中国副首相がWTO支持を強調 多国間主義と自由貿易の維持へ
世界貿易機関(WTO)の役割や多国間主義、自由貿易の行方が注目されるなか、中国の何立峰副首相がWTOへの強い支持と改革への積極的な関与を表明しました。世界経済の不透明感が増す2025年末、今回の国際ニュースは、グローバルな貿易ルールとサプライチェーンを考えるうえで重要な意味を持ちます。
WTOは「世界貿易の安定装置」
週末にスイス・ジュネーブで行われた、WTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長との会談で、何立峰副首相は、WTOを「世界貿易の安定装置」と位置づけました。多国間の貿易体制の中核として、WTOが国際貿易の「礎」であり、世界経済ガバナンス(国際的な経済運営)で重要な役割を果たしていると強調しました。
中国は今後もWTOを通じて、世界貿易の安定やグローバルな課題への対応に貢献していくと表明しており、多国間主義と自由貿易を重視する姿勢を改めて示した形です。
対話で紛争を解決し、サプライチェーンの安定をめざす
何副首相は、国際貿易をめぐる「違い」や「紛争」は、WTOの枠組みの中で、対等な立場に立った対話によって解決すべきだと呼びかけました。
- WTOのルールと手続きを通じて紛争を処理すること
- 一方的な措置ではなく、多国間のルールに基づく対応を重視すること
- その結果として、世界の産業・サプライチェーンを安定的かつ円滑に機能させること
といった点がメッセージとして打ち出されています。半導体や部品、エネルギーなど、国境をまたぐモノやサービスの流れに依存する現在、サプライチェーンの安定は各国・各地域にとって大きな関心事です。
WTO改革に「包括的かつ深い」参加を表明
何副首相はまた、中国がWTO改革に「包括的かつ深く」参加し続けると述べました。その際、とくに「開発途上のメンバーの正当な権利と利益を守る」ことを重視するとしています。
WTOには、先進国だけでなく多くの開発途上メンバーが参加しており、貿易ルールの見直しや新ルールの設計をめぐって、立場の異なるメンバー間で調整が必要になります。中国が開発途上メンバーの立場に配慮する姿勢を示したことで、今後のWTO改革議論の行方にも注目が集まりそうです。
ジュネーブでの中国・米国ハイレベル経済対話も共有
何副首相は、中国・米国の経済・貿易分野を担当する責任者でもあります。今回の会談では、週末にジュネーブで行われた中国・米国のハイレベル経済・貿易会合の内容についても、オコンジョ=イウェアラ事務局長に説明したとされています。
世界最大級の経済を持つ両国の対話は、関税や技術、投資、サプライチェーンなど、さまざまな分野でWTOのルールや多国間の枠組みと密接に関わります。大国間の協議が、WTOをはじめとする国際枠組みの中でどのように位置づけられるかは、今後も国際ニュースの重要な焦点となりそうです。
WTO事務局長「開かれたルールに基づく体制を守るべき」
オコンジョ=イウェアラ事務局長は、現在の世界経済と貿易の成長が「厳しい挑戦」に直面しているとの認識を示しました。そのうえで、WTOメンバーが協力し、
- 開かれた、ルールに基づく多国間貿易体制を守ること
- 国際貿易問題について対話と協力を強化すること
- 貿易自由化や取引の効率向上、持続可能な開発におけるWTOの役割を高めること
が必要だと呼びかけました。自由貿易と持続可能性(サステナビリティ)をどう両立させるかは、WTO改革でも重要なテーマとなっています。
今回の動きから見える3つのポイント
今回の中国とWTOのトップ会談からは、次の3つのポイントが浮かび上がります。
- 多国間主義と自由貿易の再確認:中国がWTOを支持し、多国間のルールに基づく自由貿易を維持・強化したいという姿勢を示したこと。
- 開発途上メンバーへの配慮:WTO改革の中で、開発途上メンバーの正当な権利と利益を守ると明言したこと。
- 中国・米国経済対話との接続:大国間の経済・貿易対話の情報をWTO事務局長と共有し、二国間と多国間の議論を結びつけようとしていること。
日本の読者にとっての意味
日本を含む多くの貿易立国にとって、WTOや多国間主義は、日常のビジネスや生活と無関係ではありません。関税や通関手続き、デジタル取引、環境配慮型の製品基準など、私たちが知らないところで決まる国際ルールが、価格や品ぞろえ、投資の方向性に影響を与えます。
2025年末にかけて進むWTO改革と、中国をはじめとする主要メンバーの動きは、
- サプライチェーンの安定性
- 新しい分野(デジタル貿易や環境関連)でのルールづくり
- 開発途上メンバーを含む「公平さ」のあり方
といったテーマをめぐって、議論を一段と加速させる可能性があります。ニュースを追いながら、「どんなルールが自分たちの生活や仕事に跳ね返ってくるのか」という視点で見ていくと、国際ニュースがより立体的に感じられるはずです。
多国間主義と自由貿易をめぐる議論は、一度の会合で結論が出るものではありません。今回の中国とWTOのトップ会談は、その長いプロセスの一コマとして、今後の国際貿易秩序を考えるうえで注目すべき動きといえます。
Reference(s):
China supports multilateralism, free trade, WTO's role: vice premier
cgtn.com








