世界渡り鳥の日:都市の空を飛ぶ旅する鳥たちと共有する暮らし
国連が支援する国際キャンペーン「世界渡り鳥の日」は、毎年5月と10月の第2土曜日に行われ、渡り鳥とその渡りのルートを守ることの重要性を伝えています。2025年のテーマは「Shared spaces: Creating bird-friendly cities and communities」。都市の空を飛び交う渡り鳥と、私たちの暮らしはどのように「空間を共有」しているのでしょうか。
世界渡り鳥の日とは?
世界渡り鳥の日は、渡り鳥の保護と、その移動ルート(フライウェイ)への理解を広げることを目的とした国際キャンペーンです。国際ニュースとしても取り上げられる環境テーマであり、各地でイベントや普及啓発が行われます。
この日が年に2回、5月と10月の第2土曜日に設定されているのは、地域によって渡りのピークが異なるためだとされています。春と秋、それぞれのタイミングで世界各地の人々が渡り鳥に目を向けるきっかけになるよう工夫されているのです。
2025年のテーマ「Shared spaces」とは
今年のテーマは「Shared spaces: Creating bird-friendly cities and communities」。直訳すれば「共有された空間:鳥にやさしい都市とコミュニティをつくる」。言い換えれば、「人の暮らしと鳥の暮らしが重なり合う場所をどう設計するか」という問いです。
都市も渡り鳥の「通り道」
渡り鳥は、数千キロ単位で大陸や海を越えて移動します。その長い旅の途中で、都市の公園や河川、ビルの屋上、郊外の田畑などは「休憩所」や「補給ポイント」になります。私たちが通勤電車から何気なく眺めている川辺や空き地も、渡り鳥にとっては生命線になりうる場所です。
一方で、急速な都市化は、ガラス張りのビルや夜間照明、緑地の減少などを通じて、渡り鳥にとってのリスクも増やします。「Shared spaces」というテーマには、こうした都市環境の課題を見直し、鳥にも人にも心地よい空間にしていこうというメッセージが込められています。
街なかで出会える渡り鳥たち
渡り鳥というと、遠い湿地や原生林をイメージしがちですが、実は都市やその周辺でも出会うことができます。あなたの住む街の空や水辺にも、旅の途中の「羽の旅人」が立ち寄っているかもしれません。
- ツバメ:春になると街の軒先や駅の構内で巣作りを始めるツバメも、実は長距離を移動する渡り鳥です。ビルや住宅地の隙間も、彼らにとっては大事な子育ての場所になっています。
- カモやガンのなかま:冬から春にかけて、都市近郊の池や河川に集まるカモ類やガン類も、多くが渡り鳥です。川沿いの遊歩道や公園は、そうした水鳥を観察しやすい「共有スペース」といえます。
- カモメのなかま:港町だけでなく、内陸の河川や湖、時にはビルの屋上付近でも見かけることのあるカモメ類も、季節によって移動する種がいます。都市の空に白い翼が映える光景は、渡りの旅の一場面かもしれません。
こうした身近な出会いを意識して眺めるだけでも、「世界渡り鳥の日」という国際ニュースが、自分の生活とつながっていることを実感しやすくなります。
鳥にやさしい都市・コミュニティをつくるには
では、テーマにある「bird-friendly(鳥にやさしい)」都市やコミュニティとは、どのような場所でしょうか。専門的な施策だけでなく、日常レベルでできる工夫も含めて、いくつかの視点で整理してみます。
- 緑と水辺を残し、つなぐ:小さな公園や街路樹、ビルの屋上緑化でも、点が線になり面になることで、渡り鳥にとっての「休憩ポイント」になります。都市計画や地域づくりのなかで、緑地や水辺を分断しすぎない視点が重要です。
- 光とガラスに配慮する:夜間の強い照明や、空を映し込む大きなガラス面は、渡り鳥が迷ったり衝突したりする原因になることがあります。必要な場所だけ点灯する、カーテンを閉める、ガラスに模様を入れるなど、小さな工夫でリスクを減らせます。
- 生きものを呼び込むベランダ・庭づくり:ベランダや庭に多様な植物を植えたり、小さな水場を設けたりすることで、休憩中の鳥たちが立ち寄れる場所になります。農薬や強い薬剤の使用を控えることも、生物多様性を守る一歩です。
- 地域での観察・見守り:学校や地域の活動として、渡り鳥の観察や記録を行うと、身近な自然への気づきが増えます。データを蓄積することで、都市のなかでどのような鳥が渡っているのか、時間とともに変化を追うこともできます。
一人ひとりが今日からできること
世界渡り鳥の日は年2回ですが、渡り鳥の旅は一年を通じて続いています。大きな政策や国際会議だけでなく、日常の小さな行動も、鳥にやさしい都市づくりにつながります。
- 通勤や通学の途中に、空や川辺、公園の木々を少しだけ意識して眺めてみる
- 見かけた鳥をメモしたり、家族や友人、SNSで共有してみる
- 自宅や職場で、夜間の不要な照明を控えるよう心がける
- 地域で行われる自然観察会や環境イベントに参加してみる
こうした一つひとつの行動は、渡り鳥にとっての「安全な立ち寄り先」を増やすことにつながります。同時に、私たち自身が、季節の変化や地球規模のつながりを感じながら暮らすきっかけにもなります。
「旅する隣人」と共に生きる都市へ
国連が支援する世界渡り鳥の日は、渡り鳥の保護だけでなく、「人間中心」になりがちな都市のあり方を見直すきっかけでもあります。国際ニュースとしてのスケールの大きな話題でありながら、ベランダや最寄り駅の空、近所の公園といった、ごく身近な場所に直結するテーマです。
あなたの住む街の空は、渡り鳥にとってどんな場所でしょうか。世界をまたぐ「羽の旅人」と空間を共有しているという視点で街を眺めてみると、いつもの風景が少し違って見えてくるかもしれません。
世界渡り鳥の日が過ぎた12月の今こそ、2025年のテーマ「Shared spaces」をもう一度思い出し、来年の渡りの季節に向けて、鳥にも人にもやさしい都市づくりを考えてみるタイミングと言えそうです。
Reference(s):
World Migratory Bird Day: Feathered travelers over the city skies
cgtn.com








