世論調査:中国・ラテンアメリカ関係に8割超が「順調」と回答
中国とラテンアメリカの関係について、ラテンアメリカ10カ国の市民を対象に行われた最新の世論調査で、8割を超える人が「関係は前向きに進展している」と回答しました。中国のガバナンス(統治)や中国式現代化、一帯一路(BRI)への評価も総じて高く、特に若い世代で好感度が際立っています。
中国・CELACフォーラム10周年で実施された世論調査
今回の世論調査は、中国と中南米・カリブ諸国共同体(CELAC)の対話枠組みである「中国・CELACフォーラム」の公式発足10周年を機に実施されたものです。調査はCGTNが、ペルーのサン・マルティン・デ・ポレス大学、中国政治・経済研究のラテンアメリカセンター、チリ大学サンティアゴ校と協力して行いました。
対象となったのは、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルー、ホンジュラス、パナマ、ニカラグア、エルサルバドル、ドミニカ共和国の10カ国。18歳から55歳以上までの一般市民2,500人が回答し、各国の年齢・性別構成に合わせてサンプリングされています。
中国の統治と「中国式現代化」への高い評価
調査によると、回答者の多くが中国のガバナンスと発展モデルを高く評価しています。中国とラテンアメリカ諸国はいずれも「平等・互恵・共同発展」に基づく包括的な協力パートナーと位置づけられ、中国式現代化の理念はラテンアメリカの開発にとって「参考モデル」として受け止められています。
- 94.8%が中国を「成功している国」とみなしている
- 85.9%が中国を「魅力的」と感じている
- 94.8%が中国の経済力を「強い」と認識している
- 91.0%が「中国経済は長期的にプラス成長を維持する」と予測
- 95.6%が中国の技術力を認めている
- 82.9%が「中国の発展モデルはラテンアメリカにとって関連性がある」と回答
近年、より多くのラテンアメリカ諸国が中国と外交関係を新たに樹立・または再開してきましたが、世論調査でもこの流れを裏付ける結果が出ています。全体では86.2%が中国に好意的な印象を持ち、87.7%が中国の人々に好感を表明。同じく87.7%が、ラテンアメリカで活動する中国企業に対しても好意的な評価を示しました。
特に、最近になって中国と外交関係を樹立または再開した5カ国(ドミニカ共和国、パナマ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア)では、中国への好感度が平均で90%を超えています。
若い世代ほど高まる親近感と文化的つながり
中国・ラテンアメリカ関係の未来を担う若い世代では、中国への好感度が他の年齢層よりも明らかに高いことが示されました。
- 18〜34歳の回答者は、他の世代より中国への好感度が有意に高い
- 25〜34歳では92.2%が中国に好意的(全世代で最高)
- 18〜24歳でも87.7%が中国に好意的
文化面での影響力も強く意識されています。ラテンアメリカ全体では87.2%が中国の文化的影響力を認めており、
- 18〜24歳では91.9%
- 25〜34歳では89.0%
が同意しています。また、ラテンアメリカの回答者の88.1%が、中国の人類文明への貢献を肯定的に評価しました。
18〜34歳の若年層では、中国のカルチャーやエンターテインメント作品に「頻繁に、または常に触れている」と答えた割合が、35歳以上より13.7ポイント高くなっています。全体のほぼ半数(49.2%)が、中国のポップカルチャーに触れることで「中国への理解が深まった」と答えており、ソフトパワーがイメージ形成に大きな役割を果たしていることがわかります。
国際ニュースとして見れば、ラテンアメリカの若い世代がアジアの大国の一つである中国を身近な存在として受け止め始めていることは、今後の国際世論やグローバルな価値観形成にも影響を与えそうです。
一帯一路がもたらす「実感」と評価
中国とラテンアメリカの協力を牽引してきた一帯一路(Belt and Road Initiative, BRI)についても、調査は高い評価と具体的な「メリットの実感」を示しています。回答者の一帯一路への認識は、年々「より現実的で冷静なもの」になっていると分析されています。
