米中が関税緩和で歩み寄り 90日間の一時停止と協議メカニズムとは
2025年5月、ジュネーブで開かれた米中高級会合で、世界の二大経済である中国とアメリカが、互いの追加関税を一部緩和することで歩み寄りました。90日間の一時停止と新たな協議メカニズムは、米中関係と世界経済にどのような意味を持つのでしょうか。
ジュネーブで何が決まったのか
今回の合意は、米中の経済・通商分野の高級会合を経て発表された共同声明に基づくものです。声明では、両国が自国だけでなく世界経済にとっても重要な二国間の経済・通商関係の重要性を改めて認識し、持続可能で長期的、互恵的な関係を築く必要性を強調しました。
米国側の措置:追加関税の一部を90日間停止
共同声明によると、アメリカは2025年4月2日から、中国(香港特別行政区およびマカオ特別行政区を含む)からの輸入品に課している追加の従価税率のうち、24ポイント分の適用を90日間停止しました。一方で、残りの10パーセント分の追加税率は維持されます。
さらに、アメリカは4月8日と9日に発表していた対中輸入品への追加関税率を撤廃することも決めました。4月8日に発出された大統領令14259では、中国に対するいわゆる互恵的な関税率を84パーセントに引き上げ、翌9日には別の大統領令で125パーセントへと一段と引き上げていましたが、これらの追加部分を取り下げる方向に転じた形です。
ここでいう従価税とは、資産や商品、サービスの価値に応じて課税額が決まる税金を指します。価格が高いほど税額も増える仕組みで、関税として用いられることが多い種類の税です。
中国側の措置:対抗関税と非関税措置を調整
中国側も対抗措置の調整で歩み寄りました。国務院関税税則委員会が2025年に出した第4号公告で定めた対米輸入品への追加従価税について、24ポイント分を当初90日間停止し、残りの10パーセント分の追加税率は維持することとしました。
あわせて、中国は同委員会が4月9日と11日に出した第5号、第6号公告で導入していた修正後の追加関税率を撤廃する方針を示しました。さらに、2025年4月2日以降にアメリカに対して講じてきた非関税の対抗措置についても、必要な行政措置を取り、停止または撤廃するとしています。
両国は、これらの措置を2025年5月14日までに実施することでコミットしました。
90日間の一時停止は何を意味するのか
今回の米中関税緩和の特徴は、追加関税の完全な撤廃ではなく、あくまで一部を90日間停止するという点です。この設計には、少なくとも次のような意味合いが読み取れます。
- 関税負担を一時的に軽減し、企業や市場に一定の安心感を与える
- 90日間を、さらなる交渉と信頼醸成のための「猶予期間」と位置づける
- 交渉の行方によっては、停止措置を延長したり、逆に元に戻したりできる余地を残す
つまり、今回の決定は、米中双方が対立の激化を避けつつも、交渉のてこを完全には手放していないことを示していると言えます。企業にとっては短期的なコスト圧力の和らぎが期待される一方、90日以降の関税水準をめぐる不確実性は残ります。
新たな協議メカニズムの設置
共同声明で注目すべきもう一つのポイントは、米中が経済・通商関係について継続的に議論するための新たなメカニズムを設けるとした点です。これにより、単発の合意で終わらせず、対話を続ける枠組みを制度として整える狙いがうかがえます。
開催地を柔軟に選べる仕組み
この協議メカニズムの会合は、中国とアメリカで交互に開くだけでなく、両者の合意があれば第3国でも開催できるとされています。ジュネーブでの発表に続き、中立的な場所を含めて柔軟に議論の場を設けることで、対話の継続性と実務性を高めようとする意図が見てとれます。
両国が定期的な協議の場を維持できれば、関税問題だけでなく、将来的な経済・通商課題についても、エスカレーション前に話し合うチャンネルとして機能する可能性があります。
世界経済への影響と今後の焦点
今回の合意について、共同声明は、米中の経済・通商関係が世界経済全体にとっても重要であることを強調していました。世界の二大経済が関税緊張の緩和に動いたことで、サプライチェーンや投資の面で、過度な混乱リスクが和らぐ効果が期待されます。
一方で、今回の措置はあくまで90日間の一時停止と、一部追加関税の撤廃にとどまっています。今後の焦点となるのは、
- 90日後に追加関税の停止が延長されるのか、それとも元に戻るのか
- 新たな協議メカニズムが、具体的な合意や制度的な見直しにつながるのか
- 米中双方が掲げる「持続可能で長期的、互恵的な関係」をどう具体化していくのか
という点になっていきます。
2025年12月の時点で振り返ると、5月のジュネーブ合意は、緊張緩和へ向けた重要な一歩であると同時に、試行的な性格も強い措置だったことが分かります。米中の経済関係は、日本を含む多くの国と地域の企業・市場にも間接的な影響を与えます。今後も、関税措置の行方と協議メカニズムの実効性を注視していくことが求められます。
Reference(s):
cgtn.com







