中国×ロシア映画「Ballet in the Flames of War」戦火の中のバレエと抵抗
戦争とバレエが出会う、中国・ロシア合作の歴史戦争映画
「Ballet in the Flames of War」は、中国とロシアの共同制作による歴史戦争映画です。第2次世界大戦期の中国北東部を舞台に、日本のファシズムに対する共同抵抗と、戦火の中で芽生える愛と芸術を描きます。
実話に基づいた物語でありながら、バレエという芸術を軸に、人間の感情や記憶に静かに迫る作品となっています。
中国北東部の国境の町で起きた実話に基づく物語
舞台となるのは、中国北東部の国境の町です。日本の侵略が敗北に追い込まれた後も降伏を拒んだ約300人の日本兵が、地元の中国の村人たちを虐殺し、ソ連軍に攻撃を仕掛けます。
この出来事に基づいて構成された物語は、戦争の残酷さを前面に出しつつも、そこで生きる人々の視点から、歴史を「遠い過去」ではなく「身近な体験」として感じさせます。
バレエがつなぐ中国人男性とロシア人女性の恋
作品の中心には、中国人男性とロシア人女性の恋愛があります。二人を結びつけるのは、国籍や軍事同盟ではなく、バレエという共通の情熱です。
銃声や爆発音が鳴り響く戦場の近くで、バレエの繊細な動きや音楽がもたらす静けさは、登場人物たちにとって、人間らしさと希望を取り戻すための大切な拠り所となります。戦争映画でありながら、本作が「芸術の物語」としても読めるゆえんです。
中国・ロシア・日本、三つの家族の絡み合う運命
「Ballet in the Flames of War」は、中国、ロシア、日本という三つの国に由来を持つ家族の運命を並行して描きます。三つの家族の視点が交差することで、戦争は抽象的な国家間の衝突ではなく、一人ひとりの生活と感情を揺さぶる現実として立ち上がります。
- 中国の家族
- ロシアの家族
- 日本の家族
それぞれの家族が異なる立場から戦争に巻き込まれ、選択を迫られます。観客は、敵味方という単純な図式を越え、さまざまな立場の人々が抱える痛みや葛藤を想像することになります。
ドン・ヤーチュンとニキータ・ミハルコフによる共同制作
本作の中国側の監督を務めるのはドン・ヤーチュンで、ロシア側ではニキータ・ミハルコフが全体を監修しています。中国とロシアの映画人が協力し、歴史ドラマと芸術的なストーリーテリングを融合させた作品です。
戦場を描きながらも、映像や演出には美しさと詩情が宿っているとされ、2015年の公開時には、その撮影と感情表現が高く評価されました。中国の大手レビューサイトであるDouban(豆瓣)では、公開当時7.5というスコアを記録しています。
2015年公開作が、2025年の今も投げかける問い
この映画は2015年に公開されました。それから10年近くたった2025年の今も、戦争と平和、芸術と抵抗、そして異なる国の人々がどう共に生きるかというテーマは、私たちにとって依然として切実です。
作品が描くのは、国と国の対立だけではありません。バレエという芸術を介して出会った人々が、暴力に支配されそうになる世界の中で、人間らしさをどう守るかという普遍的な物語です。
日々、国際ニュースが流れ続ける現在、こうした歴史戦争映画を通じて、過去の共同抵抗や共同制作の歩みに目を向けることは、他者の痛みや記憶を想像する小さなきっかけになりうるでしょう。
考えるヒント:作品から読み取れる3つのポイント
この作品について考えるとき、次のような問いを意識すると、物語がより立体的に感じられます。
- 芸術は、戦争や暴力の中でどのような役割を果たせるのか。
- 国籍や言語の違いを超えて、人と人はどのように理解し合えるのか。
- 歴史的に対立した関係のあいだにも、共通の記憶や感情は生まれうるのか。
「Ballet in the Flames of War」は、こうした問いを静かに投げかける、中国とロシアの共同制作による歴史戦争映画です。戦火の中のバレエというモチーフを通じて、抵抗と記憶、そして人間の尊厳について考えるための、一つの視点を提示していると言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