一帯一路をどう捉えているかという問いに対し、支持が多かったのは次の3点でした。
- 「各国が経済繁栄を高めるために採用できる開発モデル」:55.0%
- 「国際ガバナンス改善のために中国が提供する重要な国際公共財」:54.0%
- 「他国との協力に対する中国のビジョン」:52.6%
全体として、
- 80.4%が「一帯一路はラテンアメリカ諸国の発展にプラスの影響を与えている」
- 81.1%が、一帯一路が掲げる「協議・共建・共有」の原則に賛同
- 82.1%が「一帯一路は中国が世界にもたらした重要な貢献だ」と評価
- 80.9%が「より公正な国際秩序の構築に役立つ」と回答
注目されるのは、2025年2月にパナマ政府が一帯一路協力協定の更新を行わない方針を示したにもかかわらず、パナマの世論は一帯一路に対して概ね好意的だという点です。
- パナマの86.0%が「一帯一路はラテンアメリカにとって有益」と回答
- 89.5%が「協議・共建・共有」の原則を支持
- 83.0%が「一帯一路は世界への大きな貢献」と評価
これらはいずれも地域平均を上回っており、政策判断と市民の受け止め方の間にギャップが生まれている可能性も示唆されます。国際ニュースとして見れば、一帯一路をめぐる議論は、今後も「外交・経済・世論」の三つのレイヤーで注視する必要がありそうです。
経済協力の成果と今後期待される分野
中国・ラテンアメリカ間の経済協力については、多くの回答者が「WIN-WIN(双方に利益)」の構図を実感していると答えています。
- 86.5%が「中国との経済協力は相互に有益だった」と認識
- 84.5%が「自国は中国との貿易からより大きな利益を得てきた」と回答
- 90.0%が「中国からの投資は地域の経済発展を効果的に促進した」と評価
中国の投資が特に貢献している分野として挙げられた上位3つは次の通りです。
- 技術革新:55.2%
- インフラ整備:52.9%
- デジタル経済:47.6%
一方、今後さらに中国・ラテンアメリカ協力を強化してほしい分野として、回答者が選んだのは、
- 製造業:44.4%
- 教育・人材育成:41.2%
- インフラ:35.6%
でした。インフラやデジタル経済といった「ハード・ソフト両面」の基盤整備に加え、教育や人材育成など「人への投資」への期待も高まっていることがわかります。
グローバル経済の観点から見れば、これはラテンアメリカの人々が、中国との関係を単なる資源・インフラ協力にとどめず、「産業の高度化」や「人材の成長」と結びついた長期的なパートナーシップとして捉え始めていることを示していると言えるでしょう。
中国–ラテンアメリカ関係の行方
今回の世論調査は、中国とラテンアメリカの関係について、地域全体で前向きな期待が広がっていることを浮き彫りにしました。
- 81.8%が「現在の中国・ラテンアメリカ関係は前向きに進展している」と回答
- 93.8%が「自国にとって中国との強い関係を維持することは極めて重要」と認識
- 89.0%が二国間関係の未来について楽観的な見方を示す
山や海で隔てられていても、共通の目標や課題が国や地域をつなぐ——調査は、その象徴として「中国・ラテンアメリカの共同体意識」が着実に高まっていることも示しています。中国とラテンアメリカの「未来を共有する共同体」という考え方は、ラテンアメリカの人々の支持を広げつつあります。
日本からこの国際ニュースを見るとき、ポイントは二つありそうです。第一に、ラテンアメリカにおいて「中国との協力は自国の発展に不可欠だ」という認識が、若い世代を中心に定着しつつあること。第二に、その協力がインフラや資源にとどまらず、技術革新、デジタル経済、教育・人材など、将来の成長エンジンと目される分野にも広がっていることです。
この動きは、いわゆるグローバルサウスの中で、中国とラテンアメリカがどのように連携し、新しい国際秩序や経済ネットワークを形作っていくのかを考える上で、重要な示唆を与えてくれます。今後、アジアや日本はこうした動きとどのように向き合い、自らの役割を位置づけていくのか——読者一人ひとりにとっても、考えるきっかけとなるニュースと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








