中国・長江流域で水生生物多様性が回復傾向 10年禁漁の効果は
中国・長江流域で水生生物多様性が回復傾向
中国の代表的な大河である長江の流域で、水生生物の多様性が回復しつつあると報告されました。数年前に始まった10年にわたる禁漁措置のもと、在来魚の種類が増えていることが、中国農業農村部の会合で示されています。
10年禁漁で生態系の負荷を軽減
長江流域では、水生生物多様性の回復を目的に、数年前から10年間の禁漁が実施されています。漁獲プレッシャーを抑え、魚類が繁殖しやすい環境を取り戻すことがねらいとされています。
2021〜2024年のモニタリング結果:在来魚344種
農業農村部によると、2021年から2024年にかけて長江流域でモニタリングされた在来魚は344種にのぼりました。これは、禁漁開始前の2017年から2020年の期間と比べて36種多い数字です。
- 2017〜2020年(禁漁前):在来魚種数は現在より少ない状況
- 2021〜2024年(禁漁実施中):在来魚344種を確認し、36種増加
- 生息する魚の種類が増えていることから、生態系の回復傾向がうかがえる
この増加は、禁漁によって乱獲が抑制され、魚類が世代を重ねる時間的な余裕が生まれたことを示している可能性があります。
湖北省で報告された最新データ
これらの数字は、中国中部の湖北省で金曜日に開かれた農業農村部の会合で示されたものです。長江流域の水生生物の状況を継続的に把握し、政策の効果を検証するため、同省を含む流域各地でモニタリングが行われているとされています。
長江流域の生物多様性が持つ意味
長江流域は、中国にとって経済や物流、農業など多くの分野で重要な地域であり、多数の人びとの暮らしを支えています。その一方で、水質や生物多様性への負荷も大きく、どのように生態系の健全性を守るかが長年の課題となってきました。
今回示された魚種数の増加は、短期間で状況が劇的に改善したというよりも、長期的な回復プロセスの初期段階を示すサインと見ることができます。大河川の生態系は、一度損なわれると回復に長い時間がかかるため、継続的なデータの蓄積と慎重な政策運営が求められます。
今後の焦点:保全と暮らしの両立
禁漁のような強い保全策は、水生生物の多様性を守るうえで有効である一方、流域のコミュニティや漁業者の暮らしにも影響します。今後の焦点となるのは、次のような点です。
- 禁漁期間中および終了後も、生物多様性のモニタリングをどのように継続するか
- 生態系回復と地域経済の安定をどのように両立させるか
- 長江流域での経験を、他の河川や地域の環境政策にどう生かすか
長江流域の取り組みは、水生生物多様性を守りながら人間の活動も成り立たせるための一つの実験ともいえます。今回のデータは、中国国内だけでなく、河川環境の保全に関心を持つ各国・各地域にとっても、示唆に富む事例となりそうです。
Reference(s):
China's iconic Yangtze River basin sees improving aquatic biodiversity
cgtn.com








