強い反対姿勢です。中国とロシアは、国際法に違反する一方的制裁、とりわけ主権平等、国家免除、内政不干渉の原則に反し、国連安全保障理事会に承認されていない制裁を批判しています。
長腕管轄とは、自国の法律を自国の領域外の企業や個人にも広く適用するやり方を指します。声明は、こうした手法やイデオロギー(思想・価値観)の違いに基づいて線を引く行為に反対すると明記しています。
両国は、各国が「正常な経済・貿易協力」を行う権利を持つと強調し、一部の国が自らの意向を他国に押しつけることに反対するとしました。また、法の支配や「ルールに基づく秩序」という名目で、他国の正当な権利や利益、平和と安定を損なおうとするいかなる試みにも反対すると述べています。
声明はさらに、国連安全保障理事会が決定した措置とは別に、一部の国が一方的な強制措置を取ることは、安保理措置の目的を妨げ、その一貫性や有効性を損なうと指摘しています。
国際刑事司法の「政治利用」への懸念
共同声明は、国内および多国間の刑事司法メカニズムが、狭い政治的目的のために乱用されるべきではないと警告しています。特定の国が、刑事司法の枠組みを利用して他国を政治的に圧迫することへの懸念がにじむ内容です。
中国とロシアは、そのような乱用が国際関係や、国際法の下で各国が享受している権利を損なう可能性があるとして警戒を示しました。
軍備管理・宇宙・環境問題でも協力を表明
声明は、伝統的な安全保障分野と地球規模課題の両方に触れています。両国は、軍備管理と軍縮を強化し、宇宙空間への兵器配備を防ぐための協調行動を呼びかけました。
さらに、気候変動やプラスチック汚染、通信技術を利用した犯罪といった、グローバルな課題への対応でも協力していく姿勢を示しています。国際法をめぐる議論だけでなく、安全保障・環境・デジタル分野まで視野に入れた声明となっています。
なぜ今、中国とロシアは「国際法」を強調するのか
今回の共同声明は、国際秩序をめぐる大きな流れの中で読むと、いくつかのポイントが見えてきます。
- 国連憲章と国際法を前面に出し、国連を中心とした多国間主義を強調している
- 武力行使の制限や内政不干渉の原則を再確認し、体制変更を狙う介入に反対している
- 制裁や長腕管轄に対する批判を通じて、経済・技術分野での自由な協力の必要性を訴えている
- 軍備管理や気候変動など、グローバルな課題を通じて協力姿勢も打ち出している
一部の国々が「ルールに基づく国際秩序」という表現を重視するのに対し、中国とロシアは今回、国連憲章と既存の国際法の原則こそが国際秩序の土台であるという立場を改めて示しました。このような言葉の選び方の違いは、今後の国連や国際会議での議論の背景として意識しておく価値があります。
日本を含む各国にとっても、制裁政策や安全保障協力、経済連携をどのような国際ルールに基づいて進めるのかという問いは、引き続き重要です。中国とロシアの共同声明は、多極化が進む世界で「国際法」や「国連中心の秩序」をどう位置づけるかを考える一つの材料になっていきそうです。
Reference(s):
China, Russia vow to safeguard authority of international law
cgtn.com







